第62回 ブルガリアのワイン

   

ある方からメールをいただきました。

28歳の男性です。

私は現在、フランス料理店で料理人として働いております。そして、いずれ小さなお店を持ちたいというささやかな夢があります。ですから、料理だけでなく、ワインも自分で勧められるようになりたいと思い、三年前からソムリエ試験の勉強を始めました。

ただ、仕事をしながらの試験対策は非常にハードルが高く、これまでほとんど満足に勉強することができませんでした。こんな状況ですが、挑戦してみなければ始まらないと思い、昨年受験しましたが当然惨敗でした。

私は要領が悪く器用でもないため、未だによく怒られています。また、この業界に入ったのも料理が好きだからという理由ではなくひょんな事から、たまたまといった感じです。

周りの料理に人生を賭けているような人達と比べて、劣等感の塊で怒られてばかり私。そんな私が未だに料理を続けてこられたのも周りの人達のおかげです。うだつの上がらない私を先輩や同期、後輩たちが支えてくれました。そんな自分を少しでも変えたい、成長したい、逃げたくないと思い今に至ります。とにかく続けることが恩返しだと思い、その延長でいずれは自分のお店を…と考えるようになりました。

実は今、ワーキングホリデーヴィザでラングドック地方のレストランで働いております。ここでもフランスにまで来て料理を極めようという情熱のある人たちと比べて自分には何もないと感じてしまいます。この状況に至っても料理好きではないですが、フランス料理を食べること、ワインを飲むのは大好きです。

このような葛藤の中、他の料理人に無いものを手に入れようと考えた末、ソムリエ資格を手にすればなにか変えられるのではという安易な考えを持ったわけです。

現在はシェフの勧めもあり、日頃からワインを触る機会のあるサービスを担当しております。厨房勤務の頃よりも時間は作れるようにはなったのですが、慣れないフロアーの仕事のためここでも怒られてばかりです。落ち込んでテンションが下がり、ネガティブさが顔に出てしまっているようで、周りの人達から本気で心配されています。料理をしていた頃の方が生き生きしていたと言われています。なので、これからの立ち振る舞いをどうしようか悩んでおります。

時間がなくなるのを承知で厨房に戻るか、それともこのままサービスを続けるのか。

話が長くなって申し訳ございません。お忙しい中少しでもお時間がございましたら何かアドバイスを頂けたら幸いです。

先日、あるお店でサービスをしている人の悩みを聞く機会がありました。その方も間もなく30歳なのですが、「このままこの仕事を続けてよいものか、特に他にやりたいことがあるわけではないのですが」というものです。

私はこの業界に長くおります。不遇の時代もありましたが、今は本当にこの飲食の世界を選んで、(私の場合はサービスですが)この職について良かったと心から思っております。ただ、そう思えるようになったのはここ7,8年くらいでして、それまではアフター5も土日もないし、社会的な面でもあんまり信用されないし、他の可能性があるのかもと考えたものです。

さて、そんな私が迷える30歳前の飲食業界の方にお伝えしたいことは二つです。

一、
そろそろ人生の方向性を決めるべき年頃です。この飲食の世界でやっていくかどうかを今一度真剣に考えてみましょう。そして、この世界でやると決めたなら本気で、これまで以上に思いっきり頑張らなくてはなりません。

ただ漠然と惰性で続けるくらいなら、他の仕事を探しましょう。こんなに労働時間が長くて休みも少なく、お金にならない仕事をする理由は全くありません。年齢的にもまだ可能性があります。

これからも飲食業界の仕事を続けると決めたのであれば、まわりから”あいつ、変わったよね”といわれるくらいに打ち込んでみることです。思いっきり頑張る中で、自分の”想い”がどんどん強くなってくるようでしたら成功に一歩近づいていると私は考えます。

お客様も含めて美味しいものを追求する人達が集うこの世界。私はこの業界で成功するポイントの一つは目立つことだと思っております。そして、この業界で思いっきり頑張っている人は目立つんです。食べ物って、生きる上でなくてはならない身近なものだからかもしれません。ですから、普通のサラリーマンがガムシャラに頑張ることとちょっと違うように感じるんです。

飲食業界に従事するものとして、最終目的は自分をいかに表現するかだと思います。料理人は自分の店を持って、自分の料理で勝負するという表現がわかりやすいのですが、雇われでもいいんです。地方の旅館の料理人であっても。今は地方発信の素晴らしい食材、お店も全国に知られるようになってきました。

また、ようやく少しずつサービス側も脚光を浴びるようになってきたおかげで、サービス人も自分の表現ができる時代になりました。有名ソムリエがいるレストランやワインバーなどはその一つの形態でしょう。バーは人の表現の一形態だと思いますが、昔から名物マスターがいるお店は各地に存在します。

そして、料理人もサービスも技術うんぬんありますが、最後は人の部分での勝負です。この表現をするということは受け手が必要で、であれば目立つことが必須なんです。目立って(もちろん叩かれることも承知の上です)選んでいただかなくてはならない。例えば、テレビCMって良い悪いではなく、知ってもらうために多額のお金をかけています。目立つ、広く知ってもらうことって商売の基本です。ただ、その目立ち方に関しては人それぞれの考え方があるので一概に言えません。ひっそりと、知る人ぞ知る、隠れ家的、一見お断りも全て、ある意味目立ち方と捉えることができます。

この表現のために、人として力を蓄えるために辛くて厳しい長時間労働の下積み時代があるんです。
→以前、某ホリなんとかさんは何年も修行する人はバカだとか言ってましたが、彼は飲食業に関していろいろとわかっていないと、私は思います。ただ、彼自身は”できる人”だと感じるのですが。

表現することは想いの強さに比例します。料理、ワイン、お茶、デザート、コーヒーなど、自分が表現しようとするものに対する強い”想い”を持てるようにならなければ、こんなに辛い仕事を選ぶ必要はないと思うんです。

この業界においても目指すところは人それぞれだと思いますが、中途半場な気持ちであればスッパリ諦めることも一つの選択肢です。

二、
飲食業界って”夢”が他の職業よりも身近です。自分の店(一国一城の主!)を持つという夢も十分実現可能ですから。
また、これは個人差あるのですが、多くの一般的な会社勤めの方では知ることのできない世界、刺激的な環境を垣間見、経験することが期待できます。

サラリーマンであれば世界のトップになれる可能性は、宝くじの一等に連続で当たるよりも低くほぼゼロですが、料理人・ソムリエであれば可能性が見えないわけではありません。もちろん、果てしなく厳しい道のりですが、少なくとも道は存在しております。

私の話をしますと、この仕事を選んだおかげで数年前までフランス・パリで生活しておりました。私にとってパリは物質的にも精神的にもこの上ない場所でした。いろんな点でフランスが合っていると感じておりましたので、フランスで生涯を終えてもいいなとすら考えておりました。
現在はさまざまな葛藤の末、日本で暮らしておりますが、「人生をここで」と心から思える空間・場所を見つけられたこともこの仕事を選んだからで、また、この仕事を通して知り合った方たちのおかげだと感謝しております。私の場合、特に学生時代ですが、日本では生きづらさを感じていたことも影響しているでしょう。

この業界にいなければフランスというところはテレビや書物の中だけだったわけです。

また、この業界は美味しいもの、美味しいお酒が集う場なので、様々な交流が期待できます。ハイクラスの方や成功者、人に何かを与えることができる方は大抵美味しいものが大好きです。そして、美味しいものつながりで、上記の方たちと出会い接点を持つことで見えてくる世界があります。さらに、その世界を知り、その世界の中で活躍することができればおそらく一般的な会社員としては経験できない、または達することのできないさらなる世界を垣間見ることができると私は感じております。

私は数年前に“サービスとは”という命題に自分なりの答えを見つけたといいますか、(言葉にするのは非常に難しいのですが)霧が晴れそうになったといいますか、これまで見えなかった何かが見えたように思った瞬間があります。いや、まだ完全に見えたわけではないのですが、これまでこのようなことはなかったので、もしかして一つの境地に到達できるのではないかとさえ期待しております。←私個人における一つの境地です。

今もお店に属し雇われて働いておりますが、ある意味個人として本気で勝負しております。この勝負する中で育まれる何かが、もしかするとこのある境地に導いてくれているのかもしれません。

いや、熱くなってしまいました。
ここがソムリエ試験対策の場であることをすっかり忘れておりました。

この私がいただいたコメントに答えるのですから、中途半端にサービスに従事するのではなく、調理場に戻るべきだと声を大にして言います。決して料理人がサービスに出ることがよくないと言っているわけではありません。←いや、是非経験してほしいです。中途半端な気持ちがいけないんです。お店の人手が足りなくて仕方なくサービスにでもないようですし。

もう一つ、ソムリエ資格を持っている料理人なんてゴマンといますし、そもそもソムリエ資格を取ったくらいではどうにもなりません。調理師免許を取ってもそれだけでは意味がないのと同じです。

それでも、この業界でやっていくと決めたのなら、もう後戻りしないと決めたなら調理場に戻り、試練は続きますが、ソムリエ資格を取りましょう。

冒頭で”ささやかな夢があります”と書かれています。そして、料理人という環境にいながらもこちらの講座をご覧いただきワインの勉強をされています。夢に大きい小さいは関係なく、まず夢と思えるものを持てたこと、そしてその夢に向けて歩き始めていることは本当に幸せだと思います。

この”ささやかな夢”をもっともっとイメージして日々過ごされるとどんどん夢が近づいて来るはずです。その過程での悩みや苦しみ、葛藤は誰にでもあるものです。山登りは楽しいことばかりではありません。喉が渇いて、足が痛くなり疲れてフラフラになることもあるでしょう。山頂を見失い、道を間違えて途方にくれることもあるでしょう。でも、夢への道を歩き続ければ必ず到達できるものなんです。

その”ささやかな夢”、影ながら応援したいと思います。

明日ではなく、今日少しだけでも頑張りましょう。疲れているのは皆同じです!
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※表紙は北部ドナウ平原のワイン畑

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第62回 ブルガリアのワイン

このブルガリアは以前2009年に出題がありました。そして、2016年にも出題されました。

さっそくですが、ブルガリアのkeywordです!
・バルカン半島、ドナウ河
・ラキア→白いブランデー
・白ブドウ:ミスケット
・黒ブドウ:ガムザ(カダルカ)、マヴルッド、ルビン(交配品種)

以上 !

A ブルガリアのワインについて
バルカン半島に位置し、ドナウ川に面し、ルーマニアの南、ギリシャとトルコの北、黒海の西にある国です。

・紀元前何千年からトラキア人によってワイン造りが行われてきました。

・Rakiya ラキア

ラキアはバルカン半島でポピュラーな蒸留酒。梨やベリー系などさまざまな果物から造られます。
→自家製のものになると、さまざま果物を砂糖、水とともに桶に入れて1ヶ月ほど発酵させ近所にある蒸留所に持ち込むようです。

B ブルガリアのワイン法
・原産地呼称保護ワイン

 PDO:現在52生産地が認められている。→EUのワイン法以前はGDO、GCDOと呼ばれていた。

C 主なブドウ品種
・白ブドウ
ディミャット:フルーティ、フレッシュ、
ミスケット・チェルヴェン(レッド・ミスケット):高品質レッドだけど白ブドウ。
・黒ブドウ
パミッド:かつてはブルガリアで最も栽培されていた。テーブルワイン。
ガムザ(=カダルカ):酸度が高く、タンニン少。
マヴルッド:高級品種、フルボティ

・交配品種(黒)
ルビン=シラー×ネッビオーロ

D ブルガリアのワイン産地

・北部ドナウ平原
最大のワイン産地の一つ

ソムリエ試験 過去問

【過去問 2016】
ブルガリアが位置する半島を 1 つ選び、解答欄にマークしてください。

1. ペロポネス半島
2. イベリア半島
3. イストラ半島
4. バルカン半島

【過去問 2016】
ブルガリア独特のブドウ品種で白ブドウを 1 つ選び、解答欄にマークしてください。

1. Mavrud
2. Pamid
3. Red Misket
4. Gamza

【過去問】

次のブルガリアのワイン用ぶどう品種の特徴に関する記述に該当する品種を下記の中から1 つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。

「東ヨーロッパの他の国々ではカダルカと呼ばれる。ワイン用ぶどう畑の約2%でしかないが、かつては北部の主要品種であった。比較的酸度が高く、タンニンは少ない」

1. Gamza
2. Rubin
3. Dimiat

4. Mavrud

【過去問】

次のブルガリアの概略に関する記述の中から誤っているものを1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。

1. ブルガリア共和国は、ヨーロッパ南東部のバルカン半島に位置している。
2. ブルガリアの2005 年度のワイン生産量のうち、白ワインは40%、赤ワインは60%である。
3. ワインの他にラキアと呼ばれる白いブランデーが生産され、よく飲まれている。

4. ブルガリアワインの約40%が輸出されている。

【解説】

今年の教本には記載がないようですが、近年まで6割以上が輸出されているとありました。よって、1~3の記載が正しいということになります。

【シニア過去問】

次の中からブルガリアにおいてワインの他に生産される白いブランデーの名称に該当するものを1つ選んでください。

1. マール
2. ラキア
3. グラッパ

4. ディミャト

【シニア過去問】

次のブルガリア独特の品種の中から辛口白ワインの生産に使用されるぶどう品種を1つ選んでください。

1. Pamid
2. Gamza
3. Mavrud

4. Red Misket

【シニア過去問】

ブルガリアのプレヴェンにおいて1950年代にシラーとネッビオーロの交配によって造られたワイン用ブドウ品種を一つ選んでください。

1. Gamza
2. Rubin
3. Melnik

4. Pamid

【シニア過去問】
ルーマニアとブルガリアが面する海の名称を1つ選んでください。

1. 地中海
2. 死海
3. 黒海
4. カスピ海

ここもサラッと流して次に進みましょう。

何かございましたらこちらまで

koza★majime2.com 松岡 正浩

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