第125回 テイスティング関する質問にお答えしました。6

   

先日のフグに続く”香り”の話、第二弾です。→もちろん、ソムリエ試験にはほぼ関係がございません。笑

「フランス料理の香り」と聞いてイメージすることはありますか?

では、「日本料理の香り」ならどうでしょう。
鰹節や昆布の出汁の香り、醤油や味噌の風味、焼き魚の香ばしさなど映像とともにイメージできるのではないでしょうか。

先日、大阪のフランス料理店にて、最後に挨拶に出てこられたシェフに「今日はフランス料理の香りに包まれた素晴らしいディナーでした」とお伝えしました。

”今日は”ということはフランス料理店においてもこのフランス料理の香りが届かないことがあるということ。

この夜のメインは雷鳥ロースト、ソースサルミでした。

ジビエの野性味とソースのコクと深み。しっかり火を入れた雷鳥の肉肉しさと苦味(雷鳥って、ウィスキーのピート香のような独特の苦味があります)に旨みに旨みを重ねた濃厚なソース。この雷鳥を目指して、コート・ロティ1990年を開け、至福の時間を過ごしました。

さて、ここ20~30年でフランス料理を取り巻く環境が大きく変わりました。なによりもフランスのレストラン業界において日本人料理人が評価され始めたことです。フランスミシュラン二つ星の”パッサージュ53””Kei”を筆頭に星付き日本人シェフが二桁人数活躍しております。

また、特にパリのレストランの厨房には必ずといっていいほど日本人料理人がおり、スタッフの大多数が日本人という星付きレストランも珍しくありません。反対に日本人料理人のいないレストランを探す方が難しいのではと思うくらいです。

日本人が評価されることを喜ばしく思う反面、日本人料理人がフランス料理界にもたらす影響も無視できなくなってまいりました。

わかりやすいところでは、フランス料理に日本的な要素がどんどん取り入れられ、いまや抹茶やゆず、わさび、醤油などの日本の食材を多様するフランス人シェフもたくさんいらっしゃいます。
また、フランス本国においてもコース料理一本(多皿構成の日本の懐石料理スタイル)という高級レストランが増えてきました。
→本来、フランス料理は基本三皿構成で、前菜・メイン・デザートという流れです。それぞれが好きなものを選んで食べることが多く、そのメニューを決めるまでのおしゃべりもレストランの醍醐味の一つと言われています。まだフランスのビストロはこの三皿構成が主流で、現在でもパリのエリゼ宮で開催される国賓級の晩餐会も同様に基本三皿で構成されます。

日本人として日本の良さが認められることに嬉しさを感じつつも、フランス料理的なものが失われつつあるようにも感じます。

その中で私が一番残念に思うことは”フランス料理の香り”をあまり感じなくなってきていることです。綺麗な料理や、素材重視の繊細で軽めのフランス料理が主流になろうかという中、足し算の料理、積み重ねる料理としての深みや素材から引き出される奥深い香りを感じることが少なくなってきたと思うわけです。

また、多皿構成が主流ですから、一皿のポーションが小さくなります。小さいという事は香りも小さく少なくなるんです。

でも、この日は違いました。

シェフは「日本人が日本で作り、主に日本人が食べるフランス料理とは何なのか」ということを考えて行き着いたのが現在であるとおっしゃっていました。

日本人が日本人のために作ったフランス料理。そこに感じるフランス料理の香り。

さて、そのフランス料理の香りとは。自分一人で勝手に盛り上がってきたので、続きます。

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さて、二次試験まであと二日、もうジタバタしても始まりませんので、何よりも体調管理を優先して二次試験当日を迎えてください。

※表紙はゼラニウムです。

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第125回 テイスティング関する質問にお答えしました。6

早速始めます。

ブラインドテイスティングの特訓中です。正解はチリのカベルネ・ソーヴィニヨンだったのですが、私は黒コショウの香りを感じてしまいシラーズと答えました。黒コショウ=シラーズは危険な解釈でしょうか?またより濃い紫をしていたので、それもシラーズを選んだ理由です。

おっしゃるとおり、カベルネ・ソーヴィニヨンにも黒コショウの香りがあります。ただ、一般的にはシラーズほど顕著ではないという感じでしょうか。もう聞き飽きたでしょうが、私はシラー/シラーズは”マリネ・オリーブ”と言い続けています。黒コショウはシラー/シラーズ以外のブドウからも感じることがある為、オリーブで判断しているとも言えます。そして、私はそんなに黒コショウに強くないんです。ですから、黒コショウだけではカベルネ・ソーヴィニヨンとシラーズの見分けがつかないように思います。

色調に関しては、個人的なイメージがないわけではありませんが、カベルネ・ソーヴィニヨンとシラーズは似たようなものです。どちらであってもおかしくないと思います。

もし、今の段階でカベルネ・ソーヴィニヨンとシラーズを間違えたとしても、新世界であることまでたどり着いています。カベルネ・ソーヴィニヨンとシラーズを間違えても全く問題ありません。ここまでわかれば十分とも言えます。ですから、ある意味、黒コショウ=シラーズの認識で問題ないと私は思います。

ピノノワールやガメイなどの模範テイスティングコメントに「ゼラニウム」がありますが、これは赤い花の濃い香りでいいのでしょうか?

以前、どこかのサイトで、ゼラニウムは乳酸菌がソルビン酸を分解して(中略)不快な香りを…というような記述を見まして、試験では否定的なコメントは選ばないということで選択肢から外して考えていました。本番の選択肢に「ゼラニウム」があれば肯定的な意味でとらえてよいのでしょうか?

ゼラニウムの”花”の香りは、ほのかに甘く、ミントっぽさをを持った”清涼感のあるバラ”といったところです。ですから赤い花の濃い香りという表現はちょっと違うように思います。私は軽めのブルゴーニュのピノ・ノワールのイメージです。

また、フランス人は庭によく植えています。これはゼラニウムの葉や茎には鼻を刺すような強いハーブ香があり、害虫を避けられるからだそうです。

>ゼラニウムは乳酸菌がソルビン酸を分解して
はい。ゼラニウムの葉や茎の香りの話ですね。こちらのサイトに記載があります。この方のサイトはものすごく勉強になります。私も時折読ませていただいております。皆さんも試験が終わったら通読されることをお勧めします。

特にフランスのMerlotで顕著だと考えていますが、土のニュアンスを表現したい時が多々あると思いますが、どのコメントが対応しているのでしょうか?個人的にはピノ以外どの品種でも頻出のシダなのかなと思っていますが、どうでしょう?

また、花の香りですが、大雑把にアカシアは蜜、菩提樹はペトロールに対応していると考えていますがその認識で問題はないでしょうか?

個人的にはこのあたりを深く考えすぎると時間が足りなくなると思うのでやめた方がいいと思っていますが、不安になる気持ちもわかります。

土のニュアンスといってもさまざまで、私はイタリアワインにもスペインワインにも土っぽさを感じますが、同じではありません。シダにも土っぽさが含まれていますが、緑のニュアンスに加えて、といったところでしょう。ワインの香りってトータル、バランスのものですから、土っぱさだけを表現しているコメントではなく、緑のニュアンス、枯れてきたニュアンスなどを加味した土っぽさとしてとらえると良いのではないでしょうか。シダには土っぽさがありますが、同じ緑でもメントールにはありません。腐葉土は土のコメントですが、土っぽさ以上のニュアンスを持ちます。

アカシアは白くて甘い香りのイメージでイイと思います。蜜はハチミツが有名ですからイメージしがちですが、ちょっと強すぎます。

私はここ数年、試験対策をやっておりますからアカシアについていろいろ調べたことがあります。ここは全く突っ込んで考える必要はありませんが、日本にあるアカシアは”ニセアカシア”が主流で、西洋のアカシアとは違うようです。興味のある方は二次試験後に”ニセアカシア”で検索してみてください。

一方、菩提樹は優しく穏やかなフローラル香です。決して強い香りではありません。私はややぼんやり系と認識しています。ペトロールは<化学物質>系で花の香りではありません。ペトロール香を感じるワインに菩提樹を感じることはよくありますが。

細かく考える必要はありません。イメージで十分です。試験時間中にそこまで細かいところを利きわけるにはかなりの実力が必要です。

私の通っているスクールの先生は、二次のテイスティングにおいて「鼻の元気なうちに並んだ全てのワインの香りを一気に感じ取り、その後、一つずつもう一度検証したほうがいい」と言うのですが、今日その方法で模擬試験に臨み、全て不正解、完全に自信喪失です。

言い訳のようですが、先に全て香りを感じてからあたりをつけると、その第一印象を当てにしすぎて、その要素を味などにも求めてしまう気もします。松岡先生は、いつもどのような手順で解答していきますか?

私は時と場合によって上記のようにテイスティングすることもあれば、一つ一つ順番にテイスティングすることもあります。

この先生の言っているやり方は、特に初心者にとっては”比較できる”という意味で悪くないやり方だと私も思っております。

白ワインが二つ並んだとして、最初から白ワイン二つの香りを感じることで、その強弱・タイプの違いを比較できる為、大幅なミスを防げる可能性が高いと思うからです。いただいた報告を見てますと、毎年数名「一つ目のワインをリースリングだと想定しテイスティングを進めコメントを選び終えて二つ目の白に移った瞬間に”こっちがリースリングだったΣ(゚д゚lll)ガーン!”」という方がいらっしゃいます。白ワインに限ったことではなく、このような思い違いの可能性を減らすことができるのではということです。

ただ、このやり方でテイスティングすると、一方の香りに惑わされて最初と戻った時の香りを違って感じることがあります。そうなると何を基準にしてよいかわからなくなることがあるんです。人間の鼻ってすぐにマヒしますから。

最初に全てのワインの香りを感じ取ることはある意味好みの問題でもあり、私は一長一短があると思いますが、特に自信のない方は先に同じ色のワインの香りを比較することは良い方法だと思ってます。

ただ、リキュール類は最後にしましょう。揮発性が高いものもあり、ワイン以上に強烈な香りを持つものも多いからです。

NZのソービニヨン・ブランのトロピカルフルーツ香とゲヴュルツトラミネールのライチ香にいつも迷います。口に含んで酸でわかる程度です。見分ける決めてはありますか?よろしくお願いします。

ワインのタイプとして、私はソービニヨン・ブランは「爽やか系」、ゲヴュルツトラミネールは「華やか系」に分類してほしいなと思っております。

確かにNZのソービニヨン・ブランの“トロピカルフルーツ”香はとても華やかなのですが。ただ、この香り以上にソービニヨン・ブランらしい青さ、NZであれば暑さを伴った太い青さ(夏の草原にいるようなモワッとした青い感じ)を明確に感じることが多いのでゲヴュルツトラミネールと混同する可能性は低いと考えるのが一般的です。

また、アルコールのボリューム感に関しては、一方は新世界、他方はアルザスです。加えて、ゲビュルツトラミネールにはソービニヨン・ブランほど明確な酸は感じられません。

NZのソービニヨン・ブランにおけるトロピカルフルーツがわかりやすいキーワードであれば(私のシラーのオリーブの様に)、そこかNZらしい青さを探して、酸を確認してという手順でいかがでしょう。

そして、試験中にどちらか迷ってどうにもならなくなった時はソービニヨン・ブランを選択しましょう。
過去の出題を見ても確率的に圧倒的にソービニヨン・ブランです。

シニアソムリエの受験者です。
「香りの特徴」のコメントに関する質問です。

一つ目、「丁子」に関してです。
ほとんどの赤ワインから丁子の香りを感じると思いますが、白ワインではミュスカデ、甲州に特有の香りでしょうか。これはミュスカデや甲州が他の品種より果実香や花の香りが控えめな分、丁子が目立つというように考えればよろしいでしょうか。

丁子はミュスカデよりも甲州に感じる香りです。赤ワインからも感じることがあると思います。そして、おっしゃる通り、他の香りの要素が控えめな分より顕著に感じられるのでしょう。

「ヨード」という香りは、よく海藻や海の香りといわれていますが、どうも私はこれがあまり良く分からないのです。
白ワインならどれにもあるような気がするのですが、松岡様は何か具体的に思い浮かべるイメージがございますでしょうか。
シャブリやミュスカデ、甲州など、石灰、貝殻などのミネラルのニュアンスが目立つ品種(赤だとピノノワール)に一緒に付いてくるようなイメージでしょうか。
概ね同じような認識です。私としては ピノ・ノワールからあまりイメージする香りではないのですが。
 
最後に「硫黄」です。
これも温泉地によくあるにおいだと思うのですが、フランスのリースリング、またシャルドネ全般に出やすい香りでしょうか。
私はドイツのリースリングの火打石やペトロール香と一緒に付いてくるようなイメージがあったのですが、どうも私の認識が違っているようです。

硫黄はソービニヨン・ブランに最も顕著で、シャルドネにも感じることがあります。もちろんリースリングにもないわけではありませんが。火打石、ペトロールの流れとは違った香りだと思いますよ。

一つ一つの香りをしっかりと感じ取っている時間はシニア呼称受験レベルの経験者でもあまりないと思います。必勝マニュアルでも触れましたが、模範解答を決めている人たちはこのようなタイプのワインであればこれらのコメントを当てはめるという訓練を繰り返し行っているので、毎回ひとつひとつすべての香りを確認しているわけではないはずなんです。

このタイミングでよくわから ない香りのことをあれこれ考えるのはマイナスです。試験中に、わからないことを探そうとすることで時間をかけるくらいなら、他をしっかり取る、ミスをなくす、見直しをすることの方が大切だと思います。

このひとつ前でもお答えしましたが、あまり一つのコメントにこだわりすぎないことも必要だと思います。

昨年「フィアーノ」や「アルバリーニョ」が出題されるなど、シニア呼称のテイスティングは難しそうですが、少しでもコメントで点数を取りたいと思います。

おっしゃる通りで、特にフィアーノは多くの方にとって想定外のブドウ品種を目の前にしてどのようなコメントを選ぶかという試験だったと私は認識しております。イタリアワインによほど精通している人でないと、二次のあの会場でフィアーノと答えることはできません。

何度も言います。あきらめたらそこで終わりです。

何かございましたらこちらまで
koza★majime2.com 松岡 正浩
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