第21回 ジュラ

   

日本料理店にお勤めの皆様、朗報です。今日のテーマ・ジュラのワインは日本料理に比較的良く合うんです。

独特の“山”の酸とヴァン・ジョーヌ→後ほど。に見られるようなちょっと”ひねた”ニュアンス。これらが日本料理のほんのりとした旨み、穏やかだけど一本芯の通ったところに通じるように思います。また、この地方の赤ワインのちょっと”ひねた”感じがどこか醤油を思わせるという意味でも面白い存在となります。

先日、京都で行われた日本料理のイベントで、ワインペアリングを担当しました。その会で提供されたお造りが三種、マグロの漬け、アワビ(肝のソース)、カンパチでした。この並び、どう見てもワインなら赤なんです。料理とワインの相性の基本は”色”を合わせる事です。マグロはいうに及ばず、アワビの肝のソースも黒っぽく、カンパチも白身ではありません。

このお造りに私はジュラのトゥルソーを合わせました。←あとで出てきます。フランスではこの地方でのみで見られる黒ブドウです。

ピノ・ノワールよりも黒みが強く、柔らかい酸が特徴で、どこか醤油っぽいニュアンスを持ちます。この日のお造りは先に紹介した三つ。

マグロは醤油につけられており、トゥルソーの醤油っぽいニュアンスと。アワビには肝のソースが添えられており、肝の苦味は赤ワインの渋みに完璧にマッチします。また、青背の魚は血合いがあったりとどこか血っぽく、鉄っぽいニュアンスを持つものが多いので、こちらもワインで考えるなら赤ワインです。

そして、日本料理とワインをつなぐ上でもっとも大切な要素の一つが”ワサビ”です。

ワサビの存在だけで日本料理が完全にワインに寄り添います。どちらかといえば赤ワインですが、白ワインもいけます。一度機会を見つけて、ワサビを舐めながら赤ワインを飲んでみてください。

ちなみに”ショウガ”も同様につなぐアイテムで、こちらはどちらかといえば白ワインと相性が抜群です。もし、ご家庭で肉じゃがやおでんなどとワインを楽しもうという時に、ほんの少量のショウガを加えることでワインとの相性は格段に良くなります。

ですから、この日のお造りにジュラのトゥルソーは個人的にはほぼ完璧なマリアージュだったと自負しておりました。そして、この会にお客様としてお食事にいらっしゃった祇園の日本料理の二つ星シェフからも「この赤ワイン、凄いな!刺身と赤ワインがこんなに合うなんてはじめてだよ。今度、パクっていい?」と最後は冗談交じりにお褒めいただきました。

そんな、日本料理にも通じるところのあるワインを造るジュラ地方に進みます。

さて、このジュラ地方にはComte(コンテ)というAOCチーズがあります。→ソムリエ試験においてチーズはそれほど大きなウエイトを占めているわけではありません。ですからこのような機会にお伝えしたいわけです。

このComteですが、ハードタイプの牛乳のチーズになります。

Comte
Comte

実際はとても大きい円盤状です。直径50~70cm、重さは30kg~50kgもあります。もちろん切り売りされます。

近所のサヴォワ地方には同じようなハードタイプのAOCチーズ、Beaufort(ボーフォール)があります。

Beaufort
Beaufort

こちらも大きくて、直径35~75cm、重さが20~70kgほどあります。

どちらも香りが穏やかで、クセの少ないやさしい味わいです。

日本ではジュラ地方のワインを飲む機会がそれほど多くなかったのですが、自然派ワインブーム以降、かなりポピュラーになってきた感じです。

ちょっぴり独特で”山のニュアンス、山の酸”を感じるワイン達です。

この地方のワインとコンテの相性がいいのは当然なのですが、さらに香りや味わいに似たようなニュアンスを感じるのです。特にヴァン・ジョーヌとコンテですね。機会があればぜひお試しください。

二次のテイスティングにこの地方のワインは出ませんから、わざわざ試験の為に飲む必要はありません。万が一出題されるとすれば、リキュールのところ(テイスティングコメントを問われない出題)にヴァン・ジョーヌでしょう。

明日ではなく、今日少しだけでも頑張りましょう。疲れているのは皆同じです!
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第21回 ジュラ

Jura

ブルゴーニュの東、スイスとの国境付近、アルプス山脈から続くジュラ山脈の裾野に広がる産地です。白ワインが7割近くを占めます。

【ポイント】
ジュラ地方に関しては毎年必ず出題されるわけではないものの、黄ワイン(ヴァン・ジョーヌ)や独特のブドウ品種が出題の対象となります。

・この地方特有のブドウ品種とAOC
・黄ワイン、藁ワインについて
・アルコール発酵の原理を解明したルイ・パストゥール生誕の地

A 主要ブドウ品種

・白ブドウ
サヴァニャン(=ナチュレ)
シャルドネ(=ムロン・ダルボア)←栽培面積最大
ピノ・ブラン

・黒ブドウ
プールサール黒ブドウの8割を占めます。
トゥルソー
ピノ・ノワール(=グロ・ノワリアン)

ここに記載されたシノニムは重要です。

B 特殊なワインたち

・Vin Jaune←ここはしっかり理解してください。
完熟したサヴァニャンを白ワインとして醸造後、60ヶ月以上樽貯蔵し、その間目減り分の補充(ouillage)澱引き(Soutirage)もしない。このため産膜酵母が活動し、ワインの液面に白い膜(Fleur du Vin)が発生します。こうして時間をかけて独特の風味(クルミやノワゼットなど)を持つワインができあがります。Clavelinと呼ばれる620mlの瓶につめられ出荷されます。
※スペインのシェリーにいろいろな意味で似ています。

Vin de paille←こちらはほどほどに重要。
収穫後3、4ヶ月すのこの上で乾燥(Passerillage)させ、その後ゆっくり発酵させる。アルコール度数は14.5~17度→ふつうのワインよりかなり高い!木樽熟成2~5年(三年間販売禁止、うち18ヶ月は木樽熟成)、Potsと呼ばれる375mlのビンにつめられる。

こちらはVin Jauneと違い、甘口に仕上がります。

Vins de Liqueur
発酵させていないブドウ果汁に蒸留酒を加えて熟成させた甘口ワイン。酒精強化ワインの一種。アルコール分は通常のワインよりも高め。←そのうち出てくるVins Doux Naturelsと区別して理解してください。

C 主要AOCについて

基本的に、この地方のAOCは赤・白・ロゼ、さらに黄ワイン・藁ワイン全てが認められていると考えてください。

例外的で注意が必要なAOC
Chateau-Chalon 黄ワイン(Vin Jaune)のみ、サヴァニャン
L’Etoile 白、黄ワイン(Vin Jaune)、藁ワイン(Vin de paille)
※Vin Jauneはサヴァニャン
・Cremant du Jura 白・ロゼ(Cremantとつけば赤はない)
※クレマンの規定は全て同じ。

Vins de LiqueurのAOC
・Macvin de Jura 赤・白・ロゼ

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動画によるインターネットソムリエ試験対策講座

『Sommelier For Free』

は今も全28回が公開されています。

今回のテーマ”第9回 – ジュラ地方”なども参考にされるとよいと思います。こちらの講師の方は2005年の日本ソムリエ協会主催ワインアドバイザー全国選手権大会の優勝者です。私も一通り見てみましたが、”見る”情報としてとても有意義だと思います。
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ソムリエ試験 過去問

【過去問 2016】
Vin Jauneの熟成規定として正しいものを1つ選び、解答欄にマークしてください。

1. 木樽で最低36カ月以上
2. 木樽で最低48カ月以上
3. 木樽で最低60カ月以上
4. 木樽で最低10年以上

【過去問】
ジュラ地方独特のヴァン・ジョーヌに使用される Clavelin と呼ばれるボトルの容量を 1 つ選んでください。

1. 20    cℓ
2. 37    cℓ
3. 62    cℓ
4. 75    cℓ

【過去問 2015】
Vin Jaune の最低熟成期間を 1 つ選んでください。

1. 1 年間
2. 3 年間
3. 6 年間
4. 10 年間

【解説】
最近、教本の記載が変わりました。最新の数字を覚えてください。

【過去問】
ワイン用ぶどう品種 Savagnin からヴァン・ジョーヌだけを造ることが認められている A.O.C. を 1 つ選んでください。

1. Cotes du Jura
2. Chateau-Chalon
3. L’Etoile
4. Arbois Pupillin

【過去問】
ジュラ地方のアルボワに関係が深く、ワイン醸造に大きな功績を遺した人物を1人選んでください。

1. ジャン・アントワーヌ・シャプタル
2. ルイ・パストゥール
3. ゲイ・リュサック
4. アレクサンドル・デュマ

【過去問】
ヴァン・ジョーヌにおける「Gout de Jaune」について適切な説明を1つ選んでください。

1. 花の風味
2. フルーツの風味
3. スパイスの風味
4. くるみの風味

【解説】
Goutとはフランス語で”味””味覚””センス”という意味で、蓼食う虫も好き好きという諺がありますが、フランス語ではchacun son gout(直訳すると各々の味覚)といいます。

【過去問】
次のジュラ地方のワインに関する記述について正しい場合は1を、誤っている場合は2を選んでください。

「Vin Jauneは最低6年間は樽貯蔵をし、その間OuillageおよびSoutirageしてはならない。また、Vin de Pailleは、規定上、圧搾した日から3年は販売ができないとともに、この期間のうち18ヶ月以上は木樽で熟成させなけらばならない。」

1. 正   2. 誤

【解説】
2010年以降、上記のような正誤問題が出題されるようになりました。二択なので一見簡単そうに見えますが、四択に比べて消去法が通用しないことに加え、他の選択肢から何かが判断できるという可能性もありません。より正確な知識を問われることになります。例えば上記の問題は全ての数字を正確に覚えていなければ正解にたどり着けないのです。

【過去問】
次のフランス産チーズの中からVin Jauneと最も相性のよいものを1つ選んでください。

1. Bleu d’Auvergne
2. Langres
3. Comte
4. Banon

【解説】
チーズに関してはひねった問題は出ませんから、迷わずこの地方のチーズを選んでください。

【過去問】
次の1~4の文章の中から正しいものを1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。

1. Vin Jaune の醸造法では、完熟したSavagnin もしくはChardonnayを用いる。
2. Vin de Paille を醸造するには、ぶどうを収穫後、藁やすのこの上で乾燥させたぶどうを使用する。
3. Passerillage とは、熟成途中の樽詰めワインの目減り分を補充するという意味である。
4. ぶどう果汁の発酵前にアルコールを加え発酵を停止させ、リキュールのような天然の甘味を残したワインはVins Doux Naturelsと呼ばれている。

【過去問】
次のジュラ地方で生産されるワインおよび飲料に関する記述の中から誤っているものを1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。

1. Vin Jauneは最低6年間は樽貯蔵をし、その間OuillageおびSoutirage をしてはならない。
2. Vin de Paille は規定上圧搾した日から3年間は販売できない。
3. Vin de Paille はPots と呼ばれる375mlの瓶に詰められる。
4. Macvin du Jura は、この地方のV.D.L.でロゼ、白のみが認められ1年以上木樽で熟成させなければならない。

【解説】
上記の選択肢の中で誤っている部分は4.の「ロゼ、白のみ」という箇所だけで(赤も可)、その他は正しいことを述べています。

【過去問】
ジュラ地方のヴァン・ジョーヌの樽熟成過程においてワインの表面にできる酵母による皮膜の呼称を1つ選んでください。

1. Ouillage
2. Soutirage
3. Fleur du Vin
4. Clavelin

いかがでしたか?項目は少ないですが内容は少しハードでしたね。特にヴァン・ジョーヌについてしっかり理解してください。そして、いつの日にかコンテとヴァン・ジョーヌのマリアージュを経験していただければと思います。

何かございましたらこちらまで
koza★majime2.com 松岡 正浩

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 - ●フランス, ・アルザス、ジュラ、サヴォア