第9回 ボルドーの基本

   

今日、1月17日は阪神・淡路大震災から22年目にあたります。
震災当時、私は兵庫県西宮市に住んでいました。

朝6時前、ドーンというものすごい音と共に、夢か幻かと思うほど歪んだ空間が目の前に広がり、一瞬にして全てが暗闇へと吸い込まれていきました。

あの日、私は偶然夜通しドラクエをしながら朝まで起きていたのです。初めて経験するほどのカオスの中、二階の窓から外に逃げ出すと、なんとそこには道路があるではありませんか。自宅が倒壊し、二階が一階になっていたのです。しばらく呆然と立ち尽くしたように思いますが、はっきりと覚えていません。

そのうち近所の人々も命からがら外に出てきました。倒壊したのは私の家だけでなく、無事に残っている建物を探す方が早い感じで、まさに戦後の焼け野原のような光景でした(火事にならなかったのは不幸中の幸いでした)

しばらくして一階で寝ていた祖母がまだ逃げ出していないことに気がつきました。なんとか助け出さなくてはなりません。しかし、誰もが自分の家、家族のことで精一杯です。家を解体した経験も道具もない状態でしたが、同居の伯父さん達とともに倒壊した家屋から祖母を掘り起こし、引きずりだしたのは最初の地震が起きてから5時間が過ぎた頃でした。この日は特別寒い朝でした。
本当に必死でした。それでも、やればできるものです。

祖母はその後しばらくは比較的元気に暮らしましたが、やはり自分の家がなくなったこともあるのか日に日に衰えていったように思えました。

インフラに関しては電気が二週間ほどで回復しましたが、水道とガスの復旧には数ヶ月を要しました。我が家は全壊で家がないためそれどころではないのですが、あたり一帯全ての水道とガスが完全に止まっているのです。なんでも当たり前にある生活では想像もつかない困難に度々遭遇しました。
この時、この場所には現代日本の姿が全くありませんでした。

その後数ヶ月間、自宅の瓦礫を片付け、地域の炊き出しを手伝いました。そして、給水車から水を汲んで近所のお年寄りの家々に運び続けたものです(私はこの地震のため退職しました)
悲惨な状況ではありましたが、このときの地域の人々の連帯感、やさしさ、そして何よりも前向きに頑張ろうという強い気持ちが現在の復興につながったのだと思っています。人間の強さややさしさについてこれほどまでに真剣に考え、そして感じたことは後にも先にもこの時期だけかも知れません。

2011年の東日本大震災、昨年の熊本地震が記憶に新しいところです。今なお仮設住宅にいらっしゃる方をはじめ、不自由な暮らしを余儀なくされている方々が大勢いることに心を痛めています。また、原発のことなど問題も山積みです。それでも、意思のあるところには必ず道が開けるはずです。一日も早い復興と被災された皆さまのお幸せをお祈りいたします。

〜〜〜

さて、今日から試験対策講座らしいことを始めます。表題通りボルドーからです。

というのも、酒類飲料概論は教本やどの参考書にも最初に書かれており、誰もがそこから目を通します。うまく読み進められればよいですが、なかなかそうはいかないものです。ちょっと進むとつまずいて、またしばらくして読み始めようと思うけど、どこまで読んだっけ?いいや、また最初から読もう…という繰り返し。そしてまたつまずいて…。←それ私でした…。だからとりあえず後回しにします!

また、2014年の教本より”日本”の項目が一番最初に記載されるようになりました。それでも私はフランスから始めます。
この時期はまだ今年度のソムリエ教本が発行されておりません。ただ、フランスの項目はAOCやワイン法の変更が圧倒的に少ないことからも、比較的ソムリエ教本に頼らずに勉強できるんです。

そして、やっぱりボルドーのメドックの格付けを覚えることがソムリエ試験対策らしいと思うわけで、ここを最初に超えることでソムリエ試験対策に対する一つの覚悟ができるはずです。

このような理由もあり、この講座ではフランスの項目から一次試験対策を始めます。

※冒頭の写真は、仮装して所々でワインを飲みながら走るメドックマラソンの光景です。

明日ではなく、今日少しだけでも頑張りましょう。疲れているのは皆同じです!

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第9回 ボルドーの基本

ボルドーはフランス南西部、大西洋に面した世界的に評価の高いワインの産地です。

ボルドーに流れる三つの川と大まかなイメージ

これからあげる三つの川の流れを理解するところから始めましょう。

Carte vignoble.indd, page 1 @ Preflight

 

スマホの方で見づらい方は↓こちらでどうでしょう?

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地図を見ながら大まかにイメージしてくださいね。

●上流の森林地帯からやわらかい土を運んできたドルドーニュ川
→やわらかい土が堆積し、石灰粘土質土壌を形成しました。

●ピレネー山脈から固い岩盤のかけらを運び続けたガロンヌ川
→固い岩盤が石となり流されて削られて、どんどん小さくなって砂利になりました。

●二つの川がボルドー市の北部で合流しジロンド川となり大西洋に注いでいます。
→土と石のどちらもさらに下流まで運ばれましたが、粒子の小さな土はより下に沈みます。ですから、ジロンド川左岸地域も表土は砂利が基本です。

以上より、ドルドーニュ川流域には粘土(やわらかい土)の土壌が広がり、表土の温度が低く保水性が高い粘土質土壌に適したメルロ種が多く栽培されています。
一方で、ガロンヌ川流域の砂利の土壌は水捌けがよく、砂利が熱を蓄えます。ここではこの土壌に適した晩熟型のカベルネ・ソーヴィニヨン種が主に栽培されています。
こうして二つの川によって運ばれたやわらかい土と砂利が合わさりジロンド川流域に堆積しています。2つの土壌が合わさりますが、表土の砂利の特徴がより強く見られるためこちらでもカベルネ・ソーヴィニヨン種が主に栽培されています。

【ボルドー攻略のためのポイント】

・ボルドーの地図とAOC
まず、大まかに地図を思い浮かべられるようになりましょう。ボルドーに限らず最近は地図を使った問題が増えています。AOCはボチボチ暗記です。

・メドックをはじめとする格付け
ここが最初の難関です。言い換えればここを乗り切れば少し先が見えるということです。大丈夫、あなただけでなく誰もがまずここで苦労します

ですから、今はぼんやり、なんとなく覚えればよいでしょう。で、どうしても駄目な方は“今はあきらめる”ことも一つの選択です。ここでつまづいて先に進めなければなんにもなりません。時間を作ってまた戻って来ればよいだけです。

・栽培面積や生産量などの数字は一通り試験対策を終えた後に、または一次試験直前に他の産地と比較しながら暗記しましょう。ある程度産地のイメージが頭に入った方がわかりやすいと思います。
→こちらはいつか、国別・フランスは産地別にまとめます。

さて、

A ボルドーの地図

冒頭でもふれましたが三つの川がとても重要です。ですから、ボルドーの地図をもう一度。

Carte vignoble.indd, page 1 @ Preflightスマホ用↓。

Carte vignoble.indd, page 1 @ Preflight

・地図右にも小さく記載がありますが、AOC名の前または後ろの”●”は生産が認められているワインの色を表しております。は赤ワイン、は辛口白ワイン、は甘口白ワインです。
例えば、Pessac-LeognanはAOC Pessac-Leognanとして赤ワインと白ワインの両方の生産が認められていると言う意味です。
また、右岸か左岸かという言い回しで問われます。
※右岸、左岸とは川の上流から見てどちら側かということです。

・最初は下線を引いたAOCが地図上でどこにあるのかを答えられるように、そして生産可能色(白ワインか赤ワインかなど)までしっかりと覚えてください。これが基本です。

特に覚えづらいところですが、地図下部のオレンジの丸で囲んだSauternes近辺のAOCが川のどちらにあるのか、どの順番で並んでいるのかをよく確認してください。
→2014年度はバルザック、2015年度はマルゴー、グラーヴの位置を地図上で問われました。

B ボルドーのAOC

メドック地区はすべて赤ワインです。
※たとばCh.Margauxは有名な白ワインを造っていますがAOCはBordeauxです。

・グラーヴ地区は格付けも含めいろいろと注意が必要です。
まずAOCとしてはPessac-LeognanGraves ともにですが、Graves Superieures が白半甘口のみとなります。
→Bordeaux Superieurは赤も可です。

※メドックやグラーヴの格付けは次回以降で勉強します。

Saint-Emilion、Pomerol、Fronsacと付けばすべて赤ワインです。→なんとかサンテミリオン、なんとかポムロールってたくさんありますが、ぜんぶ赤ワイン。これで十分です。

・上記地図においてオレンジの丸で囲まれた地域は甘口白ワインのAOCであり、そのほとんどで貴腐ワインを産します。

※このようにフランスのワイン法ではAOCによってブドウ品種はもちろん、栽培法から醸造法、そして造られるワインのタイプまで明確な取り決めがなされています。

・その後、余裕が出てきたころに甘口、半甘口を造っているAOCは確認しておきましょう。
※困った時の消去法に役立つんです。時間がない人は無視して問題ありません!

・その他のボルドーのAOCに関しては今後、過去問等で出てきたものを一つ一つチェックする程度で十分です。なんといっても格付けの問題が伝統的に幅を利かせており、細かい各AOCの生産可能色等に関する問題はあんまり見られません。→2016年度も変わらず格付け系の出題が3問ほどみられます。

・ブドウ品種に関しては、ボルドー全域で認められている品種を確認した後は、何となく左岸と右岸の違いを眺めている程度で十分です。

また、白は甘口・貴腐がセミヨン主体、辛口がソーヴィニヨン・ブラン主体です。

ここボルドーに関してはブドウ品種をAOCごとに細かく覚える必要は全くありません。

ひとまず今回はこれくらいで。

今後、毎回【過去問】で確認を行います。問題集や過去問の使い方については後日お伝えしますが、一番大切なことは勉強した内容がどのような形で出題されるかを知ることです。全て勉強してから一次試験前に過去問で力試しをするという考え方は基礎トレーニングばかりで実践形式での練習をしていないのと同様、あるいは、相手を研究せずにいきなり試合に出るようなもので全くお勧めできません。

さて、もう一踏ん張りです。

【過去問 2016】
次の A.O.C. ワインの中でボルドー地方のドルドーニュ川右岸に位置するものを 1 つ選び、解答欄にマークしてください。

1.  Fronsac
2.  Cadillac
3.  Barsac
4.  Entre-Deux-Mers

【過去問】
次の地図中 1 ~ 6 の中から(A)、(B)に該当する A.O.C. を 1 つ選んでください。

(A)Margaux
(B)Graves

bordeauxmap2

【過去問】
ボルドー地方において、ジロンド河の最も上流に位置するA.O.C.を1つ選んでください。

1. Margaux
2. Saint-Estephe
3. Medoc
4. Pauillac

【解説】
地図のイメージが頭にあれば簡単な問題です。

【過去問】
次の1~5 の中からボルドー地方のドルドーニュ川とガロンヌ川の間の地域で生産される、辛口白ワインだけが認められているA.O.C.ワインを1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。

1. Cadillac
2. Entre-deux-Mers
3. Sainte-Foy Bordeaux
4. Castillon-Cotes de Bordeaux
5. Sainte-Croix-du-Mont

【解説】
辛口白ワインのみのですよ。

【過去問】
次の 1-4 のボルドー地方のワイン産地の中からドルドーニュ川の右岸に位置するものを1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。

1. Sainte-Foy Bordeaux
2. Castillon-Cotes de Bordeaux
3. Cadillac
4. Sainte-Croix-du-Mont

【過去問】
次のボルドー地方の A.O.C.ワインの中から赤ワインだけが認められているA.O.C.ワインを1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。

1. Graves
2. Ceron
3. Blaye
4. Pomerol

【解説】
あれっ、おかしいなと思った方、その通りです。でも、こうして悩んだりすることが記憶に残るのです。

【過去問】
次のボルドー地方の A.O.C.ワインの中から甘口白ワインだけが認められているものを1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。

1. Loupiac
2. Premieres Cotes de Bordeaux
3. Sainte-Foy Bordeaux
4. Graves

【解説】
ここも一つ前と同じです。ソムリエ試験ってたまにこんなことがあるんです。

【過去問】
次のBordeaux 地方のA.O.C. の中から赤ワインだけの生産が認められているものを1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。

1. Entre-Deux-Mers-Haut-Benauge
2. Cotes de Bordeaux Saint-Macaire
3. Cotes de Bourg
4. Castillon-Cotes de Bordeaux

【過去問】
次のボルドー地方の地図のA~Dの中でPessac -Leognan地区を示している場所を1つ選んでください。

【地図省略】
このように地図を見て答えさせる問題が増えています。

【過去問】
次のボルドー地方のA.O.C.の中から赤だけの生産が認められているものを1つ選んでください。

1. Graves Superieures
2. Loupiac
3. Blaye
4. Bordeaux-Haut-Benauge

【過去問】
次のボルドー地方のA.O.C.の中から赤・白ともに生産が認められているものを1つ選んでください。

1. Entre-Deux-Mers
2. Fronsac
3. Graves Superieures
4. Cotes de Bourg

ワイン法やワイン市場も年々変化するため、過去の問題の模範解答が現在も正解であるとは言い切れない場合があります。反対に言えばこのようなポイントが出題されやすいとも言えます。気をつけましょう。

次回は誰もが苦労するメドックの格付けに進みます。

お疲れ様でした。本当に疲れたと思います。ボチボチやりましょう。
誰も一度では覚えられません。コツコツ頑張った人が最後に笑います。

何かございましたらこちらまで
koza★majime2.com 松岡 正浩
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 - ●フランス, ・ボルドー