第82回 この時期のテイスティング対策について

   

梅雨入りしました。いかがお過ごしでしょうか?

けっこう辛い日々ですよね。楽ちんポンの人はほぼいないはずです。でもね、それは当たり前で、何か大きなことを成し遂げるその過程には立ちはだかる壁があるものなんです。

いただいたメールにお答えしました。同じような悩みを抱えている方がいらっしゃると思いこちらでも紹介したいと思います。

ワインスクールに通っているのですが、二次のテイスティングに全く自信が持てません。

他の受講生は品種名の6、7割を正解していますが、私はようやく”ソービニヨン・ブランのハーブ香がわかってきたかな”というレベルです。リースリングのペトロール香もよくわからないですし、シャルドネもシャブリなど樽香の薄いものは高頻度で間違えてしまいます。

赤ワインの基本ブドウ品種もピノ・ノワール以外の品種の判別はほとんど運任せといったレベルにあります。

圧倒的にワインの経験が不足しているように感じているのですが、現時点でこのレベルですと、今から毎日テイスティグを行っておいたほうが良いでしょうか?一次試験が終わってから毎日テイスティングをしようと思っていたのですが…。

一次試験を突破しないと二次試験に挑めませんから今の時期は何をおいても一次試験対策です。それでも、私は少しでもテイスティング対策を並行して行うべきだと思っています。

以前もどこかでふれましたが、テイスティングは結果が伴うまでに時間がかかります。ある程度経験を重ねた後に形として表れるという感じでしょうか。ある瞬間に”あっ、この香りは…””あれっ、このニュアンスはあの時の…”などと閃くことがあるという感じです。ただ、二次試験までに間に合うかどうかはわかりません。

現段階においてもお勧めできることはやはりワインを比べてテイスティングし、言葉にしてみることです。以前『第5回 ワインをテイスティングして書きとめる』の時に力説しました。とても地味で大変な作業ですが、書いて記録することが一番力になります。

感じたことを言葉にしようと意識することでテイスティングに対する姿勢が変わります。すると感じ方も違ってくるんです。それから、ようやく過去に経験したワインと比べることができるようになり、ワインを理解し始めるという流れです。

はっきり言って、言葉にしないでただ漠然とテイスティングする(飲む)だけならやらない方がいい。今は一分一秒が大切な時期、時間の無駄です。

こうしてテイスティングし違いを感じ、言葉にして書き続けることで一回や二回のテイスティングでは気づかなかった傾向やご自身の癖がだんだんわかるようになってきます。そして、時折書き連ねた言葉(記録)を整理することによって、例えば”ソービニヨン・ブランに〇〇のニュアンスを感じることが多い”と気づくものです。→その〇〇が参考書や一般に言われていることとは違うかもしれません。また、個人によって感じやすい香り、感じ取りにくいニュアンスがあります。
また、比べてテイスティングすることはそれぞれの違い、特に強弱を感じて欲しい為で、その差を感じる中で自分なりの基準ができてきます。

二次のテイスティングではどうしてもブドウ品種を当てることに意識が集中してしまいがちです。しかし、ブドウ品種は配点のほんの一部でしかありません。これまでにいただいた合格報告のコメントや同メールを見てもブドウ品種は一つしか正解しなかったもののちゃんと合格された方がたくさんいらっしゃいます。十数年前に受験した私もブドウ品種は一つしか正解しませんでしたが合格していました。

リースリングに関して、全てのリースリングからペトロール香を感じるわけではありませんが、ペトロール香は理解された方が良いと思います。ペトロール香は比較的とらえやすい香りです。ただ、世の中にはブショネを感知できない人がいるようにもしかすると苦手なタイプの香りなのかもしれません。→有名醸造家の中にもブショネを感じられない人がいます。

また、『シャルドネもシャブリなど樽香の薄いものは高頻度で間違えてしまいます』とありますが、私だって間違えることがあります。シャルドネはこれといった特徴の無い品種で反対に土地や環境によって様変わりします。シャルドネは難しいと思って間違いありません。以前どこかでソービニヨン・ブラン(サンセール)をシャルドネと間違えた話をお伝えしました。こう言ってはなんですが、私ブラインドテイスティングにはけっこう自信があるんです。それでもこんなものです。

ただ、”樽香をあまり感じない”とわかるわけですから、それを生かさない手はありません。ソムリエ試験的に樽香の有無から判断できることがたくさんあります。また、このシャルドネ(シャブリ)を例えばソービニヨン・ブラン(サンセール)と間違えたとしても、テイスティングコメントは似通ったものになりますからかなりの部分得点につながるはずです。→比較的冷涼な地域の色調の薄い白ワインというカテゴリーですから。反対にシャルドネは正解であっても、シャブリをカリフォリニアのシャルドネと想定してテイスティングコメントを答えてしまうとあまり得点にはなりません。合格するためには圧倒的で前者(ブドウ品種なんて間違えてもいいからタイプわけをしっかりとらえること)です。

ソムリエ試験は大学入試のように定員が決まっているわけではないので、他の受験者と争う必要がありません。ですから、現段階での経験の無さを他の方と比べて嘆くことはやめましょう。確かに経験があったほうが有利ですが、経験が無いなら無いなりの方法があります。経験のある方はいろいろなワインを知ってしまっている為に余計な読みをしてしまったり、迷った時により多くの選択肢が頭の中に並ぶわけで、選択肢が多いということは外す可能性も高くなります。このようなケースで失敗された方の話を聞くこともあります。

私はどちらかというとワインスクールに通えないそれほど経験の無い方に向けてこの講座を進めています。テイスティングに関しても数ヶ月の経験と受験テクニックで合格できると思っています。そして過去6年間、多くの方より合格しましたという連絡をいただきました。

8月中に正式に発表するつもりですが、まもなく”2018年度 二次のテイスティングをなんとか乗り切るための必勝マニュアル”の作成を始めます。

私の二次のテイスティング対策はテイスティング経験の少ない方でも何とか合格するためにソムリエ協会が望む表現をブドウ品種ごとに暗記し、準備された選択肢から選ぶことができるようになることに特化して進めます。

その為の準備を今、しっかりとしておいてほしいのです。その準備がテイスティングして言葉で書き留めることです。 

このマニュアルに関してはまたこちらで連絡させていただきます。しばしお待ちください。

二次試験までまだ二ヶ月以上時間があります。その前に一次試験が控えており、そちらの対策もおろそかにできませんが、週に一、二回でもテイスティングの時間を設け、一次試験が終わるまでは基本に立ち返ってテイスティングして感じたことを書くことをお勧めします。

さて、前置きが長くなりましたが、この時期<六月>のテイスティング対策についてお伝えします。

明日ではなく、今日少しだけでも頑張りましょう。疲れているのは皆同じです!

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第82回 6月、この時期のテイスティング対策について

昨年、おそらく初めて二次のテイスティングの配点がソムリエ協会より発表されました。

外観 20%
香り 28%
味わい 20%
その他の項目 10%
収穫年 3%
生産地 6%
主なブドウ品種9%

飲料の銘柄 各2%(リキュール類)

100点満点中ブドウ品種全問正解でたったの9点(ソムリエ呼称でブドウ品種を一つ間違えてもマイナス3点ということ)、一方で、外観や香りなどいわゆるテイスティングコメントの配点は78点もあります。
→全配点を合計しても98%にしかなりませんが。笑

この協会発表の数字からもおわかりいただけるように合格するためには、ブドウ品種を当てることよりもワインの印象をとらえ”ソムリエ協会が望む表現(テイスティングコメント)を選択肢から選ぶ”ことが一番のポイントになります。

そして、今この時期に合格するために何をすべきなのか?

意識すべきことは二つです。
・主要ブドウ品種の特徴を自分のポイント掴むこと

・酸、アルコールのボリューム感を含む、ワインの強弱を自分なりに感じられるようになること

とにかくこの二つです。ご自身のポイントを見つけるためにこの二つにのみ特化してテイスティングを行ってください。そして、もういいよ、というくらい言ってますが、テイスティングして感じたことを書いてください。今からでも結構です。とにかく、ワインのイメージを間違っていてもいいので言葉にする訓練をしておいてください。

テイスティングコメントに関しては一次試験が終わった後に嫌というほど覚えていただきます。

以前、第43回 二次のテイスティングに出題されたワイン以降数回にわたってテイスティング対策についてまとめました。テイスティングに関する本も紹介しました。

これらをもう一度しっかり読み込んでみてください。今読むと感じるところが違ってきているかもしれません。そうなればしめたものです。

まだ読まれていない方、必ず読んでください。こちらです。

二次試験において出題されるアイテム全てのブドウ品種を正解する必要はありません。三種出題されるうちの一つは必ず取りたいといったところです。とにかく一つです。エキスパート呼称の方は四つのうちのできれば二つ、そこを目標にします。→ちなみに毎年、ブドウ品種正解ゼロで合格する方がいらっしゃいます。ブドウ品種を当てることだけが二次のテイスティングではないという証です。目指す必要はありませんが。笑

その為にとにかく主要ブドウ品種の特徴を自分なりに掴んでほしいのです。マイナー品種は一切無視します。出るか出ないかわからないようなブドウ品種に惑わされて、主要品種を外してしまったら目も当てられません。カベルネ・ソービニヨンの特徴すらいまいち理解していない人が、マイナー品種に気を取られている場合ではありません。カベルネ・ソービニヨンだけでもあと何回テイスティングできるのか考えてみてください。

ワインの特徴をとらえる時は自分の感じやすいポイントを強く意識してください。人それぞれ得意な香り、とらえやすいニュアンスがあるはずです。例えばシラーの黒コショウがわかりづらければ、他の共通する何かを感じ取ってほしいんです。

私はシラーの香りは”オリーヴ”だと思っておりますが、ソムリエ協会の模範テイスティングコメントにオリーヴが出てくることはありません。でも、それでいいんですよ。私はオリーヴを感じたらシラーだと結構高い確率で特定できるんですから。その後、シラーの特徴から外れていないかを確認します。もちろん、これでも100%はありません。

何年か前にエキスパート呼称に合格された方からいただいた感想の中の一文です。
香りですぐにカベルネフランだ!と結論を出しました。私にとってカベルネフランの香りはチョッと土のついたじゃがいもなんです。主婦でよかった。

こんな感じで、この香り、ニュアンスを感じたらこのブドウ品種というものを見つけると強いんです。例えその得意な香りやニュアンスが言葉にならなくてもいい。イメージや雰囲気でも。

おそらく全ての主要ブドウ品種について”これ”という何かを見つける時間はないかもしれません。それでも、その為に何度も申し上げておりますが、ワインをテイスティングして感じたことを書いてくださいと言い続けているのです。書いて言葉にすることで何かが見えてくるはずです。そして自分のポイント、強みを見つけられれば合格にかなり近づきます。

今は細かいテイスティングコメントやヴィンテージなどは後回しでぜーんぜん問題ありません。とにかくある程度ブドウ品種を特定できるようになる為に頑張って気が付いたことを書いて書いて書き続けてください。正しいコメントになっていなくても問題ありません。ご自身が感じたことを自分の言葉で書いてください。

このコメントは人に見せる為でも、他の人にワインの良さを伝える為でもありません。合格するための訓練であり、皆さんのワイン道の礎です。

主要ブドウ品種の特徴を自分のポイントでとらえる。

シャルドネっぽいソーヴィニヨン・ブランもミュスカデもリースリングも存在します。ブラインドテイスティングでメルロなんていつも迷います。それでもソーヴィニヨン・ブランらしさ、メルロらしさというものがあります。まずは主要品種それぞれの”らしさ”を感じる努力をしましょう。

その”らしさ”を少しずつ理解して、あとはどこまで幅を広げられるかです。メルロで話を続けますが、サンテミリオンの軽めでやや青いニュアンスを持つメルロから新世界の濃厚なメルロまでさまざまなタイプが存在します。その幅の中で現在テイスティングしているメルロがどのあたりに位置するのかを意識できるようになれば合格は近いです。

もう一度言います。100%ブドウ品種がわかることはありません。100%わかろうとしてもいけません。ワインなんて人が造るものです。ピノみたいなメルロを造ろうとする人もいれば、ボルドーみたいなワインをガメイから造る人もいるのです。そんなすべてのワインの個性を知ることは人生をかけても不可能です。

酸、アルコールのボリューム感の強弱を自分なりに感じられるようになる

こちらでもふれましたが第23回 ワインの酸とアルコール 1、二次のテイスティング攻略の大きなポイントの一つはこちらです。

最初はテイスティングしたワインが主体なのか、酸以上にアルコールのボリューム感を感じるのか、ここからスタートしてかまいません。以前説明したように単純に考えると冷涼な地域では酸が特徴的なワインが造られますし、暖かい地域ではその反対、ブドウがよく熟すんですからアルコールのボリューム感をしっかりと感じるワインに仕上がります。言い換えれば、酸とアルコールのボリューム感は相反する関係にあるということです。

中には酸もアルコールのボリューム感もしっかりしたワインが無いわけではありませんが、そんな少数派を意識する必要はありません。

<酸>1←←2←←3←←4←←5←→6→→7→→8→→9→→10<アルコールのボリューム感>

このようなものさしがあるとして、今テイスティングしたワインがどの位置にあるのかということを意識してみてください。例えば、白ワインでいえばソーヴィニョン・ブラン(フランス)であれば2~3くらいだな、シャルドネ(アメリカ)なら8くらいかな、と言った感じです。テイスティングノートにその数字(5段階でも10段階でもお好きに)を書き溜めましょう。

北の産地のワインの方が数字が小さく、暖かい地域や新世界のワインの方が数字が大きくなるはずです。もちろん例外はあるでしょう。

この強弱について自分なりの基準が持てると、いろいろなことがわかってくるようになります。まず、<酸>寄りの1~4であればそのワインは二次試験的にはほぼフランス産です。7以降になると新世界の可能性が高くなります。例えば、カベルネ・ソーヴィニョン(フランス)であれば4~MAX7くらいのイメージですが、7以降であれば新世界を疑います。といった具合です。

また一例として、ピノ・ノワールはフランス、新世界産ともに出題されますが、もともと酸のしっかりした品種です。赤いニュアンスに酸を感じた段階でピノ・ノワールと判断し、アルコールのボリューム感でフランスか新世界かを決めるといった流れです。

この基準がしっかり持てるようになってくるとテイスティングした段階でブドウ品種はわからなくとも、少なくとも涼しい地域のワインではないな、反対にこのボリューム感でフランスやドイツは考えられないと、消去法を使えるようになります。単純に目の前のワインが冷涼な地域のイメージなのか、暖かい地域のイメージなのかが判断できるだけで、テイスティングのスピードがかなり上がります。二次のテイスティングはスピード勝負です。本当に時間がありません。

その基準を持つために<酸>と<アルコールのボリューム感>を感じられるようになって欲しいのです。ここを大幅に取り違えなければ、例えブトウ品種は外したとしても、テイスティングコメントはまずまず得点に結びつくはずです。

その為の一つの方法として、いろんな産地のシャルドネを同時に比べながらテイスティングしてみましょう。→シャルドネはこれまでにも四ヵ国のものが出題されており、その意味でも知っておく方が。

一例として
・シャブリ(ブルミエ・クリュ、グラン・クリュでないもの)
・ブルゴーニュ・シャルドネ(コート・ド・ボーヌの生産者)
・マコン・ヴィラージュ
・日本のシャルドネ(ほどほどに名の通ったブルゴーニュタイプを目指している生産者)
・アメリカまたはオーストラリアのシャルドネ(この二つの違いを知る感じ取る必要はありません)
これらを同時にテイスティングしながら<酸>、<アルコールのボリューム感>とはなんぞやと悩んでみてください。

ここがわかってくると一気に合格に近づきます。

<酸><アルコールのボリューム感>です。今後、二次試験までテイスティングできる回数はそれほど多くありません。毎回、必ず意識してテイスティングしてください。

実際にテイスティングを行うときには

実際にテイスティングする時は同じ色のワイン数種類を同時に抜栓して、ブラインドテイスティングしながら比較してください。一度に全てのワインを消費できないでしょうから三日から四日間は毎日ブラインドテイスティングするくらいの気持ちで取り組みましょう。

ブラインドテイスティングに関してワインをグラスに注ぐところは同居の方、ご友人などに手伝ってもらえるならお願いしてみてください。一人暮らしで手伝ってもらえる人がいない方もいらっしゃると思います。←私もでした!それでもできるだけ、わからないようにしてグラスに注いでテイスティングしましょう。

私は部屋を真っ暗にして、グラスとボトルを冷蔵庫から出して並べ、ボトルの位置をシャッフルし、さらにボトルの下部を持ってグラスに注いで、テーブルに移動してテイスティングしていました。ボトルの上部を持つと形でわかってしまうことが多いからです。

また、テイスティングする時の温度にも注意を払いましょう。

白ワインは冷蔵庫から出して15分前後くらいからテイスティングを始めます(12℃前後)。赤ワインは気温が22~25℃くらいの過ごしやすい日であれば、冷蔵庫で20分前後冷やす、または冷蔵庫で完全に冷やしてから外に出して1時間後くらい、理想は18℃くらいからテイスティングを始めてください。

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この時期、多くの方が二次のテイスティングに不安を感じ、進歩していないと感じる自分に苦悩しているはずです。あなただけではありません。

それでもなんとかしますので、とにかく今は少しでもブドウ品種の”らしさ”を感じつつ、<酸>と<アルコールのボリューム感>の距離感を意識しながらテイスティング対策を進めてください。。

何かございましたらこちらまで

koza★majime2.com 松岡 正浩

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