“無添加”という名前に騙されないで。スーパーやコンビニで売られている酸化防止剤無添加ワインについて

   

数年前にある大手の情報サイトにアップしたコラムです。そして、その一年後のある日、理由はわかりませんが、いきなり削除されていました。少々過激で偏った内容なのかもしれませんし、日本の”果実酒”売り上げのかなりを占めるものですので、誰かにとって都合が悪かったのかもしれません。

この記事の時代以降、状況はやや良い方向に進んでいるとはいえ、まだまだ一般消費者には非常にわかりにくく、誤解されている方が多数いらっしゃるというのが現状だと思い、再度こちらにアップしようと思った次第です。

もしかすると論述試験対策になるかも、なんて都合の良いことは言いませんが、ソムリエ呼称、エキスパート呼称問わずワインのプロとして認知されるわけですから、今一度考えていただきたいと思っております。
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“無添加”という名前に騙されないで。スーパーやコンビニで売られている酸化防止剤無添加ワインについて

スーパーやコンビニには”酸化防止剤無添加”と謳われた数百円程度のワインが大量に売られています。しかし、世界的に見るとこれらは「ワイン」と呼べるシロモノではなく、人工果実酒のようなもの、騙されてはいけません。

『日本に輸入されているフランスワインには酸化防止剤が入っているからフランスで飲んだほうが美味しいって聞いたんだけど本当?』

「いいえ、違うんですよ。日本に輸入されているワインだけでなく、フランス国内で消費されるものも含め、ほぼ全てのワインに酸化防止剤が使用されています。ワイン造りに酸化防止剤は必要不可欠なものです」

『でも、日本に入ってくるワインのエチケットを見ると【酸化防止剤(亜硫酸塩)】と書かれているわ』

「それはフランスや諸外国には酸化防止剤添加に関する表示義務がないだけで、”ロマネ・コンティ”も”ドンペリ”も”シャトー・マルゴー”も、世界中で造られる99,99999%のワインは酸化防止剤を使用して造られています」

『えっ、そうなの!?。でも、日本ではスーパーやコンビニに”酸化防止剤無添加”と書かれたワインがたくさん並んでいるわ』

「はい。とても残念なことに、日本には明確にワインを規定した法律が存在しないため、世界ではワインと呼べないような果実酒までワインとして販売されています」

『はぁ…』

「一般的なワインはブドウを搾って、その果汁そのものをそのまま醗酵させて造ります。とってもシンプルです。水を足すことも熱を加えることもありません。ここでイメージしてみてください。

リンゴの皮をむいてそのままにしておくとすぐに茶色に変色しますよね」

『確かにリンゴは茶色くなるわね』

「これはリンゴが酸化しているんです。だから、変色させないために酢水につけたりしますよね。さて、先ほど言ったようにワインはフレッシュなブドウを搾った果汁から造られます。

その搾ったブドウ果汁をそのままの状態で放置して何も変化しないわけがないと思いませんか?」

『言われてみればそうかもしれない』

「ブドウ果汁が醗酵を始めるまでにかなり時間がかかります。であれば、ブドウ果汁もリンゴと同じように空気にふれることで酸化してしまいます

『それでも、日本には酸化防止剤無添加と謳っているワインがたくさん存在する…』

「はい。でも、よく考えてみてください。世界中のワインが酸化防止剤を使用して造られている中、人件費の高いこの日本において数百円でそんな夢のようなワインを造ることができると思いますか?」

『確かに…そうね。しかもあんなに大量に。どこのスーパーでもコンビニでも見かけるし』

「そうなんです。一般的にワインは農産物ですが、日本で数百円で売られている”酸化防止剤無添加ワイン”は工業製品と言っても過言ではありません。酸化防止剤を使わないための”工業的な”処理がなされているんです」

『えっ、それはひどいよ』

「はい。本当にひどい話です」

『だから、それらが”ワイン”ではないというのね』

「そうです。日本で数百円で売られている”酸化防止剤無添加”と書かれたワインは他の国ではワインとは呼べない”まがいもの”です。安易に一般消費者の安心感を得るために「無添加」というネーミングを使用し、工業的に造ったアルコール飲料」

『でも、誰もが知っている大手メーカーが造っているわ』

「そうなんです!何よりも許せないのは、一方では”ちゃんとしたワイン”をまじめに造っている大手のビールメーカーや酒造会社が、これらの”まがいもの”を大々的に”ワイン”として売り出していることです」

『まぁまぁ、おさえておさえて』

「世界のワイン生産国にはワインに関する明確な法律がありますが、残念ながら日本では法律上での”ワイン”の定義が非常に曖昧です。ですから、このような”まがいもの”までワインとして販売されるわけです」

『ところで、酸化防止剤無添加ワインってどんなものなの?』

一般的なワインとは全く違った製造工程でもって工場で大量生産された”人工果実酒”です」

『具体的には?』

「国産ワインと書かれていても果汁は外国産です。主に濃縮して冷凍して輸入されます。この段階でワインと呼べる国は他にありません」
※ようやくこのあたりも法整備されはじめました。

『えっ、国産ワインなのに外国産のブドウが使われているの?』

「国産のブドウがこんなに安いはずがありません。さらに酸化させないための工業的手法に頼ることになります」

『はぁ。もう何をしても、どう手を加えても驚かないけど』

「何をするかというと、冷凍濃縮果汁を水で戻して糖分を加え、醗酵させます。そして、醗酵を終えた液体を加熱殺菌し過剰なろ過を行うことで風味を殺し、今後一切熟成しない状態にします。そのため、香りや味わいが不自然になったりするので、こっそりと何かを付け加えるわけです。いろんな方法で」

『安価で安定したアルコール飲料…ではあるわけね』

「そのようなとらえ方もあるでしょう。発泡酒をビールと呼べないようにこの”酸化防止剤無添加ワイン”もただの果実酒として出荷するなら何も言いません。ワインと表記するから問題なんです」

『ワインって、酸化防止剤を使わないとちゃんと造れないってことね』

「さらに言えば、ワインは出来上がったものも酸化に弱く、酸化防止剤を使用しないとまず健全な熟成は望めません。これらはワイン業界的には常識です」
※極々少数ですが、酸化防止剤を一切使用しないで素晴らしいワインを造っている自然派の生産者もいらっしゃいます。そして、それらはこの日本の”酸化防止剤無添加ワイン”とは似ても似つかないワインです。

『でも、ちょっと名前が悪かったね。”酸化防止剤”って』

「そうですね。この名前がよくない食品添加物を連想させるのかもしれません。
そして、いつからか”酸化防止剤無添加ワイン”というマーケティングによって”酸化防止剤”という言葉だけが一人歩きし、ワインをあまり存じない方にとって悪者のようなイメージになってしまいました」

『最近の日本のワインは格段に良くなってきたって聞くんだけどなぁ』

「その通りです。近年、日本で栽培されるブドウから造られる日本のワインは目覚ましい進歩を見せており、世界に出しても全く遜色のない素晴らしいワインがたくさん造られています。
これらの日本のワインと今日話題の”酸化防止剤無添加ワイン”は全くの別物です。そして、ようやく日本のワインに関するルールを見直す方向になってきました。

私としては、このような”まがいもの”にワインという名称を使えなくなることを強く願いつつ、日本でちゃんとまじめにワインを造っている方の為にも早急にしっかりとした法整備がなされることを望みます」

『で、そもそも酸化防止剤って何なの?』

「今日はそろそろ時間なので、またの機会にしましょう」

次回はこちらの続き、酸化防止剤についてコラムのアップします。

何かございましたらこちらまで
koza★majime2.com 松岡 正浩

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