第51回  ドイツワインについて

   

ベルンハルト・フーバー醸造所 VS フランスワイン

先日、ドイツ・バーデンの生産者・ベルンハルト・フーバー醸造所の現当主ユリアン・フーバー氏が来日されました。そして、その時に“フーバーのワインはどのくらい凄いのか”ということを検証するためのセミナーの進行役を仰せつかりましたのでこちらで報告させていただきます。

参加者は大阪を代表するソムリエ達(30代から40代)十数名。

私はもともとフランス料理のソムリエでしたし、フランスに住んでいたこともあり、完全にフランスワインに傾倒しております。その私が本当に素晴らしいと思うのがこのフーバー醸造所です。生産地域はバーデン、フランスから見るとアルザスのお隣、ドイツとしては南の比較的暖かい地域になります。

このフーバー醸造所のワインとフランスワインのそれぞれ価格的に近いもの(フランスワインの方が若干高め)を2種ブラインドテイスティングしてどう感じるのか、現当主ユリアン氏、出席したソムリエから印象を聞いてみようという企画です。平たく言えば、ベルンハルト・フーバー醸造所VSフランスワインという対決形式のテイスティング会、フランス側のワインは私が選びました。→当日のワインリストはオープンになっており、二種並んだどちらがフーバーでしょうというブラインド会でした。

始まる前に全てのワインを並べて写真を撮ったのですが、ユリアン氏が一言「ちょっと自信無いかも…」とボソっと。ボギュエのボンヌ・マールも並んでいますからね。

1:泡もの対決
A:ゾエミ・ド・スーザ・ブリュット・プレシューズ・グラン・クリュ ブラン・ド・ブラン NV
VS
B:フーバー・ブラン・ド・ブラン・ゼクト・ナトゥーア 2008

最初はシャンパーニュとゼクトのブラン・ド・ブラン対決でした。

ゾエミ・ド・スーザはアヴィーズ←覚えてますか?の超人気レコルタン”ド・スーザ”のエリック・ド・スーザ氏の娘・シャルロットさんが最高責任者を務める新しいシャンパーニュメゾンです。アヴィーズらしく、シャルドネのキリッと感が特徴的。

さて、進行役の私、いきなり失敗してしまうんです。会のスタートで場が緊張感に包まれていると感じたこともあり、最初に参加者の中で最も重鎮クラスのソムリエさんにコメントを求めてしまいました。彼が外観から味わいまでしっかりと解説してくれたので、他の方の意見を聞くまでもなく、どちらがフーバーのゼクトか決まってしまいました。誰も彼には逆らえません(笑)。

ゼクトは2008年で約10年の熟成を経ているため、グラスから立ち上る泡が綺麗に一筋立ち登ります。一方のシャンパーニュはNVで瓶熟期間もこのゼクトほどではないためか、泡がまだ荒々しく、よりシュワっとした印象でした。

ゾエミ・ド・スーザの方が爽やかでアペリティフ向きではありますが、比べてテイスティングすると、この溶け込んだ泡の繊細さ、香りや味わいの奥深さから圧倒的にフーバーのゼクトに軍配があがりました。さらにゼクトはノンドゼです。(ゾエミ・ド・スーザはドサージュ7g/l )→ドサージュ、覚えていますか?甘みを加えることはある意味深みや複雑さを加えることにつながるのですが、それでもゼクトの存在感、複雑さには及びませんでした。

さて、様々な意見を聞こうと思っていた矢先、いきなり正解をバシッと答えるであろう重鎮ソムリエを指名したことを反省し、次の対決から最初に「どちらのワインが好みですか」という質問に挙手してもらってからテイスティングコメントをいただくことにしました。

2:ピノ・ブラン対決
A:フーバー・ヴァイサーブルグンダー 2015
VS
B:ロベール・シュヴィヨン・ニュイ・サン・ジョルジュVV 2014(セパージュはピノ・ブラン)

この対決が一番面白かったんです。

少しお勉強です。ドイツでヴァイサーブルグンダーはフランスでいうピノ・ブランです。で、ピノ・グリはグラウブルグンダー(ルーレンダー)ピノ・ノワールはシュペートブルグンダーとなります。ソムリエ試験的には要暗記項目です。

ロベール・シュヴィヨンは私がニュイ・サン・ジョルジュで三本指に入る生産者として大好きなドメーヌです。本職は赤ワインですが、ブルゴーニュでも有数のピノ・ブランを造っています。

テイスティングをしていただいた後、同様に最初に「どちらのワインが好みですか」ということで挙手をお願いしました。あくまで好みなので、どちらのワインがフーバーかということは問うておりません。

結果、ほぼ半々。

2名のソムリエにテイスティングコメントを述べていただき、Aがフーバーのワインであるとの解答をいただきました。そして、私もその答えに納得しましたので(私もブラインドです)、では、当主のユリアン氏にコメントをいただこうと話を進めかけた瞬間に、先出の重鎮ソムリエが「僕は反対だと思うんですよねぇ。フーバーのヴァイサーブルグンダーはよりブルゴーニュに近いニュアンスがあるのでBの方がフーバーだと思います」と力強く答えられました。

”おっと、面白い展開じゃないの。ブラインドテイスティング対決なんだから、こうした反対意見が欲しかったのよ”と心の中で思いながら、さらに他の数名の方に意見を伺うと、意見がほぼ二つに割れました。

では、改めてユリアン氏に聞いてみようということでコメントを求めると第一声が
「迷いました…」と。
一同この答えにびっくり。そして、
「Aのワインがニュイ・サン・ジョルジュのピノ・ブランだと思う。そして、私はこのAのワインのように果実味と酸のバランスに優れた綺麗な白ワインを造りたい」とコメント。

ユリアン氏がこのように答えた以上、Aをフーバーとしたグループは分が悪そうです。重鎮ソムリエもBをフーバーだと言っていますし。→私は発言してませんがAがフーバーでした。

そして、正解発表…。

ジャーン!Aがフーバーのヴァイサーブルグンダーでした!

ユリアン氏が”こんな綺麗な白ワインを造りたい”って言った方が自分のワインだったというオチで、場内一同大いに盛り上がりました。

私はこの対決前からこのフーバーのヴァイサーブルグンダーを世界最高のピノ・ブランだと信じております。→このワイン以上のピノ・ブランがあったら教えてください。だから、どのような結果になっても私自身がブレることはないと思うのですが、まさかユリアン氏が自分のワインを間違えるとは思いもよりませんでした。正解の知った時の彼の驚きと目尻の下がった笑顔が忘れられません。

3:ピノ・ノワール対決 1
A:ジャン・グリヴォー ブルゴーニュ・ピノ・ノワール 2013
B:フーバー マルターディンガー・シュペートブルグンダー 2013

続いて赤ワイン、ピノ・ノワール対決です。

ブルゴーニュ好きには言わずと知れたヴォーヌ・ロマネの雄・ジャン・グリヴォー。ヴォーヌ・ロマネらしいふくよかで紫系のピノ・ノワールを醸します。

こちらも最初に好きな方を選んでいただくと、圧倒的にBに手が上がります。8割のソムリエがBが好みであると。

私のフーバーのシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)の印象はシャンボール・ミュジニーからヴォーヌ・ロマネです。決して直線的で赤く鉄っぽいジュヴレ・シャンベルタンではなく、またやや土っぽいコート・ド・ボーヌ的ではありません。洗練された赤いバラからスミレのイメージ、ふわっと宙を舞うミネラル。Bのワインからやや暑さを感じるもののこの洗練されたピノ・ノワールのニュアンスを感じました。
一方でAのワインは残念ながらやや資質に欠けるように感じました。Bと比べるとどうしても荒さが目立ってしまう。ただ、軽くて飲みやすいという意味ではAに軍配があがるかもしれません。

そして、ふたを開けてみてもBがフーバーのシュペートブルグンダー。AはクラスとしてはACブルゴーニュですから贅沢を言えませんが、価格的にはブルゴーニュというブランドでもある為、フーバーよりも若干高めです。

そうなると個人的にどちらを取るかとなればどう考えてもフーバーを欲しいと思うわけです。そして、私は実際にお客様に「騙されたと思って飲んでみてください。ブルゴーニュのピノ以上にブルゴーニュらしいですから」と言いながらお勧めしたりしております。だって、確かにドイツですが香り・味わいでは間違いないんですから。フーバーをご存じない方もたいていこの洗練されたブルゴーニュっぽさにビックリされます。

ここはほぼ皆さんBがフーバーで正解でした。今回参加されたソムリエさんたちはフーバーのワインをよく知っていたようです。

次回に続きます。

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さて、今日からドイツに進みます。一昔前はソムリエ試験対策の中心的な存在で、覚えにくい畑の名前をブツブツ念仏のように唱えながら覚えたものです。

ただ、近年はそれほど重要視されておりません。ですから、出題範囲は広いですがポイントを押さえて効率よく、まぁ7割くらい取れればいいかなくらいの気持ちで進めてもよいかもしれません。昨年受験した私の友人はさらっとこの講座を読んで、あとは過去問だけを繰り返してドイツは終えたと言ってました。

ドイツ対策に関してはいろいろ思うところがあるのですが、まだ四月のこの時期だからこそ、イタリアよりもスペインよりも先にやっつけてしまおうということで始めます。

※表紙は悠然と流れるライン川(ラインガウ)
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明日ではなく、今日少しだけでも頑張りましょう。疲れているのは皆同じです!

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第51回  ドイツワインについて

私が受験した十数年前には毎年コンスタントに10問前後出題されており、ソムリエ試験対策の一つの山場でした。ただ、時代の流れからか出題が徐々に減少し、2011年度には一部呼称で試験範囲から外されるということもありました。→今では考えられないのですが、2011年までは出題範囲がある程度指定されていました。

そして、近年どの程度出題されているのか見てみました。

昨年度はソムリエ呼称、エキスパート呼称共に5問出題されました。2015年度はソムリエ呼称5問、エキスパート呼称6問2014年度、2013年度、2012年度はそれぞれ3問程度となっております。

昨今の”冷涼ワイン”への回帰からかソムリエ試験的にもドイツ復活の兆しを感じます。この講座でも一昨年くらい前までは、”本当に時間の無い人はドイツをあきらめることも合格するためにアリかもしれません”とお伝えしていたくらいですが、そうも言ってられなくなりました。

ですから、どこまで試験対策を行うのかの線引きが必要なのではないかと思うわけです。

そこで、ここ十数年の出題傾向を調べてみました。(ドイツの全出題数に対するそのカテゴリーの出題の割合です)

■13の特定栽培地域に関する問題 29%
・生産量の多い地域、少ない地域が問われます。
・栽培面積が広い地域が問われます。
・最北の地域など位置関係も問われます。
・地域の特徴に関する出題が少々。

・ドイツワイン全体と絡めての問題

■ベライヒ、畑の名前に関する問題 12%
『次の畑の中から、Hattenheim村にあるものを1つ選び…』
というタイプの皆さんが苦労する問題です。

→何とも言えませんが、ここをあきらめることも一つの考え方です。ここは日常でドイツワインにふれている方でないと本当に頭に入らないように思います。

■ワイン法、地域ごとのいろいろなワインに関する問題 29%

ドイツはこれまで学んだフランスとはタイプの異なるワイン法を制定しています。

■ワイン用語に関する問題 3%

ほとんど出ないと思っていいですね。2015年は一問出ましたが…。

■ブドウ品種に関する問題 20% 

ブドウ栽培の北限であることもあり、厳しい環境に耐えるブドウを交配によって作り出しています。この交配に関する問題とシノニムが試験で狙われるわけです。

■歴史、その他の問題 7%

2016年、2015年共に出題がありました。一次試験直前に教本をサラッと読むだけでも違うと思います。

上記赤字の項目はおさえておきましょう。ベライヒ、畑の名前に関する問題は出題されても一問でしょうから、覚えなくてもいいんじゃないとこっそり思っております。

何とも言えませんが、2017年度も5問程度は出題があるんじゃないでしょうか。どこまで覚えるかは皆さん次第ですが、この講座ではドイツ対策として一通りやります。

さて、始めます。

A ドイツのワイン法
最初に過去の出題からワイン法などに関する単語を拾ってみました。
・Pradikatswein(Q.m.P.) 9
・Selection 5
・Classic 3
・Weiβherbst 2
・A.P.Nr 2
・Der Neue 2
・Hock 1
・VDP 1
・Trocken 1
・Deutscher-Tafelwein 1
・Qualitatswein(Q.b.A.) 1
・Riesling S 1
・Sekt 1
・Schaumwein 1
・Liebfraumilch 1

・Charta 1

※今年の教本には記載のないものもあり、この講座の【過去問】からは削除することにします。

ワインの法律
●Deutscher Wein
・ドイツ国内産のブドウを100%使用
・”ブドウ品種”と”収穫年”の表示が可能→シュペートブルグンダー、リースリング等の伝統的な主要品種の表示は不可。

・地理的表記は不可。生産国(ドイツ)のみ表記

●Landlwein
・ブドウは指定地域産を85%以上使用

・味の規格は基本トロッケン(辛口)とハルプトロッケン(中辛口)のみ

●Qualitatswein(Q.b.A.)
・13ある特定ワイン生産地域のうちの一つの地域内で収穫されたブドウを100%使用し、その地域内で醸造
・その地域で許可されたブドウ品種のみ使用可
・最低アルコール度数が7%以上
・補糖可
・公的検査合格番号A.P.Nr.を表示しなくてはならない。

検査年号が記載されます。収穫年(ヴィンテージ)ではありません。

●Pradikatswein(Q.m.P.)
補糖は不可
・糖分測定法はドイツの物理学者の名前を取ってエクスレという単位で表されます。
・果汁糖度に準じて六段階の肩書があります。

→あくまで収穫された時の糖度が基準で、ワインの味わいのタイプを決定するものではありません。
1 カビネット 熟したブドウ
2 シュペートレーゼ 完熟ブドウ
3 アウスレーゼ 完熟、一部貴腐ブドウ
 ↑ ここまでは最低アルコール度数が7%以上
 ↓ 以下は最低アルコール度数が5.5%以上
4 ベーレンアウスレーゼ 過熟か貴腐ブドウ
5 アイスヴァイン 樹上で凍結したブドウ
6 トロッケンベーレンアウスレーゼ 干しブドウ状の貴腐ブドウ

ひとまずここまでとして、過去問は長くなるのですが、次回以降まとめてやります。

今回はドイツを攻略するためのイメージを持てれば十分です。全てを覚える必要はありません。必要ないと思えば、どんどん捨てて先を急ぎましょう。その方が合格に近づくものなんです。

何かございましたらこちらまで

koza★majime2.com 松岡 正浩

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