第14回 ソーテルヌの格付け

   

ソーテルヌの当たり年といわれている1967年のCh. Suduiraut→コミューン名はPreignacをテイスティングした時のお話です。

フランス時代、私はあるワイン会の最後のアイテムとしてCh. Suduiraut 1967を出しました。集まったメンバーはフランスに来てまでワインや料理を勉強しようという基本プロばかりです。

ワイン会も佳境に入った頃、その面々を前にして注がれた琥珀色のトロリとした液体は言葉にできないような神聖でかつ華やかな香りを放ち、その空間にいたすべての人を魅惑の世界へといざないました。

けっして忘れることのないこの香りと味わいを言葉にすることなどできませんが、あえて…。

~~~

白や黄色のさまざまな花びらと栗と蜂蜜、清涼感のある青いハーブを煮詰めて、その後乾燥させた強い直線的な甘さが長い長い時間をかけてゆっくりと華麗にゆるやかにほぐれていったとでも言えばよいのでしょうか。

この液体がグラスに舞い降りてからしばらくして、その甘さが宙を舞いながら私たちを優しく包み込み空間を完全に占拠しました。奥の方には、突き抜けるようなミネラルに心地よい樽のニュアンスが複雑に絡み合っています。

味わいもホロホロと崩れかけた心地良い甘さ、溶け込んだ酸とミネラルが口いっぱいに広がり、これでもかというくらい長い余韻が続きます。

このほぐれて解放された甘さとミネラルが強烈な存在感でありながら、ワインとして完全なバランスを保っていたのです。

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この日の感動を一生忘れることは無いでしょう。

緻密に構成された甘味・旨みなどのワインの各要素が球体状からホロホロっと崩れて口の中に広がることこそ、ギュッと詰まったものがフワッと解放されたときの甘美さこそ、ソーテルヌ醍醐味であると理解した瞬間でした。

ソーテルヌがただの甘口ワイン、洗練された甘さ、長い余韻の心地良さだけではないということを強烈に印象付けた一本です。

さて、このワイン会はブラインドテイスティングでしたから、その時点で参加者はこのワインが何であるかを知らされていません。さらに驚くべきことが続きます。

ある一人の方(女性ワインライター)がコメントの最後に
『この完璧な素晴らしさが表現されるのは私の生まれ年のソーテルヌに違いありません!』
と断言されたのです。→この答えに私はドッキリ!

もちろん大正解。→そして一同ビックリ!

このCh. Suduiraut 1967が私の人生の一本となっていることは言うまでもありません。
→一昨年、再びこのCh. Suduiraut 1967をこの時にご一緒したワインライターの方と飲む機会がありました。この話はまたいつか…。

数年後、ソーテルヌ伝説のヴィンテージといわれる1959年Ch. Coutet→AOC Barsacを飲んでみました。私は上記のCh. Suduiraut 67のイメージが強烈に残っていましたから、このCh. Coutet 59のあまりにも若々しく、生き生きと伸びのある表情に対して反対に残念な印象さえ持ってしまいました。

この59年も素晴らしいワインでしたが、まだ私が求める飲み頃にまで達していなかったのです。しかし、これもまた記憶に残るワインです。

実はCh. d’Yquemの1959年も経験があります。上記のCh. Coutet 1959でも若々しいのですからYquemはまだまだ飲み頃なんて状態ではないんだろうなと思っていました。そして、私の想像を遥かに超えるくらいあまりにも硬く若々しくピチピチしていたものですから50年も待ったことが←実際に待ったわけではありませんが。馬鹿馬鹿しく思えるくらいでした。このワインは100年は余裕で持つと思われます。そして、私の求める飲み頃はいつになるのか想像することもできません。
→さらに昨年、Yquemの1929年をテイスティングしたのですが、若干劣化だったんですよね。いや、劣化のニュアンスは全く感じないのですが、何かがおかしい。色もヴィンテージポートなみに真っ黒で。私の結論は「この時のYquem1929は何がしの劣化だけど、その劣化すらも包み込んでしまうくらいの強さを持つのがイケムたる所以」かなと。

さらに自慢は続きます。

こちらも当たり年、1928年のCh. Rieussec→コミューンはFarguesです。さすがにここまで来るとかなりこなれており、熟成感と果実味のバランスが心地よく、まさにソーテルヌの極み、間違いなく誰もが美味しいと思えるとっても素晴らしい状態でした。それでも、Suduiraut 1967の”長い時間をかけて華麗にゆるやかにほぐれていった”感を知ってしまった今、Ch. Rieussec 1928の”ほぐれ方”がまだまだだなぁなんて贅沢なことを思った思い出の一本です。

写真が残っていました。

その後もいろいろと古いヴィンテージのソーテルヌを試しました。ソーテルヌの古酒って本当にスゴイのです。

※この与太話で紹介した四つのシャトーの内、イケムを除く三つのシャトーはAOC名やコミューン名がちょいと独特なので、なんとなく覚えておいてください。

さて、今日は世界三大貴腐ワインの一つ、ソーテルヌについてです。

※表紙はChateau d’Yquemです。
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明日ではなく、今日少しだけでも頑張りましょう。疲れているのは皆同じです!

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第14回 ソーテルヌの格付け

I ソーテルヌとバルザックの格付け

甘口貴腐ワインの産地として世界中にその名を知られるソーテルヌはボルドー市から南へ約40キロ、ブドウ畑はガロンヌ川の支流の一つであるシロン川周辺に集まっています。
 
水温の低いシロン川が温かいガロンヌ川に流れ込むことによって霧が発生し、その湿気の多い気象条件によってボトリティス・シネレア (貴腐菌)が繁殖します。このボトリティス・シネレアがブドウに付着することにより、果皮が破れ果実の水分を蒸発させ、結果としてブドウの糖分が凝縮されます。このブドウから糖度の高い世界最高クラスの甘口白ワインが出来上がるわけです。
←基本的なイメージは抑えておきましょう。シロン川も出題されたことがあります。

●Ch. d’Yquem
こちらは
Premier Cru Superieur
という格付け名をしっかり覚えてください。Grand Cruでも、ただの一級でもありません。

●Premiers Cru
シャトー名を見て一級であるかどうか、そしてコミューンがSauternesまたはBarsacであるか、わかればよいでしょう。
その中で、
Ch. Coutet
Ch. Climens のみがAOC Barsacになります。(コミューン名もBarsac)
→私はクーテ、クリマン、バルザックというリズムで覚えています。

上記以外はすべてAOC Sauternesになりますが、コミューン名に注意しなくてはなりません。
Ch. Guiraud-Sauternes (AOC、コミューンともにSauternesはここだけ)
Ch. Suduiraut-Preignac
Ch. Rieussec-Fargues

その他の6シャトーはAOC Sauternesにコミューン名はBommesになります。

Premiers Cru一覧です。

Ch. Coutet Barsac
Ch. Climens Barsac
Ch. Suduiraut Preignac
Ch. Guiraud Sauternes
Ch. Rieussec Fargues
Ch. La Tour Blanche Bommes
Ch. Lafaurie-Peyraguey Bommes
Ch. Clos Haut-Peyraguey Bommes
Ch. de Rayne Vigneau Bommes
Ch. Rabaud-Promis Bommes
Ch. Sigalas Rabaud Bommes

・Deuxiemes Cru
こちらも同様に二級であるかどうかを答えられると理想的ですが、私は一級さえしっかり覚えればよいと思っています。→シニア試験受験の方は覚えましょう。

さて、ボルドー全体の【過去問】も合わせて確認です。

ソムリエ試験 過去問

【過去問】
ソーテルヌ&バルサックの格付け 1 級銘柄を 1 つ選んでください。

1. Chateau Filhot
2. Chateau Romer
3. Chateau Caillou
4. Chateau Suduiraut

【過去問】
ソーテルヌ & バルサック村の格付けで、バルサック村で生産されているプルミエ・クリュのシャトーを 1 つ選んでください。

1. Chateau Guiraud
2. Chateau Coutet
3. Chateau Rieussec
4. Chateau Suduiraut

【過去問】
下記の地図 A ~ D の中から A.O.C.Barsac の場所を 1 つ選んでください。
bordeaux20ba-thumbnail2

【過去問】
次のソーテルヌ & バルサック地区の記述について正しい場合は 1 を、誤っている場合は 2 を選んでください。

「ソーテルヌは起伏に富み、代表するシャトーであるシャトー・ディケムはソーテルヌの中で最も標高の高い丘の頂上にある」

1. 正
2. 誤

【解説】
ソムリエ試験的には答えられなくてもよい問題だと思います。ただ、すべての生産者についてこのような情報を持つことは不可能ですが、イケムクラスのトップ生産者に関してはワインの世界の常識として知っておくほうがよいでしょう。いわゆるテロワールといわれるものです。この記述は正解です。

【過去問】
ソーテルヌ & バルサックの格付けで、ソーテルヌ村で生産されている Premiers Crus のシャトーを 1 つ選んでください。

1. Chateau Coutet
1. Chateau Filhot
1. Chateau Guiraud
1. Chateau Climens

【過去問】
バルサックの格付けシャトーを1つ選んでください。

1. Chateau Rieussec
2. Chateau Suduiraut
3. Chateau Coutet
4. Chateau Guiraud

【過去問】
次のシャトーの中から1855 年のSauternes およびBarsac格付けでSauternes 村で生産されている1 級のシャトーを1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。

1. Ch. Guiraud
2. Ch. Climens
3. Ch. Filhot
4. Ch. Coutet

【過去問】
次のボルドー地方Sauternes & Barsacの格付けシャトーの中から、Sauternes村で生産されているものを1つ選んでください。

1. Chateau Climens
2. Chateau de Myrat
3. Chateau Guiraud
4. Chateau Caillou

【解説】
二級が混ざっていますから一瞬躊躇するかもしれませんね。でも、一級格付けをコミューン名までしっかり覚えておけば問題ありません。
2.と4.はAOCはSauternesですが、Sauternes村ではありません。

【過去問】
次の 1-4 の中から Chateau d’Yquem の 格付名称として正しいものを1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。

1. Premier Cru Superieur
2. Premier Cru Classes
3. Premier Cru
4. Grand Cru

【解説】
こちらは数年前の過去問ですが、近いところでは2012年のシニアで同様の出題が見られます。

【過去問】
バルサック村の格付けシャトーを1つ選んでください。

1. Chateau Suduiraut
2. Chateau Rieussec
3. Chateau Guiraud
4. Chateau Climens

【過去問】
次の1~5の中からSauternes、Barsac の貴腐ワインを造る自然条件で最も関連性のある川を1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。

1. シロン川
2. ロット川
3. ドルドーニュ川
4. シェール川
5. セラン川

【解説】
こちらは難問の部類に入ると思います。

【過去問】
次の Bordeaux 地方のぶどう栽培面積に関する記述の (a) および (b) に該当する数値を下記1~8の中からそれぞれ 1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。

ボルドーで生産されるワインのほぼ全てが A.O.C.ワインで、その栽培面積は 2005年実績で約 (a) ha 。フランスのA.O.C. ワインの栽培面積の約 (b) % を占め、フランス最大のA.O.C. ワイン産地となっている。

1. 95,000
2. 105,000
3. 123,000
4. 143,000
5. 18
6. 26
7. 31
8. 38

【解説】
このような産地のデータは個別に覚えると大変だと思うので、私は他の産地とともにまとめて覚えることをお勧めします。ですから、今は気にせず先に進みましょう。
解答は(a)―3 (b)―6 です。

【過去問】
次のフランスのボルドー地方に関する記述の中から正しいものを1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。

1. ボルドー地方のA.O.C.でLes Appellations Regionales といえばA.O.C.Bordeaux やA.O.C.Bordeaux Superieur 等がこれにあたる。
2. ボルドー地方はA.O.C.ワインの栽培面積では、フランス最大の産地である。
3. 1855 年のメドックの格付けは、ボンタン騎士団によってつくられた。
4. Entre-Deux-Mers地区の地名は2つの大河、ジロンド川とガロンヌ川に由来する。

【解説】
1. ジェネラル→地方、レジョナル→地区、コミュナル→村です。
3. ボンタン騎士団なんて全く関係ありません。
4. 川の位置関係を理解しているとわかります。

【過去問】
次のボルドーワインに関する記述の中から誤っているものを1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。

1. Ch. d’Armailhac は、ポイヤック村で生産されているメドックの5 級格付けシャトーで1989 年より名称変更となった。
2. Ch. d’Arche とCh. Filhot はソーテルヌ&バルサックの2 級格付けシャトーで共にSauternes 村で生産されている。
3. Ch. Smith-Haut-Lafitte とCh. La Tour-Haut-Brion はグラーブの格付けシャトーで共にタランス村で生産され赤だけが認められている。
4. Ch. Magdelaine とCh. Trottevieille は共にサン・テミリオンの格付けプルミエ・グラン・クリュ・クラッセ(B)に格付けされている。

【解説】
上記は2009年の問題で、なかなかの難問です。多くの人が2.と3.で迷うところだと思います。共にポイントがSauternes村でありタランス村であるところです。過去の出題傾向からするとここまで問うのかという気もしますから、最初は気にしなくてよいと思います。正解は3.。
※Ch. Magdelaineは現在、同経営のCh. Belair-Monangeに吸収され、格付けを外れました。満点を取る必要はありません。七割取れたら合格です。

【過去問】
ボルドーのボトルサイズ「Bouteille」の容量に該当するものを1つ選んでください。

1. 200ml
2. 375ml
3. 750ml
4. 1,500ml

【解説】
ボルドーの問題というよりフランス語の問題!?ちょっと変な問題ですね。普通にワインボトルや一瓶を指します。

【シニア過去問】
次の中からボルドー地方が属する県名に該当するものを1つ選んでください。

1. Garonne
2. Gironde
3. Dordogne
4. Medoc

【解説】
シニアの問題ですが、これも何となく頭の片隅にあればいいなぁという感じです。教本にもしっかり出ていますよ。

お疲れ様でした。いやー大変でしたね。もう半分以上忘れていることでしょう。あなただけではなく、みんな簡単に覚えられないんですよ。そして、誰もが通る道です。繰り返し暗記するしかありません。

ボルドー終了です!!

何かございましたらこちらまで
koza★majime2.com 松岡 正浩
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