第137回 三次試験対策!ソムリエ実技についてまとめます。

   

十数年前、当時はテイスティングの後に実施されたサービス実技の時、私は極度に緊張していました。今思い出そうにも試験前後の事はまるで記憶にありません。その前に行われたテイスティングの手ごたえが良くなかったことも緊張に拍車をかけました。

そして、私がやってしまった失敗はデキャンターにワインを移し終えたと思った後に、ボトルにワインを残しすぎたことです。お題は覚えていませんが、20数年前のグランヴァン。澱を残すタイプのデキャンタージュでした。当時、宴会場勤務であった私は、お客様の前でデキャンタージュを行ったことはありませんでした。それでも、おそらく100回以上練習し普通にやればできるはずでした。でも、気づいた時にはデキャンタージュが終わっており、ボトルにはワインがまだ1/4ほど残っていました。

本当にショックでした…。ダメだったなぁとガッカリしながら品川駅前のホテルに戻ったことを覚えています。
→当時私は山形市に住んでおり、二次試験は東京と大阪でしか開催されませんでした。私の二次試験は散々でした。テイスティングもいまいちでしたから。たしか、ブドウ品種は一つしか合ってなかったような。テイスティングコメントが大切だなんてこれっぽっちも知りませんでしたし。疲れ果てて暗い気持ちで新幹線に乗って帰ったことを覚えています。でも、合格でした。

澱がある設定なら本当に少しだけ残せばいいんですよ。

実際には澱もないわけですし。あせってデキャンターに注ぐことをやめる必要はありません。最後のほんの少しになった時にボトルを静かに戻せばボトルは底上げされていますから、試験的に理想的な残量になるはずです。

澱がある想定のデキャンタージュはほんの少しだけ残すことを心がけてください。

当時の知り合いの話ですが、その人は私と反対でワインを全てデキャンターに移してしまい、ボトルにはワインが残らなかったそうです。→当時は毎年古いワインから澱を取り除くためのデキャンタージュという設定でした。そして、とっさに一言「澱がほとんど見られませんでしたので、最後の一滴までお楽しみいただけます」と試験中に言い放ったというのです。かなりのつわものです。そして、その彼も当然のように合格しました。

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第137回 三次試験対策!ソムリエ実技についてまとめます。

三次試験対策の仕上げとして、ソムリエ実技についてまとめます。

この実技試験は私が受験した十数年前(おそらくもっと前から)も赤ワインのパニエ抜栓、デキャンタージュでした。ただ、今は二次試験ではなく三次試験という扱いですが、今年も同様のスタイルであることが予想されます。

会場入りし、指定された更衣室で制服に着替えてオリエンテーション会場(受験番号別待合室)に入るという流れでしょう。

男女別に更衣室(ホテルの宴会場の一室)が準備され、全身鏡も何台か置かれているようです。レストランの制服や、割烹着の方、CAの制服の方などさまざまです。

その後、受験番号ごとに指定された会場(待合室)に集合し、簡単な説明を受けたあとソムリエナイフなど必要なものを所持してスタンバイするように指示されます。この時間にマニュアルやメモを読むことは可能なようです。

実技は6人一組(地方会場は2〜4人等の場合あり)で、受験番号順に行われます。一組の実技の時間は7分受験番号順なので、おおよそあとどのくらいで順番が回ってくるのかわかります。この場では皆一様に緊張した面持ちで静かにしています。←私は人生で数番目くらいに緊張した瞬間でした。

ほどなくしてお呼びがかかります。会場入り口に6人全員が揃ったところで実技会場前へと移動し、会場前に並んだイスに座ってしばし待機となります。その待機中に実技会場に入ってからの説明があります。(どこに荷物をおくのか。誰がどこの場所で実技を行うのかなど)

そして、ついに実技会場入りです。先ほど説明されたように手荷物を所定の場所に置き、指定されたとおりの順に並びます。

会場には正面に3名の試験官が座っており、真ん中の方が主に話します。その試験官の数メートル手前に細長いテーブルがあり、そこで全ての実技を行うことになります。6名に対して三人の試験官ですから、三組にわかれてそれぞれの試験官をお客様と見立てて実技を行うというスタイルです。テーブルは会議用の細長いテーブルで、その一角で抜栓とデキャンタージュを行います。ワインやデキャンター、ライトなどの備品は部屋の両サイド(後ろ)のテーブルに並んでいます。

順番に受験番号と氏名を言い終えると、試験官からお題が出されます。

ここからは受験者それぞれのペースで実技がはじまるのです。

実技の詳しい手順は協会のDVDを見ていただくとして私のほうから注意点とポイントをお伝えします。

昨年に限らず、受験された方は皆一様にものすごく緊張したとおっしゃっています。その最高に緊張した中でいかにいつもどおり、練習したとおりにできるかということになります。

6人一斉に実技を行うので大きな声でハキハキ話すことが大切です。事前に試験での会話を想定し話す言葉まで決めて、何度も練習するとよいでしょう。さらに、緊張するとうまく話せなくなる方は一つの方法として、自分の話す内容を録音して、繰り返し50回ほど聞きましょう。そうすることで文章を覚える以上にリズム・テンポまで体に馴染むため、自然と流れるように言葉が出てくるようになります。→ここまでするのかと思われるかもしれませんが、これは人前で慣れない方がスピーチをする時の攻略法の一つです。

ワインの名前ははっきり繰り返しましょう。「(ありがとうございます)●●の●年でございますね」という感じです。注文を受けた時に確認することがサービスの基本です。

試験官がお客様という想定ですが、どう見ても座っている場所も試験官でしかありません。少し離れた試験官を意識し、目の前にお客様がいるという想定でワインのサービスを行います。試験官はデキャンタージュの了解など応対はしますが、実際に受験者が試験官の前に出てワインのサービスを行うわけではありません。

レストランでデキャンタージュ行う場合にはお客様に了承を得ることが基本です。認定試験はより基本に忠実に行うべきですから、了承ともにデキャンタージュする理由をお客様(試験官)に告げます。

もし、お題が若いワインの場合は注意が必要です。”若いワインなので空気に触れさせて開かせるためのデキャンタージュ”なのか、”少し澱が見られるのでその澱を取り除くためのデキャンタージュ”なのかを明確に選択し、はっきりと伝えることが大切です。

さて、お題が若いワインでした。そこで、前者の理由を選択した場合は、『若いワインであるために空気にふれさせることでワインを開かせる』といった旨を試験官に伝え、デキャンタージュの了解を得ます。若いワインと言い切っているのですから、澱が無い想定です。

この想定であればワインはボトルから全てデキャンターに移さなくてはなりません。そして最後に一言「(若いワインで)澱もなく、健全な状態でした」とでも言えば全てのワインをデキャンターに移す理由になります。全のワインを移し替えて何も言わなくてもまぁ、問題はありません。

澱のないワインをボトルに残す理由は全くありません。
澱が無いのにボトルにワインを残したらクレームものです。
→年々少なくなってきているように思いますが、それでも、若いワインといっているのに微妙に迷って残される方がいらっしゃいます。なぜ、ワインを残す必要があるのかを考えましょう。そして、全て注ぎきることに抵抗がある方(私はこの感覚が理解できませんが)は澱のある理由を選択しましょう。

例えば2012年(6年前)のような微妙なワインが出題されたとしても、迷わず全て移し替えて、「澱がございませんでしたから、最後の一滴までお楽しみいただけます」などと一言添えれば、私なら100点をつけます。だって、デキャンタージュした本人が澱が無いと確認しているのですから。→そして実際に試験に使われるワインにはほぼ澱がありません。

若いワイン、例えば先ほどお伝えした2012年のボルドーに全く澱が無いかといわれると微妙です。ですから、澱があると想定したなら”澱がある為のデキャンタージュ”を行えばよいわけです。ただ、この場合も1cm以上残してはいけません。2012年のワインなんです。実際あるかないかわからないくらいの細かい澱です。全部注ぎ切るつもりで、最後にほんの少しだけ残せばいいのです。

この1cm以内で収めるべきヴィンテージですが、一言では難しいですが、2000年代以降であればそんなにべらぼうな澱はありませんので、該当するかと思われます。

今年はどのような設定になるかわかりませんが、もしいわゆる古酒系が出題された場合でも、1.5cm以内を目指しましょう。2015年の出題はシャトー・パルメの1995年、以前も二十年以上熟成したグランヴァンが時折お題になりました。2cm以上残すと下手くそって思ってしまいますし、レストランの保管に疑問を持ってしまいます。←もちろんワインによるのですが、二次試験では1.5センチ以下を目指すべきです。

考え方ですが、何年まではどちらの理由でデキャンタージュするかをあらかじめ決めておいた方が良いかも知れません。そして試験開始後、決めた想定から絶対に迷わないことです。空気に触れさせる為のデキャンタージュ、澱が無い想定でワインを残してしまうと減点ですから。

毎年報告を見てますが、若いワインが出題された場合、どちらの理由でデキャンタージュしても全く問題ありません。

さて、時折DVDとは違う設定、使用アイテムについて説明があることがあります。例えば、グラスの使用数、パニエ、デキャンターに下皿をつける、つけないなど。
また、試験官が「デキャンターのリンスは不要です」などと普段デキャンタージュしない方には???な事をいきなり言われることもあるようです。普通にこれまで練習した通りに実技を行えばよいだけなのですが、やはり極度の緊張の中ですから、このように何か言われると混乱し、ペースを崩しかねないものです。頭のどこかに置いておいてください。

※デキャンターのリンスについて

デキャンターは形状的に洗浄が困難で、さらに洗ったあと水滴、水分等をふき取ることができません。このきっちり洗えない上に水分が残ってしまうことで、デキャンター内に臭いが残ってしまうことがあります。さらに、その臭いがワインに移るのです。特に手洗いのレストランに多いと思います。

ですから、ワインをデキャンターに移す前にほんの少量のワインをデキャンターの中にたらし、デキャンターの内部に満遍なくワインを滑らせるようにして馴染ませます。そして、その”洗浄に使ったワイン”は自分がテイスティングしたグラスに戻し処分します。

私はレストランでデキャンタージュする時には必ずリンスします。

ワインの取り扱いに十分注意しましょう。特に古いワインの場合、ワインを必要以上に動かさないことです。できる限り丁寧に扱っているように振舞わなければなりません。

抜栓時、途中でコルクが折れても焦ってはいけません。←まぁ、最高に焦りますよね…。特に古いワインではコルクは途中で折れる、ちぎれるものです。お客様(試験官)に「大変失礼いたしました」と言って(できればにっこりして)抜栓を続けましょう。黙っているよりお客様に軽く詫びた方が良いと思います。

あと、あくまで必殺技ですが、どうしても抜栓に自信が持てない方へ(全ての方にお勧めしているわけではありません)

スクリューは深めに差し込みましょう。ホントはスクリューの先がコルクを突き抜けてはいけないのですが、コルクが途中で折れて残りを抜けなかったり、コルクをボトルの中に落としてしまったりするよりはぜんぜんイイと思います。コルクを突き抜けているのが見つかってもちょっとだけ減点ですみます。

お手持ちのスクリューでどの程度差し込むと、どのようになるか知っておきましょう。

ライトを付けて澱を見ながらのデキャンタージュだとしても、実際に澱があるわけでもありませんし、デキャンターに澱が入っているかどうかを試験官が確かめるわけでもありません。ですからライトを付けて、あとは”澱を見ているふり”をしてゆっくり丁寧に移し替えればいいのです。ライトをちゃんと付けて、あとは位置関係さえ間違っていなければ、ライトなんてどうでもいいんです。

そして、特に古いワインの場合、デキャンタージュは何があっても途中でやめてはいけません。何かの手順が抜けていようとそのまま続けてください。古いワインの場合は途中でやめたり、そそぐ角度を変えることで澱が舞い上がってしまいます。たとえ、デキャンタージュを終えボトルにワインが1/4以上残ったとしても(同じデキャンターに)再び移し変えてはいけません。ここはお客様(試験官)に謝罪し一先ずデキャンタージュを終えましょう。パニックになって半分以上ボトルに残してしまったら、これが正解かどうかはわかりませんが、お詫びをして違うデキャンター(予備があるかどうかはわかりませんが)に移すならまだ少しは許されるかもしれません。レストランであればクレームものです。←絶対にこうならないように気をつける!だから全部注ぐくらいのイメージで。

デキャンタージュの最中にパニックになって迷ったら、減点覚悟で全てのワインをデキャンターに移してしまうくらいのつもりでいきましょう。多めに残ってアタフタするよりもただの減点ですみます。

実技試験は減点法です。佐藤陽一さんがどこかのコラムで書いてらっしゃいました。彼曰く、立ち姿やソムリエナイフの持ち方を見ただけでその人が実践でデキャンタージュをしているかどうかがわかると。←私もわかります。

減点法ですから、けっこう失敗してもどうってことはないわけです。ここで平常心でと言いたいところですが、どう頑張っても緊張してガチガチになるのです。その極度の緊張感の中で実技を行う事を予想しながらも、うまくできる自分の姿をイメージすることが大切です。

あとは細かいミスを気にしないことです。下皿を忘れた、片付けの手順を間違えたなんて、はっきり言ってどうでもいいことで、もしかすると小さな減点ですが、この細かいミスで動揺して大きな失敗をしてしまうことの方が問題です。

基本、”通してあげよう”という温かい目で試験官たちは見ていると聞きます。だから、そんなに簡単に落としたりしません。
→というか、二次試験を経験しておわかりだと思いますが、皆さんのテイスティングは完璧でしたか?中にはブドウ品種正解ゼロで突破された方もいらっしゃると思います。
そうなんです。実技はより優しい減点法で、どんなに失敗してもなかなかマイナス30点にならないものです。

あまり大きな声では言えませんが、この三次試験の実技、ほとんど落ちる人がいません。おそらく、ボトルを落として割ってしまい実技続行不可能くらいまで失敗しないと合格ラインを下回らないはずなんです。私の周りには協会の役員で当日試験官を担当する人がたくさんいますが、その誰に聞いてもここ(実技)で不合格になることはないと言い切ります。

ですから、とにかく少々失敗や間違いがあっても一切気にする必要はありません。そして、何があってもあきらめずに最後までやり通すことがとっても大切です。

そして、練習あるのみなのですが、これから三週間ほど、騙されたと思って寝る前にイメージトレーニングをしてみてください。入室してから準備、抜栓、デキャンタージュ、ワインサービスという一連の流れを頭の中で繰り返すのです。

これまでもイメージを持つことの大切さについてお伝えしてきました。イメージが明確になれば実際にうまくいく確率はかなり上がります。反対にうまくイメージできないことはできないことが多いと私は思っております。

特に、現場で抜栓、デキャンタージュをする機会のない方へ
普段からやっているかどうかは一目でわかります。ですから、ごまかそうとせず、できることしっかりと行い、最後までやり通してください。三次試験はそれで十分です。

何かございましたらこちらまで

koza★majime2.com 松岡 正浩

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