第83回 赤ワインの尺度~ソムリエ協会の求めるベリー系の香り

   

暑くなってきましたね。いかがお過ごしでしょうか?

けっこう辛い日々ですよね。楽ちんポンの人はほぼいないはずです。でもね、それは当たり前で、何か大きなことを成し遂げるその過程には立ちはだかる壁があるものなんです。

いただいたメールにお答えしました。同じような悩みを抱えている方がいらっしゃると思いこちらでも紹介したいと思います。

ワインスクールに通っているのですが、二次のテイスティングに全く自信が持てません。

他の受講生は品種名の6.7割を正解していますが、私はようやくソービニヨン・ブランのハーブ香がわかってきたかなというレベルです。リースリングのペトロール香もよくわからないですし、シャルドネもシャブリなど樽香の薄いものは高頻度で間違えてしまいます。

赤の基本品種もピノ・ノワール以外の品種の判別はほとんど運任せといったレベルにあります。

圧倒的にワインの経験が不足しているように感じているのですが、現時点でこのレベルですと、今から毎日テイスティグを行っておいたほうが良いでしょうか?一次試験が終わってから毎日テイスティングをしようと思っていたのですが…。

一次試験を突破しないと二次試験に挑めませんから今の時期は何をおいても一次試験対策です。それでも、私は週に一回か二回でもテイスティング対策を並行して行うべきだと思っています。

以前もどこかでふれましたが、テイスティングは結果が伴うまでに時間がかかります。ある程度経験を重ねた後に形として表れるという感じでしょうか。個人差がありますからどのくらいとは言い切れませんが。

ある瞬間に”あっ、この香りは…””あれっ、このニュアンスはあの時の…”などと閃くことがあるという感じです。二次試験までに間に合うかどうかはわかりません。

現段階においてもお勧めできることはやはりワインを比べてテイスティングし、言葉にしてみることです。以前『第5回 ワインをテイスティングして書きとめる』の時に力説しました。とても地味で大変な作業ですが、書いて記録することが一番力になります。ただ漠然とテイスティングするだけならやらない方がいい。今は一分一秒が大切な時期、時間がもったいないからです。

比べてテイスティングすることはそれぞれの違いを感じる為で、そうすることで細かなところまで感じられるようになるものです。また、テイスティングして印象、違いを書き続けることは頭の中でワインのイメージを言葉に変換するというかなり面倒な作業を繰り返すことになるため、テイスティングの経験値がより上昇します。その後、その記録をブドウ品種ごとに整理し系統や同じ言葉を拾うことも重要です。

こうしてテイスティングし書き続け、時折書き連ねた記録を整理することによって一回や二回のテイスティングでは気づかなかった傾向や癖に気づくことが多く、この過程を経て”ソービニヨン・ブランに〇〇のニュアンスを感じることが多い”と気づくものです。→その〇〇が参考書や一般に言われていることとは違うかも知れません。また、個人によって感じやすい香り、感じ取りにくいニュアンスがあります。理科系の実験でさまざまな結果を数値化して検証することに近い感じです。

二次のテイスティングではどうしてもブドウ品種を当てることに意識が集中してしまいがちです。しかし、ブドウ品種は配点の一部でしかありません。これまでにいただいた合格報告のコメントや同メールを見てもブドウ品種は一つしか正解しなかったもののちゃんと合格された方がたくさんいらっしゃいます。→毎年ブドウ品種正解ゼロで合格した人がおられます。十数年前に受験した私もブドウ品種は一つしか正解しませんでしたが合格していました。

テイスティングに関しては配点等が発表されませんのでこれまで合格された方の話と私自身の経験を元に想像するしかありませんが、ブドウ品種の配点が特別に高いわけではないということです。ですから合格するためにはブドウ品種を当てることよりもワインの印象をとらえ”ソムリエ協会が望む表現を選択肢から選ぶ”ことが一番のポイントになります。

全てのリースリングからペトロール香を感じるわけではありませんが、ペトロール香は理解された方が良いと思います。ペトロール香は比較的とらえやすい香りです。ただ、世の中にはブショネを感知できない人がいるようにもしかすると苦手なタイプの香りなのかもしれません。→有名醸造家の中にもブショネを感じられない人がいます。

また、『シャルドネもシャブリなど樽香の薄いものは高頻度で間違えてしまいます』とありますが、私だって間違えることがあります。シャルドネはこれといった特徴の無い品種で反対に土地や環境によって様変わりします。シャルドネは難しいと思って間違いありません。以前どこかでソービニヨン・ブラン(サンセール)をシャルドネと間違えた話をお伝えしました。こう言ってはなんですが、私ブラインドテイスティングにはけっこう自信があるんです。それでもこんなものです。

ただ、”樽香をあまり感じない”とわかるわけですから、それを生かさない手はありません。樽香の有無から判断できることがたくさんあります。また、このシャルドネ(シャブリ)を例えばソービニヨン・ブラン(サンセール)と間違えたとしても、テイスティングコメントは似通ったものになりますからかなりの部分得点につながるはずです。→比較的冷涼な地域の色調の薄い白ワインというカテゴリーですから。反対にシャルドネは正解であっても、カリフォリニアのシャルドネと想定してテイスティングコメントを答えてしまうとあまり得点にはなりません。

ソムリエ試験は大学入試のように定員が決まっているわけではないので、他の受験者と争う必要がありません。ですから、現段階での経験の無さを他の方と比べて嘆くことはやめましょう。確かに経験があったほうが有利ですが、経験が無いなら無いなりの方法があります。経験のある方はいろいろなワインを知ってしまっている為に余計な読みをしてしまったり、迷った時により多くの選択肢が頭の中に並ぶわけで、選択肢が多いということは外す可能性も高くなります。このようなケースで失敗された方の話を聞くこともあります。

私はどちらかというとワインスクールに通えないそれほど経験の無い方に向けてこの講座を進めています。テイスティングに関しても数ヶ月の経験と受験テクニックで合格できると思っています。そして過去五年間、多くの方より合格しましたという連絡をいただきました。

8月中に正式に発表するつもりですが、まもなく”2017年度 二次のテイスティングをなんとか乗り切るための必勝マニュアル”の作成を始めます。

私の二次のテイスティング対策はテイスティング経験の少ない方でも何とか合格するためにソムリエ協会が望む表現をブドウ品種ごとに暗記し、準備された選択肢から選ぶことができるようになることに特化して進めます。

その為の準備を今、しっかりとしておいてほしいのです。その準備がテイスティングして言葉で書き留めることです。 

このマニュアルに関してはまたこちらで連絡させていただきます。しばしお待ちください。

二次試験までまだ二ヶ月以上時間があります。その前に一次試験が控えておりそちらの対策もおろそかにできませんが、週に一、二回でもテイスティングの時間を設け、一次試験が終わるまでは基本に立ち返ってテイスティングして感じたことを書くことをお勧めします。

ということで、今日はテイスティングのお話です。

夢を掴んだ人は夢をあきらめなかった人です。
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※表紙はブルーベリーです。

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第83回 赤ワインの尺度~ソムリエ協会の求めるベリー系の香り

石田さんの「10種のぶどうでわかるワイン」にベリー系の香りのついての記述があります。
※ソムリエ協会の重鎮である石田ソムリエがブドウ品種について感覚的なことも含めて書かれています。必ず読んでください。

非常に大切なことなのでここで読み返してみたいと思います。
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P103より原文抜粋
・スグリ
味わいは軽く、酸味が主体のフルーツです。ワインはフレッシュで、若々しく軽いタイプを示します。
・ラズベリー
味わいはより強くなり、酸味も強いです。若々しいワインですが、より濃縮感があります。
・ブルーベリー
実もしっかりとし”カリッ”とした噛みごたえがあります。酸味と甘みのバランスがとれた味ワインとなります。
・カシス
甘さを連想させる香りがはっきりと感じられます。酸味もありますが、甘みや豊かさのあるワインです。
・ブラックベリー
凝縮感がとても強そうです。成熟度の高さが際立ちます。
・ブラックチェリー

酸味よりも、甘み渋みが前面に出ています。 

何の香りがするかととらえること以上に大切なのは、香りの変換をスケール(ものさし)と考え、成熟度合いを推測するためにベリーフルーツにたとえることです。

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この部分です。ソムリエ協会のテイスティング部門の責任者クラスの方がこれが基準だ!とおっしゃっているのです。実際にカシスの香りがするから、これはブルーベリーっぽいな、なんて私たちがどう感じるかというレベルのお話ではありません。

スグリ→ラズベリー→ブルーベリー→カシス→ブラックベリー→ブラックチェリー

こんな目盛りのついた”ものさし”があるというイメージです。

目の前にある赤ワインの成熟度がどのベリー系果実に当たるのか、ブドウ品種別にどのベリー系果実のニュアンスが顕著なのかを意識する必要があるということです。香りの強弱、凝縮感をどのベリー系フルーツに当てはめるのか、これくらい成熟しているからカシスだなと思えることが二次試験的に大変重要なポイントです。
→石田さんも書かれていますが、”ブドウの成熟度を「中間より上」と感じたならカシスといえばよい”ということです。

ブドウ品種別石田さんの目安
・カベルネ・ソーヴィニヨンはカシス
・メルロはブルーベリー
・ピノはラズベリーからブラックチェリーまで様々

・シラーはブラックベリーブラックチェリー

このように石田さんが書かれていますから、間違いなく一つの基準になります。

上記のベリー系果物の実際の香りを知ることは大切です。ただ、ソムリエ協会的にはこのベリー系果実を用いて特にブドウの成熟度を表現しているんだということを理解してください。

何かございましたらこちらまで
koza★majime2.com 松岡 正浩

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