第58回 スイスのワイン

   

安いワインを勧めてはいけない話を続けます。

高いワイン、安いワインというカテゴリー以外でもいろいろと気を遣います。

ワイン愛好家の方、特にブルゴーニュ好き、シャンパーニュ好きの方がワインを選ぶ際に最も重要視することは”造り手が誰であるか”ということです。さらに、そのワインが何年ものなのか、古いワインになるとどこから入手したのか、色はどうなのかということまで求められるお客様もいらっしゃいます。

ただ、ここまで求められる方はワインリストの受け取り方から読み方まで他の方とぜんぜん違いますので、初めてご来店いただいた方でもほぼわかるものです。

とはいえ、パリ時代にこんなことがありました。

ある日、パリ「あい田」にオーバーオール姿に化粧っけのない短髪の日本人女性が来店されました。「あい田」にドレスコードはありませんが、正直”えっ”と思う服装だったのです。←私も服装には無頓着な方ですが、それでも仕事柄いろいろと思ってしまいます。

日本人観光客の方に多いのですが、あまりにもレストランにそぐわない姿でお越しにられる方がいらっしゃいます。買い物袋をたくさん下げて運動靴でレストランに来られるなどは最悪です。ここでも日本人ってマナーがないなとフランス人に思われているんです。

さて、このオーバーオールの女性、一種独特の雰囲気を持っており芸人さんか芸術家の方かもと一瞬よぎりました。それでも私の中の第一印象は情熱大陸を見てパリ観光のついでに来られた方だろうということに落ち着きました。

その後、最初に食前酒をお伺いするのですが、たいていここまでのやり取りや言い回しでお客様のなんと言いますか経験値が測れます。

そして、その女性はかなりスマートに”じゃぁ、グラスでシャンパーニュを”とおっしゃったのです。本当に意外でした。もしかして”オレンジジュース”って言われるのではと思ったくらいでしたから。

「あい田」ではグラスのシャンパーニュにアンボネイ←覚えてますか?のエグリ・ウーリエ・ブリュット・トラディション・グラン・クリュを出していました。

そして、シャンパーニュをサービスしている途中でその女性は”あっ、ウーリエ使ってるんだ”とつぶやかれたのです。私はビックリして彼女をまじまじと見てしまったように思います。

シャンパーニュのサービスの途中でエチケットを確認しエグリ・ウーリエだと認識された。

この瞬間から彼女に対する見方が180度変わりました。確かに、最初に一風変わった独特の雰囲気を持っているなと思ったんです。ただ、ここはフランス、独特の空気を持っている人はゴマンといます。

エグリ・ウーリエを知っているということはワインの経験値がかなり高いということです。まず、知らない人はEgly Ourietって簡単に読めません。さらに当時日本のレストランでこのエグリ・ウーリエをオンリストしているレストランはそう多くはなかったはずです。エグリ・ウーリエに対する私の長年の想いを話すと長くなるのでやめますが、私と相田は自信を持ってこのシャンパーニュをお出しておりました。

最近でこそ大人気のようですが、当時は知る人ぞ知る、あい田に来るフランス人ですら10人に一人くらいしか反応しない生産者でした。←日本料理に日本円で30000円前後出そうという人達です。(多くのフランス人にとって日本料理はある意味ファーストフード的なイメージです)いわゆるお金持ちの食通、ワイン好きばかりが来店されます。もちろん、わかっていても反応しない方もいらっしゃったでしょう。

この方から”お勧めは”と聞かれた私はとっておきのスペシャルをお持ちしました。ワインのクラス、造り手、ヴィンテージ、そして許容されるであろう価格、全てにおいて満足いただけるような在庫の中で私が最高だと思うワインを。

大変申し訳ないのですが、全てのお客様に全てが最高だと思えるワインを準備することはなかなか難しいものです。そして、そこまでの必要性がないとも言えます。もともとリストに載せているワインは基本的に私が美味しいと思っているワインばかりなのですから。また、ワインの名前を聞いただけで興味、好奇心をくすぐる”全てが最高だと思うとっておきワイン”はそれらを求めているだろうなという方の分くらいしか手に入りません。

お客様を見るということについて考える時はいつも上記のオーバーオールの女性のことを思い出します。

ちなみにこの方はある地域ではとても有名な料理人の方だそうで、その後私は彼女の経営するお店に伺いました。

※表紙の写真の解説。テラス状に広がる葡萄畑と栽培農家の小さな村が織り成す景観が2007年に「ラヴォー地区の葡萄畑」のとしてユネスコの世界遺産に登録されました。

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第58回 スイスのワイン

ちょっと意外でしたが、スイスは数年前まで試験にほとんど出題されておりませんでした。輸出量が圧倒的に少ないからかもしれません。ただ、ここ二、三年間は確実に出題があり、流れは変わってきているようです。

A スイスのワイン

・地理的にはフランスの東に位置し、ドイツ、オーストリア、イタリアに囲まれています。
・白ワインと赤ワインがほぼ同量生産されています。
・ワイン消費に関して、自国の生産量の二倍を輸入に頼っています。

●主なブドウ品種

白ぶどう
シャスラ=グートエーデル→栽培面積第2位(白ブドウではNO.1)、60%
ミュラー・トゥルガウ
・シャルドネ

黒ブドウ

ピノ・ノワールラウブルグンダー栽培面積第1位、49%
・ガメイ→栽培面積第3位(黒ブドウではNO.2)
・メルロ→栽培面積第4位(黒ブドウではNO.3)
・ガマレ、ガラノワール→どちらもガメイとReiなんとかの交配品種。栽培面積が増えています。

B スイスのワイン産地

大きく三地域に大別されます。

●スイス・ロマンド地方(フランス語圏)

スイス西部。全生産量の8割を占める一大産地。白ブドウはシャスラ、黒ブドウはピノ・ノワールガメイ

・Valais ヴァレー
ローヌ川上流。スイスワインの4割を生産する最大の産地。→標高が高い。650m以上
ファンダン(=シャスラ)、ヨハニスベルグ(=シルヴァーナー)、ピノ・ノワール
Dole(ドール):ピノ・ノワールとガメイを85%以上使用した赤ワイン

・Vaud ヴォー
レマン湖の北側に面する上質ワインの生産地域。生産量はスイスで2番目。シャスラが6割を占めます。
Lauriers d’Or Terravin:シャスラ→州の評議会で基準をクリアしたものに与えられる称号

La Cote:シャスラ

Lavaux:デザレー、カラマンなどのグランクリュを含む優良産地

・Geneve ジュネーヴ
ペルラン(=シャスラ)
スイスで最初にAOCを導入(1988年)

・Neuchatel ヌシャテル
シャスラ産地、瓶内2時発酵のスパークリングも。Oeil de Perdrix(ウイユ・ド・ペルドリ):ピノ・ノワールのロゼ

●スイス・アルモン

●スイス・イタリエンヌ(イタリア語圏)

スイスの南、イタリアとの国境付近。

・Ticino ティチーノ
メルロが有名です。

ソムリエ試験的にはまだ出題の歴史が浅く、基本的な問題ばかりです。

ソムリエ試験 過去問

【過去問 2016】
シャスラが生産量の約 60% を占めるスイス第 2 のワイン生産地を 1 つ選び、解答欄にマークしてください。

1. Vaud
2. Geneve
3. Neuchatel
4. Valais

【過去問 2016】
国際都市としても有名で 1988 年からスイスで初めて A.O.C. を導入した生産地を 1 つ選び、解答欄にマークしてください。

1. Ticino
2. Vaud
3. Valais
4. Geneve

【過去問】

スイスで栽培面積が最も大きいワイン用白ブドウ品種を 1 つ選んでください。

1. Chardonnay
2. Chasselas
3. Muller-Thuragau
4. Sylvaner

【過去問】

スイス南部 Ticino 州で最も多く栽培されているブドウ品種を 1 つ選んでください。

1. Pinot Noir
2. Gamay
3. Merlot
4. Syrah

【過去問】

2007 年にブドウ畑の美しい景観とワイン造りの長い歴史が評価されてユネスコの世界遺産に認定されたスイスのワイン生産地を 1 つ選んでください。

1. La Cote
2. Lavaux
3. Chablais
4. Cote-de-l’Orbe

【過去問】

スイスで最も栽培面積の広いワイン用白ぶどう品種を 1 つ選んでください。

1. Chardonnay
2. Chasselas
3. Muller-Thuragau

4. Sylvaner

【過去問】

スイスのワイン産地 Lavaux が属する州を 1 つ選んでください。

1. ジュネーヴ州
2. ヴォー州
3. ティチーノ州

4. ヴァレー州

【過去問】

スイスで最も栽培面積の広いワイン用白ぶどう品種を1つ選んでください。

1. ミュラー・トゥルガウ
2. シャスラ
3. シャルドネ

4. シルヴァナー

【シニア過去問】
スイス ティチーノ州の主要ワイン用黒ぶどう品種名を原語またはカタカナで記入してください。

 【解説】
こちらはシニアの問題なので、筆記での解答を求められますが、ここ数年、一次試験では選択肢以外の出題は見られません。

【シニア過去問】

スイスにおいて、ブドウ収穫量が最も多いワイン生産地を一つ選んでください、

1. Valais
2. Vaud
3. Geneve

4. Neuchatel

【シニア過去問】

スイスのVaud州でLauriers d’Or Terravinの称号が与えられるワイン用ブドウ品種を一つ選んでください。

1. シャスラ
2. ガメイ
3. ピノ・ノワール
4. ミュラー・トゥルガウ
ここはそんなに苦労しませんね。今日はここまでにします。

何かございましたらこちらまで
koza★majime2.com 松岡 正浩
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