第56回 オーストリアワインについて

   

熊本を襲った地震から二年が過ぎました。報道によりますと、いまなお38,000人の方が仮設住宅での生活を強いられているそうです。阪神大震災を経験した私はあの寒くて辛い記憶が蘇り心が痛みます。

私は熊本に縁がありまして、年に一、二回は必ず訪れております。また、素晴らしいシャルドネを造る熊本ワインにも足繁く通っております。→いつしかのソムリエコンクールにも出された菊鹿・小伏野がトップキュベです。地震の直後の6月に熊本ワインの社長にお会いしたのですが、「箱やラックに入っていたワインはそれほど被害がなかったけど、棚に置いていた貴重なヴィンテージものがほぼ全滅でした」と残念な表情で語られました。

さて、今年もありがたいことに6月はじめにワインセミナーとワイン会のお仕事をいただいており、熊本に参ります。

二年前、この熊本地震が起こる少し前に大阪でビストロを営む友人が熊本に移住しました。彼は長らく自然派ワインの人気店を経営しておりましたが、奥様が熊本出身ということもあり、いつか熊本でお店を開きたいと常々口にしておりました。

その前の冬、まだ大阪で営業中の彼のお店が不審火に見舞われました。火の出るはずのないところからの出火で、屋根にまで被害が及んだため営業できなくなりました。→調理場は一階で、二階の客席から出火しました。現在も原因は不明だそうです。そして、さまざまな葛藤の末、大阪の店を閉めて熊本に移り住んだのが地震の前の初春です。

大阪で大変な目にあいましたが、もともと熊本に移住したいという思いがあったため、心機一転気持ちを新たに熊本でスタートしようと心に決めての移住でした。

その決心を嘲笑うかののように襲いかかった熊本地震。お店を再開するために集めた食器やワインもかなり被害にあったようです。

不審火も地震も彼の落ち度ではありません。店を失い、ようやく気持ちを切り替えて新たに生活を始めた地で、二回も大きく揺れた大地震。この状況にありながら彼は熊本のワイン仲間と炊き出しを始めました。この話を聞いときに私なら同じことができるだろうかと自問していました。

その彼が、時間はかかりましたが、昨年の1月にお店をオープンさせました。短い期間にこれだけの苦難に見舞われながらも立派にお店を立ち上げたんです。当時、常に気丈に振る舞っていた彼ですが、心が折れそうになったことは一度ではないはずです。昨年、初めて彼の店に伺ったときの嬉しそうにはにかんだ表情が忘れられません。

彼の前向きな姿勢が地元のワイン仲間に受け入れられ、お客様に愛されているようで今や熊本の人気店になっていると聞きます。

今年も6月と11月に熊本に行く予定です。そして、彼に会って自分を見つめ直してきます。

——

今日からオーストリアです。

オーストリアは地理的に(時計の12時の位置に)チェコ、(3時)スロバキア、ハンガリー、(6時)スロベニア、イタリア、(9時)スイス、ドイツに囲まれています。緯度はフランスのブルゴーニュと同じくらいでしょうか。←2017年の試験で問われました!ここに書いててよかった。

ソムリエ試験対策としては重要度が増してきている国の一つで、日本の市場でも見かける頻度が上がってきております。また、シニア試験のテイスティングにグリューナー・ヴェルトリーナーが出題されたのも記憶に新しいところです。そして、いつになるかわかりませんが一般呼称のテイスティングでも出題される日が来るでしょう。

グリューナー・ヴェルトリーナーはしっかりとした酸とミネラルに支えられた比較的厚みのある爽やか系ワインとなります。ただ、まだ秋の二次試験には出題されたことがないので、”合格”する為にグリューナー・ヴェルトリーナーは視野に入れないでテイスティング対策を進めましょう。中途半端に意識すると必要以上に迷ってしまい失敗する可能性が高くなると私は思います。

近年、グリューナー・ヴェルトリーナーのみならず、素晴らしいオーストリアワインを度々見かけるようになりました。試験に合格した後に是非お試しください。

※表紙はヴァッハウのグリューナー・ヴェルトリーナーの畑

明日ではなく、今日少しだけでも頑張りましょう。 疲れているのは皆同じです!

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第56回 オーストリアワインについて

2009年以降、急激に出題が増えており、その後はコンスタントに出題されています。2017年はソムリエ呼称で三問、エキスパート呼称で二問、2016年度はソムリエ呼称で三問、エキスパート呼称で四問の出題がありました。

A オーストリアの概要
・栽培地域は北緯47~48度でこれはブルゴーニュとほぼ同緯度です。また、大陸性気候で降水量が少なくドイツより温暖です。
・ワイン法はドイツに近いですが、ワインはよりボリューム感のある辛口に仕上げられます。

・栽培面積の2/3が白ブドウです。
・ホイリゲは新酒という意味と共に、ワイン生産者兼居酒屋を指し、オーストリアのワイン産地全域で数多く見られます。ワインが生産と食と共にあることがオーストリアの一大特徴です。他の国にこのようなスタイルはほぼ見られません。

B 主なぶどう品種
●白ブドウ
・Gruner Veltliner(=Weiβgipfler)←全栽培面積の1/3を占めます。白黒合わせてもダントツ一位!
・Welschriesling→伝統的に日常ワインに
・Muller-Thurgau(=Rivaner)
・Pinot Blanc(=Weiβer Burgunder)
・Riesling(=Rheinriesling)
・Chardonay
・Sauvignon Blanc(=Muskat Sylvaner)
・Neuburger

→W・M・Nが頭についたら白…

●黒ブドウ
Zweigelt(=Rotburger)←栽培面積第二位!(黒ブドウで一位)=Blaufrankisch×St.Laurent
・Blaufrankisch(=Frankovka)
・Blauer Portuguiser
St.Laurent
・Pinot Noir(=Blauer Burgunder)

→同様にBがついたら黒…black。まだ白ブドウか黒ブドウかを判別できればいいと思いますよ。ただ、おそらくここオーストリアは年々難しくなっていくんじゃないかなとも思っています。

C ワイン法と品質区分

・DACについては次回
・KMW糖度(クロスターノイブルガー・モストヴァーゲ)1869年、純粋な糖のみの重量%

◆品質区分←ドイツに近い。

1. 地理的表示なしワイン
KMW糖度10.6度以上

オーストリア産ブドウのみを使用すること

2. 地理的表示保護ワイン

KMW糖度14度以上、栽培地方名表記
単一地域の35認可ブドウを使用

3. 原産地呼称保護ワイン
●Qualitatswein
KMW15度以上、アルコール度数9度以上
限定的生産地域産の35認可ブドウを使用、補糖可
・Kabinett KMW17度以上、補糖不可。
→KabinettはQualitatsweinの中のカテゴリー。オーストリアではPradikatsweinのカテゴリーに入らない!

●Pradikatswein
以下、補糖・ズュースレゼルヴェ不可、アルコール度数9度以上
・Spatlese KMW19度以上
・Auslese KMW21度以上
・Beerenauslese KMW25度以上
・Eiswein KMW25度以上→凍結
・Strohwein/Schilfwein KMW25度以上→藁の上、吊るして乾燥 
・Trockenbeerenauslese KMW30度以上→樹上で自然乾燥した貴腐

・Ausbruch イジードラーゼー西岸のルスト村で作られるトロッケンベーレンアウスレーゼに対する呼称。→ルスター・アウスブルッフ

品質区分ではありませんが、伝統的に…

・Bergwein 傾斜角が26度を超える斜面のブドウから造られたワイン

出題されてきたのはまだこのレベルです。過去問で確認してみましょう。

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ソムリエ試験 過去問

【過去問 2017】
ウィーンのワイン産地とほぼ同じ緯度に位置する地域を次の中から 1 つ選び、解答欄にマークしてください。

1. シャンパーニュ
2. ブルゴーニュ
3. カルヴァドス
4. ラングドック

【過去問 2017】
オーストリアで最も広く栽培されている黒ブドウ品種を次の中から1つ選び、解答欄にマークしてください。

1. Gruner Veltliner
2. Spatburgunder
3. Weißburgunder
4. Zweigelt

【過去問】
次のオーストリアワインの説明文の中で正しいものを1つ選び、解答欄にマークしてください。

1. ドイツと国境を接しているがワイン法などは全く違う考え方である
2. 栽培面積は白ブドウよりも黒ブドウの方が多い
3. 気候はドイツに比べ温暖である
4. 黒ブドウの栽培比率が最も大きい品種は Blaufrankisch である

【過去問】
オーストリアワインに伝統的に認められてきた表記で、傾斜が 26 度を超える段丘や急斜面に植えられたブドウ樹から収穫したブドウを原料としたワインを 1 つ選 び、解答欄にマークしてください。

1. Bergwein
2. Strohwein
3. Ausbruch
4. Gemischter Satz

【解説】
もし、正解を知らなくても2.〜4.は必須暗記事項なので、消去法でいけます。Gemischter Satzは次回に。

【過去問】
オーストリアで栽培比率が最も大きいワイン用黒ブドウ品種を 1 つ選んでください。

1. Merlot
2. Blauburger
3. Blaufrankisch
4. Zweigelt

【過去問】
次の記述に該当するオーストリアのプレディカーツヴァインの格付けを 1 つ選んでください。

「過熟したブドウ、および貴腐化したブドウを用いる。果汁のKMW糖度は25度以上」

1. Eiswein
2. Strohwein
3. Beerenauslese
4. Trockenbeerenauslese

【過去問】

次の記述に該当するオーストリアのプレディカーツヴァインの格付けを 1 つ選んでください。

「完熟したぶどうを藁や葦の上、もしくは吊るして 3 カ月以上自然乾燥させ、糖度の高くなったぶどうで造るワイン」

1. Auslese
2. Beerenauslese
3. Strohwein

4. Ausbruch

【過去問】

次のオーストリアのワイン法による品質分類「Qualitatswein」に関する記述中、下線部(1)~(4)で誤っている箇所を1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。

「このカテゴリーの中には、単なるQualitatswein と(1)Kabinett の2 つが属する。どちらも(2)単一のぶどう栽培地区のぶどうを使うことが義務づけられ、それをラベルに表記することが許されている。また、(3)Qualitatsweinは補糖が許され、(4)製品のアルコール度数は10.5度以上となっている」

1. (1)
2. (2)
3. (3)

4. (4)

【解説】

(1)はドイツと違うところ、(2)と(3)は同じです。

【過去問】

次のオーストリアのワイン用ぶどう品種の中から白ぶどう品種を1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。

1. Blaufrankisch
2. Blauburger
3. Neuburger

4. St.Laurent

【過去問】

次の中から、完熟したぶどうを藁(わら)もしくは葦(あし)の上で、あるいは空中にひもで吊るして3ヶ月以上乾燥させてから造るオーストリアワインの品質区分名称に該当するものを1つ選んでください。

1. Auslese
2. Strohwein
3. Ausbruch

4. Eiswein

【過去問】

次のオーストリアのPradikatsweinの中から、果汁のKMW糖度規定が最も高いものを1つ選んでください。

1. Eiswein
2. Ausbruch
3. Beerenauslese

4. Strohwein

【過去問】

オーストリアワインはドイツワインとの類似点が多くみられるが、白ワインについての違いとして最も適切なものを下記の中から1つ選んでください。

1. より爽やかで、辛口が主流
2. よりまろやかな半甘口が主流
3. よりボリューム感のある辛口が主流

4. より軽快な辛口が主流

次回はオーストリアのワイン産地についてです。

何かございましたらこちらまで
koza★majime2.com 松岡 正浩

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