第121回 ソムリエ呼称の論述試験について考えてみました。

   

”一見さんお断り”の続きです。→前回はこちらです。

フランスでは、子供を連れてレストランに行くという習慣が基本ありません。レストランは大人が楽しむところという認識のもと、絶対に子供を連れて行かないんです。ですから、ベビーシッターを頼むという行為がとても一般的で、大学生のアルバイトとしてベビーシッターがそれなりのポジションを占めます。私の経験上、予約の時に何も言わず黙って子供を連れてくるのはアメリカ人か日本人でした…。

パリの「あい田」時代にも、時折お子様連れでご来店されるお客様がいらっしゃいました。子供を連れて行かないことがマナーと思いながらも、予約時にその旨をお伝えしているわけではないので(だってフランスではそれが当たり前だから言う必要がない)基本的にはしぶしぶ受け入れておりました。

ですから、テーブルで遊び始めたり、グズったりしたお子様がいた時にはすぐに親御さんに外に連れ出してもらっておりました。
そして、どうにもならない場合はオーナーの判断の元、そのままお帰りいただいたこともあります。子供に罪はありませんが、子供が数時間の食事を楽しむことができるとは思えません。
お一人様200~300ユーロ(3万円~4万円)のお代をいただいているお店です。食器から内装までこだわりぬいた大人の空間と共に食事を楽しんでいただきたいのです。隣の席で塗り絵やミニカーで遊ぶ子供、キャッキャと奇声を発する幼児がいることを許容するフランス人は多くありません。レストランにおいては子供の存在が他のお客様の迷惑につながることがあります。

このように考えると”一見さんお断り”というシステムはお店側、お客様側の双方にメリットがあるとも考えられます。

お客様もお店側が提供する快適な空間を約束され、安心していつも同じ雰囲気で食事を楽しむことができます。突発的な何かによって迷惑を被る可能性が低いことが何よりも特筆すべき点です。お店が決めたルールに外れた方、マナーの悪い方、お店の雰囲気を害しかねないと判断された方など(お店に見合わない服装で来られる方、酔って声の大きくなる方・絡む方、品のない方、極度の偏食の方など)お店にとってマイナスと思われる人達がいないということはお店にとってはもちろん、常連のお客様にとっても大いなる安心感につながります。特に高級店では(高いお金を払うんですから)大切なことだと私は思うのです。

”一見さんお断り”ですから万人に開かれていない飲食店です。そのお店にたどり着くためにはそれなりの能力、努力、財力が必要かもしれません。一億総中流の日本人にはなかなか理解が難しい問題かもしれませんが、万人が平等であることなどあり得ないわけで、その必要もないわけです。

ある意味認められた人しか入ることのできない世界、そこにいるお客様は少なくともそのお店では認められた方であって、そのような環境であるからこそ最高にもてなされ、くつろぐことができると考えることも一つだと思うわけです。

あと一回続きます。

※表紙の写真はモーゼル川沿いに並ぶのブドウ畑
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第121回 ソムリエ呼称の論述問題について考えてみました。

ここ数回で、昨年、一昨年の論述試験、近年のアドバイザー呼称の口頭試問を振り返ってみました。ある程度、流れがつかめたのではないでしょうか。

ちなみに【論述】を辞書で引くと
ろんじゅつ
意見や考えを筋道立てて述べること。また、その述べたもの。

ソムリエ協会の役員の方にそれとなく伺うと、位置づけとしてはアドバイザー呼称の口頭試問であり、これまで行ってきた口頭試問をなくしてもよいのかという話からこの論述試験案が浮上したとのことでした。頷けるような気がします。

さて、論述試験について考える前にもう少し、対面面接形式になった2011年とその翌年2012年の口頭試問を見てみます。

2011年

1. シャルツホーフベルクの特定ワイン生産地域は?
2. 甲州種の皮の色は?
3. カリフォルニア州サンタ・バーバラでの主要黒品種は?
4. DOCaプリオラートは何地方か?
5. クリュ・ブルジョワについて、①どの地区の名称か、 ②その名称を説明しなさい。

6. DOCG アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラの①ぶどう品種、 ②ワインのタイプと特徴について説明してください。

2012年

1. ボージョレ・ヌーボーとはどのようなワインですか?
2. ボージョレ・ヌーボーの市場価格はどれくらいですか?
3. ボージョレ・ヌーボーの有名生産者を1つあげてください。
4. RMとはどのようなシャンパーニュですか?
5. シャンパーニュがお祝いのお酒と言われる理由は何ですか?
6. ブラン・ド・ブランとはどのようなシャンパーニュですか?
7. プレステージ・シャンパーニュの市場価格はどれくらいですか?
8. 木樽で熟成させたワインとそうでないワインの違いを説明してください。
9. 樽熟成のワインの方が高級ということですか?
10. 新樽100%とはどのような意味ですか?
11.一般的に言われる世界三大貴腐ワインをあげてください。

12. ワインの理想的な保存条件を3つあげてください。

なんとなくソムリエ協会が問いたいことが見えるようにも思えます。

そして、今年の論述試験について考えてみます。

論述試験と呼ばれるようになって二年、両年ともに三問の出題が見られました。

構成は、
① テイスティング試験に出題されたアイテムを絡めての問題
② 日本酒、日本のワインについての問題
③ その他、ワインに関する問題
でした。

今年も同じかどうかはわかりません。わかりませんが、同じ構成”かもしれない”と思いつつ準備することが大切だと思います。→実技が長年、全く同じ抜栓・デキャンタージュであること、シニアの実技が2013年以来ずっとスパークリングワインの抜栓とプレゼンテーションであること等を考えると、同じ流れが続くと考えても良いと私は思います。

① テイスティング試験に出題されたアイテムを絡めての問題
2016年度はテイスティングしたシラーズの特徴、2017年度は同じくテイスティングした甲州と相性の良い料理の提案とその理由でした。この流れが続くとして、主要ブドウ品種の特徴を文字で説明できるように準備しておきましょう。その特徴と合わせてどのような料理に合わせると良いのか、シチュエーションまで想定できれば素晴らしいと思います(ソムリエはその日の食事の流れの中で、ワインを選ぶことも仕事ですから)。そしてさらに求めるなら、主要産地と合わせて、その地方料理との相性について書けるようになればこの項目に関しては万全でしょう。

そして、一つお伝えしたいことが。テイスティングしたアイテムの正解はその段階ではわからないわけですが、自分が想定したブドウ品種をしっかり明記し解答すべきだと私は思っています。本当に全くわからなかったのであれば、もしかするとどうにもならないかもしれませんが、ちょっと自信がないからとブドウ品種の名称・特徴を曖昧にした解答は、私なら例え間違っていてもしっかり書いた方よりもマイナスにすると思います。ソムリエコンクール等でも曖昧な解答、コメントなしは間違っているよりもマイナスだからです。

② 日本酒、日本のワインについての問題
おそらくここはかなり突っ込んだ出題が見られるはずです。ですから、日本のワイン、日本酒の箇所は教本をしっかり読み込む必要があると思います。特に、近年決まったルール等に関しては要注意です。また、近年新設が続くワイナリーに関しても意識しておく方が良いかもしれません。今、日本のワインがさまざまな面で変わろうとしていますから。

③ その他、ワインに関する問題
昨年、”オレンジワイン”について問われました。たしかに2017年度の教本ではほとんどふれられていなかったのかもしれません。ただ、昨年いただいた報告を読んでちょっとびっくりしました。”オレンジワイン”という言葉を全く聞いたことがないとおっしゃる方がわりといらっしゃったからです。好きか嫌いか、扱っているか否かは別にして、ワインを生業としていますと、普通にほどほどに耳にする言葉です。もちろん、環境にもよるのでしょうけど、流行りであることも含めると私的には”オレンジワイン”はソムリエとしてプロになるのであれば、常識くらいのイメージでした。

ですから、このような流行り・この程度の時事問題は出題されると思っておきましょう。今から間に合うかどうかわかりませんが、協会発行の機関紙”ソムリエ”をなんとか手に入れて読んでみることも一つだと思います。

私はこのカテゴリーは、細かい知識を問うというよりもお客様に質問されるような事柄をちゃんと答えられますか?もう少しつっこんで、ワイン好きのお客様と意見の交換、議論できますか?というようなことが問われる考えております。→ワイン好きの方はレストランやワイン会などで、延々とワインの話をされます。私たちはその方たちと相対さなくてはなりません。もちろん、教わることもたくさんあります。

それでも、それほど突っ込んだテーマにはならないはずで、今年も説明しなさい的な文章問題になるであろうと思っております。

さて、私が出題者ならどのような出題にしようかと考えてみました。

例えば(②日本の項目にもかぶりますが)、
・マイクロオキシジェネーションについて○文字以内で説明しなさい。
・近年の日本のワイン造りに関する変貌について思うところを書きなさい。
信州ワインバレー構想について思うところを書きなさい。
・近年のイギリスのワイン市場について説明してください。
・剪定について時期と効果も含めて説明してください。
・白ワインと赤ワインの製法上の違いはなんですか?
・マロラクティック醗酵について説明してください。

・フィロキセラはどのように対処し現在に至っていますか?
・亜硫酸添加のメリット・デメリットを教えてください。
・ウィヤージュとは何ですか?ウィヤージュが特徴的な産地を例に挙げて説明してください。
・ボトリティス・シネレアについて説明してください。
・シュル・リー製法についてその効果も含めて説明してください。
・クヴェヴリについて、出来上がるワインの特徴も合わせて説明してください。
・スキンコンタクトによるメリット、デメリットを例をあげて説明してください。
・アルザス地方のワインの特徴について教えてください。
・モーゼル地方の産地の特徴を説明してください。
・ヴィン・サントとはなんですか?
・リアス・バイシャスについて説明してください。
・シェリーの楽しみ方について、いくつか種類を挙げて説明してください。

・ポートとマディラの製法上、味わいの上での違いを説明してください。
・日本のワインと日本料理の相性に関して具体例を出して説明してください。←これ2017年ですね。

・ブイヤベースにお勧めするワインを地域性・特徴を加味して説明してください。

などなど。これまでの流れを見るとこのレベル以上は求めないだろうとは思います。

それでも、結構むつかしいですね。ぱっと思いついたもので、これらが出題されるというわけではありません。あくまで私ならということで、このレベル、このような出題になるのではということです。生産国的にもここまでか、あと出題されるとしてはなんとなく流れの変わりつつあるオーストラリア、流行りとして新しく教本に登場した国くらいかな思っています。

これまでのワインの経験が問われるわけですが、イメージしておくことで対処できる確率が上がるはずです。

そして、採点基準はわかりませんが、不合格になった方の話を総合すると書かなかった方、白紙で提出した方がダメだったように感じました。見当はずれな解答がどう評価されるのか、全く評価されないのかわかりませんが、それでも白紙で出すことだけは避けた方がいいと思います。嘘でもハッタリで何か書きましょう。

もうすぐ10月に入ります。徐々にテイスティングする量を減らし、論述対策にあてる時間を増やすように意識してください。

何かございましたらこちらまで
koza★majime2.com 松岡 正浩
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