第117回 ソムリエ呼称の論述試験について考えてみました。

   

”一見さんお断り”の最終回です。→前回はこちらから。

パリのある三ツ星レストランの予約の受け方のお話です。

パリの三ツ星レストランですから世界中からお客様が来店します。そして、基本毎日満席になるわけです。必ず満席になるのですから、お金をたくさん使ってくれそうな方に来店していただくことが経営的にも一番効率的です。

というわけで、このお店は1/3〜4くらい予約が埋まった段階で、以降の予約を全て【キャンセル待ち】で受け付けます。そして、その【キャンセル待ち】リストの中からお金をたくさん使ってくれそうなお客様を選んで予約を埋めるんです。例えばアラブの石油系の方、→半端なくお金持ちです。財布に500ユーロ札(約7万円)のみがギッシリ入っており、おつりを一切受け取らないアラブの王子さまが時折”あい田”に来られました。フランス人の中でも名前が元貴族の方、宿泊しているホテルが超一流の方など。当然、お金持ちの常連様からの直前の予約も待っていることでしょう。

いかにお金を使ってくれそうかを判断して予約を埋めます。お店がどのお客様を選ぶかは自由ですし、おそらく今もこのやり方で予約を受けているはずです。そして、残念ながら日本人はあまり選ばれません。あまりお金持ちがいないことと、チップを置く人が少ないからです。

なんとなく”一見さんお断り”のお店に通じるものを感じます。

話は変わって、私も時折ファミリーレストランやファーストフード店を利用します。時間を問わず利用でき便利であること、全国どこにでもあり、おおよそ同じ形態で営業されているという安心感もあります。

ファミリーレストランは朝から深夜まで、お店によっては24時間営業です。子供から大人まで楽しめますし、コーヒーだけの利用もお酒を飲むこともできます。勉強している学生がいる横で、愛を語っているカップルがいます。素晴らしいと思います。

いつでも誰でも受け入れる。

これがファミリーレストランの提供するスタイルです。主に分煙されていますからタバコを吸う方も吸わない方も受け入れます。←ロイヤルホストは全店全席禁煙になりました。ここになかなか面白いことが書かれています。そして、売上が伸びたという数字が出ているそうです。ハンバーグも和食もステーキもパスタも食べることができます。できるかぎり多くの方、さまざまな年齢層の方を受け入れようと努力しているんです。

ただ、これだけ幅広くお客様を受け入れようとすると料理・サービスは画一的にならざるを得ません。多くの様々なタイプのお客様に来ていただくのですから一人一人個別の接客は不可能ですし、24時間も営業していると人員の確保も死活問題で、パート・アルバイトに頼らざるを得なくなります。そうなるとマニュアル的な接客しか解決方法は見つからず、出される料理もどこかの工場で途中まで作られたレトルト食品に近いものです。個性的で感動的な香りや味わいには程遠く、記憶に残るディナーの為の食事ではありません。

私は決してファミレスが悪いと言っているわけではありません。←私は昔某ファミレスで数年アルバイトをしておりまして、新店オープンのトレーナーとして派遣されたこともあります。ファミリーレストランの最大の特徴は幅広く受け入れることと安心感です。誰もがそれほど気兼ねなく利用することが出来る反面、走り回る子供を多少は許容しなくてはなりません。大声で話すおばさん達や分煙とはいえ、隣から流れてくるタバコの煙にも少々目をつぶらなくてはなりません。お店側が全てを受け入れるということは、誰もがどこかで何かを我慢する必要が出てくるわけです。

それでも、このように幅広く誰でも受け入れるレストランが必要です。その幅の広さゆえにマニュアル的な接客にならざるを得ないのですが、そのマニュアルは研究されつくしています。店舗数が多いということはクレームも多いので、その一つ一つをいかに無くしていくか真剣に考えるからです。個人の店舗ではここまでのマニュアルを作ることは出来ません。

ファミリーレストランやファーストフード店のスタイルはある意味、大手の力の結晶でもあるわけです。ですから万人向けのお店を運営できるわけで、個人店はこの大きな力にかなうわけがありません。

ファミリーレストランのように幅広く多くの層を対象にするのか、”一見さんお断り”のように客層を完全に特化してしまうのか。特に個人店がレストランサービスとは何かを考える上でポイントとなることは、どの層をターゲットにするかということを明確に決めて、その層に合わせて(できれば)他にはない何ができるかを考えることだと思います。

私は飲食店にかかわらず個人(店)がこの厳しい時代を生き抜いて行くうえで最も大切なことは幅を狭めて、特化する。そしてその特化したところをより高い次元に持って行くことではないかと考えています。

そして、その特化した先にある一つの形が”一見さんお断り”というスタイルなのかなと思ったわけです。

”一見さんお断り”のお店が最高の飲食店と言っているわけではありません。そのスタイルから学ぶべきところがあるのではと思い数回にわけてこちらに書かせていただいた次第です。もし、ご意見、感想等、反論等ございましたらお聞かせください。

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第117回 ソムリエ呼称の論述問題について考えてみました。

ここ数回で、昨年の論述試験、近年のアドバイザー呼称の口頭試問を振り返ってみました。ある程度、流れがつかめたのではないでしょうか。

ちなみに【論述】を辞書で引くと
ろんじゅつ
意見や考えを筋道立てて述べること。また、その述べたもの。

ソムリエ協会の役員の方にそれとなく伺うと、位置づけとしてはアドバイザー呼称の口頭試問であり、これまで行ってきた口頭試問をなくしてもよいのかという話からこの論述試験案が浮上したとのことでした。頷けるような気がします。

さて、論述試験について考える前にもう少し、面接形式になった2011年とその翌年2012年の口頭試問を見てみます。

2011年

1. シャルツホーフベルクの特定ワイン生産地域は?
2. 甲州種の皮の色は?
3. カリフォルニア州サンタ・バーバラでの主要黒品種は?
4. DOCaプリオラートは何地方か?
5. クリュ・ブルジョワについて、①どの地区の名称か、 ②その名称を説明しなさい。

6. DOCG アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラの①ぶどう品種、 ②ワインのタイプと特徴について説明してください。

2012年
1. ボージョレ・ヌーボーとはどのようなワインですか?

2. ボージョレ・ヌーボーの市場価格はどれくらいですか?
3. ボージョレ・ヌーボーの有名生産者を1つあげてください。
4. RMとはどのようなシャンパーニュですか?
5. シャンパーニュがお祝いのお酒と言われる理由は何ですか?
6. ブラン・ド・ブランとはどのようなシャンパーニュですか?
7. プレステージ・シャンパーニュの市場価格はどれくらいですか?
8. 木樽で熟成させたワインとそうでないワインの違いを説明してください。
9. 樽熟成のワインの方が高級ということですか?
10. 新樽100%とはどのような意味ですか?
11.一般的に言われる世界三大貴腐ワインをあげてください。

12. ワインの理想的な保存条件を3つあげてください。

なんとなくソムリエ協会が問いたいことが見えるようにも思えます。

そして、今年の論述試験について考えてみます。

昨年度の、『先ほど実際にテイスティングしたワインを説明しなさい』というような出題が続くのかどうかはわかりません。このような出題もあるかもと思っておいて方がよいでしょう。

これまでの口頭試問と昨年の出題を見る限り、細かい知識を問うというよりもワイン好きのお客様に質問されるような内容を、どの程度説明できるかということが問われるのではないかと、私は考えております。

さらに、論述の本来の意味は【意見や考えを筋道立てて述べること】とありますが、さすがに受験者一人一人の意見を聞く出題は採点が難しいので、それほど突っ込んだテーマにはならないはずで、今年も説明しなさい的な文章問題になるであろうと思っております。

さて、私が出題者ならどのような出題にしようかと考えてみました。

ちょっと難し目であれば、
・マイクロオキシジェネーションについて○文字以内で説明せよ。
・近年の日本ワイン造りに関する変貌について思うところを書きなさい。
・日本のワインと日本料理の相性に関して具体例を出して説明してください。
・信州ワインバレー構想について思うところを書きなさい。

これらの問題はかなり高度で採点側にも求められるものが多いので、ここまでは求めないだろうとは思います。また、これ以上難しい出題はないであろうと。

もう少し素直に考えるなら、
・剪定について時期と効果も含めて説明してください。

・白ワインと赤ワインの製法上の違いはなんですか?
・マロラクティック醗酵について説明してください。
・フィロキセラはどのように対処し現在に至っていますか?
・亜硫酸添加のメリット・デメリットを教えてください。
・ウィヤージュとは何ですか?ウィヤージュが特徴的な産地を例に挙げて説明してください。
・ポムロールについて近年のワイン市場における状況を加味して説明してください。
・ボトリティス・シネレアについて説明してください。
・シュル・リー製法についてその効果も含めて説明してください。
・アルザス地方のワインの特徴について教えてください。
・モーゼル地方の産地の特徴を説明してください。
・ヴィン・サントとはなんですか?
・リアス・バイシャスについて説明してください。
・シェリーの楽しみ方について、いくつか種類を挙げて説明してください。
・ポートとマディラの製法上、味わいの上での違いを説明してください。
・ブイヤベースにお勧めするワインをワイン名、特徴を加味して説明してください。
などなど。

※表紙の写真はモーゼル川沿いに並ぶのブドウ畑

結構むつかしいですね。ぱっと思いついたもので、これらが出題されるというわけではありません。あくまで私ならということで、このレベル、このような出題になるのではということです。生産国的にもここまでか、あと出題されるとしてもアメリカとオーストラリア、流行りとして南アフリカくらいまでだと思っています。

これまでのワインの経験が問われるわけですが、イメージしておくことで対処できる確率が上がるはずです。

参考にしていただければ幸いです。

何かございましたらこちらまで
koza★majime2.com 松岡 正浩
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