第47回 赤ワインを比較する。

   

今回もいただいたメッセージにお答えします。

紹介されていた「10種のぶどうでわかるワイン」(石田博著)を読みましたが、シュナン・ブランが入っている事にビックリしました。過去の出題から見てもほぼ可能性は無いと思うのですが、一応押さえておいた方が良いでしょうか?今の時点で手を広げ過ぎても、とも思っているのですが。

無視しましょう。 シュナン・ブランはフランス・ロワール地方において真価を発揮し、驚くほど長期熟成に耐えるワイン、また貴腐葡萄から素晴らしい甘口ワインが造られています。香りや味わいも他のブドウにはない個性を持っており、試験的に狙われてもおかしくありません。また、酸がしっかりしており、暑い地方で造られても酸が残る為、アジア圏などでも重宝されております。→コンクールのテイスティングにも出題されたインドのスーラ・ヴィンヤードのシュナン・ブランなど。

決して無視できる存在ではないとも言えるのです。 ただ、正直どうなるかはわかりません。近い将来出題される日が来るでしょう。しかし、今年のこの講座では無視して進めることにします。とにかく、これまで出題されていないのです。→大昔に一度出題されたことがあったような…。ちなみにグルナッシュは出題されたことがあります。

個人的には出題されるならオーストリアのグリューナー・フェルトリーナーの方が先ではないかと思っています。オーストリアを代表するブドウ品種で、近年日本の市場でも一般的ですから。でも、こちらもやりません。まだ出題されておらず、ソムリエ試験的に定番になっていないからです。

おっしゃる通り、手を広げすぎることがマイナスです。シュナン・ブランに時間を取られるなら、リースリングやソーヴィニヨン・ブランをしっかり経験し対策すべきです。

主要ブドウ品種はもうおおよそ大丈夫!それぞれの香り・味わいがスラッとイメージできるくらいものすご~く自信のある方はこれらのブドウまで経験しておく方が良いかも知れません。しかし、ほとんどの皆さんはシュナン・ブランなんぞにかまけている時間は一ミリもありません。これから二次試験当日まで、リースリングですら何回テイスティングできるか考えてください。まず何よりも頻出主要ブドウ品種の特徴を捉えること・感じることが最優先です。

明日ではなく、今日少しだけでも頑張りましょう。疲れているのは皆同じです!
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第47回 赤ワインを比較する。

さて、白ワイン同様に赤ワインを比較します。

赤ワインを比較する。

始める前に少しだけ、白ワインと赤ワインの味わいにおける一番の違いはなんでしょうか。わかりますか?

【ヒント】
醸造行程が違います。←この違いがパッとわからない方は今調べましょう。

そして、黒ブドウから白ワインを造ることはできますが、白ブドウから赤ワインを造ることはできません。
※黒ブドウから造られる白ワインで有名なものにシャンパーニュのブラン・ド・ノワールがあります。

そうです。渋味の有無です。味わいに関しては単純に白ワインに渋味を加えると赤ワインと考えることができます。

赤ワインのテイスティングにおいて、渋味をどのように感じるかということがポイントの一つになります。

さて、始めたいと思います。

1. 見比べてわかること。

・濃淡を見る。
淡いのか、濃いのか、その濃さはどの程度なのかを判断できるようになることでわかることがあります。

ソムリエ試験的に言えば、淡い色調であると判断できれば、真っ先にピノ・ノワールをイメージしなければなりません。
ガメイ・マスカット・ベーリーAは淡い系寄りですが、どちらか悩むこともあります。また、カリフォルニアなどには色の濃いピノ・ノワールもあります。

また、白ワインと同様に、暖かい地域のワインほど色が濃くなります。

・「赤っぽい」か「黒っぽい」かを判断する。
赤ワインの外観を見るときの一番のポイントがここです。過去に出題されたアイテムの中で最も「赤っぽい」ものがピノ・ノワールで、「黒っぽい」ものがカベルネ・ソーヴィニヨンになります。
また、熟成によっても色調が変わります。若いワインは紫のニュアンスが強く、熟成が進むにつれて赤く(褐色)なっていきます。

「赤っぽい」  →  「黒っぽい」
ピノ・ノワール → ガメイ→マスカット・ベーリーAサンジョヴェーゼ → テンプラニーリョ/ネッビオーロ → シラー(シラーズ)→ メルロ → カベルネ・ソーヴィニヨン

イタリアワインは相対的に赤味を帯びる確率が高くなります。熟成に関する規定があることからも理解していただけると思います。その流れで、どちらかといえば、もともと紫の色調であったワインが私たちが目にする頃には赤味を帯びている可能性が高いのです。反対に若くて果実味たっぷりのワインが好まれるアメリカのワインは、紫の色調を感じる確率が高いといえます。

・粘性
上記の「赤っぽい」→「黒っぽい」の順が、粘性の「弱」→「強」に当てはまると言えなくもないのですが、ブドウの特徴に加えて、生産国・地域によるアルコール分に由来することも加味しなければなりません。

粘性が「弱い」 → 「強い」
フランス/日本 → スペイン/イタリア/チリ → オーストラリア/アメリカ

このくらいのイメージでしょうか。ワインをテイスティングする上で、外観で大まかにイメージを持つことがとても大切ですが、これらの情報だけでワインを絞り込むことは難しいとも言えます。

2. 香りを比較する。

・「赤い果実」系と「黒い果実」系にわける。
白ワイン以上に複雑な香りを持つ赤ワインですが、単純にわけてしまいます。香りのニュアンスはワインの色調にそれなりに比例します。

「赤い果実」系 → 「黒い果実」系
ピノ・ノワール/ガメイ/マスカット・ベーリーA サンジョヴェーゼ/テンプラニーリョ→ネッビオーロ/シラー(シラーズ) → メルロ/カベルネ・ソーヴィニヨン

徐々に黒い果実(カシスやミュールなど)のニュアンスが強くなります。私はテンプラニーリョまではどちらかというと赤系の方が強いように感じます。とはいえ、いろんな香りが複雑に交わっています。

ブドウそれぞれの特徴的な香りと合わせて感じられるようになってください。

・それぞれの国のニュアンスの違い
なんとなくですが、それぞれの国、地域によってそれなりに系統立った香り、ニュアンスを感じます。それらがとくに赤ワインに顕著に感じられるので、少しだけ紹介してみます。

・フランス
どの国よりも酸・ミネラルのニュアンスを感じます。また、ハーブっぽさも一番強い。

・イタリア
土っぽさ、埃っぽさ、どこか垢抜けない感じ、そして時折、酸化的なニュアンス。

・スペイン
こちらも土っぽさを感じますが、イタリアよりしっとり丸く暑い感じです。

~~~
新世界ワインに使われる樽のニュアンスについて

主にアメリカンオークが使用されます。フレンチオークよりも個性が強く、チョコレート、ヴァニラ、ココア、ゴムなどのわかり易い香りを強く感じます。
~~~

・アメリカ
過熟感、熱感。樽の強いニュアンス。酸、ミネラルの感じはどの国よりも少ない。

・オーストラリアかなり
アメリカ寄りですが、特有の「ユーカリ」ぽい青さを感じることが多いように思います。

・チリ
なんと言ってよいのか、独特の香りがします。酸っぱいような、うーん…ちょっと他の国にはない雰囲気です。アメリカほど強い過熟感、熱感はありません。

あくまで私のイメージです。言葉では伝えようのないことも多いので、今回はなんとなく通りすぎて、いつか共感?していただければと思います。

3. そして、味わいの違いを感じる。

赤ワインは香りが複雑ですから、判断基準に事欠きません。これまでの段階である程度まで絞ることができれば理想的です。→残念ながらそう簡単にはいきませんけどね。

・渋味を感じる
赤ワインと言えば渋味です。渋味の強弱を感じてください。

渋みが弱い →  強い
ガメイ/マスカット・ベーリーA→ ピノ・ノワール → サンジョヴェーゼ/テンプラニーリョ/メルロ → ネッビオーロ/シラー(シラーズ) → カベルネ・ソーヴィニヨン

・酸味を感じる
酸味が強い → 弱い
ピノ・ノワール → ネッビオーロ/サンジョヴェーゼ → ガメイ/マスカット・ベーリーA/シラー(シラーズ) → カベルネ・ソーヴィニヨン/テンプラニーリョ → メルロ

カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロにもしっかりとした酸があるのですが、カベルネ・ソーヴィニヨンは酸以外の要素も十分に主張する為、メルロは豊富な粘性の陰に隠れている為、それほど感じないのです。反対にガメイ/マスカット・ベーリーAは酸だけではなく全体としてそれほど主張しない感じです。

・ボリュームを感じる
軽め → しっかり
ガメイ/ピノ・ノワール/マスカット・ベーリーA → 【ここに大きな差があります】 → サンジョヴェーゼ → テンプラニーリョ/メルロ/ネッビオーロ → シラー(シラーズ)/カベルネ・ソーヴィニヨン

ボリューム感を国別で比べてみます。

軽め → しっかり
フランス/日本 → スペイン/イタリア/チリ → オーストラリア/アメリカ

粘性と同じ並びですね。

駆け足でしたが、一通りまとめてみました。とはいえ、ワインはさまざまな国のこれまた千差万別の考えを持った人々がさまざまな天候の中、毎年造っています。一言でこうですとは言えないものです。

一つの考え方としてはフランスを基準にしてみることです。例えばカベルネ・ソーヴィニヨンなら、ボルドーに見られるピーマンや森の緑のニュアンスを起点とします。そして、ブラインドテイスティングの最中にカベルネ・ソーヴィニヨンかな?と思い当たったとします。そこで自分の基準とするボルドーのカベルネではない要素、違和感(ピーマンっぽさよりもジャムのようなニュアンスが強いなど)を感じた時に新世界のカベルネを思い浮かべるといった流れが私には自然でわかりやすいように思います。これらはあくまで私の感じ方です。皆さんも自分の中に基準を持てるように頑張りましょう。

4.そして判断する

あくまで一例ですが、フローチャートっぽくまとめてみました。
※ガメイとマスカット・ベーリーAは最後にどちらか判断するものとして、ここではひとまずひとくくりで考えます。

ピノ・ノワール=P
ガメイ=G
サンジョヴェーゼ=Sa
テンプラニーリョ=T
ネッビオーロ=N
シラー(シラーズ)=Sy
メルロ=M
カベルネ・ソーヴィニヨン=C

外観
色調から三つにわけます。

a 淡くて赤っぽい → おそらくP(ピノ・ノワール)、もしかしたらG
b 濃くて赤っぽい → G、Sa、T、N、Sy
c 濃くて紫っぽい → Sy、M、C

香り
香りのタイプでさらに五つにわけます。

a 外観淡赤/香り「赤い果実」系 → ほぼP、もしかしたらG
b1外観濃赤/香り「赤い果実」系 → G、N、Sa、Sy、T
b2外観濃赤/香り「黒い果実」系 → (可能性ありN)、Sy、Sa、T
c1外観濃紫/香り「赤い果実」系 → Sy、(可能性ありN、Sa、T)
c2外観濃紫/香り「黒い果実」系 → Sy、M、C

・味わい
渋味・酸・ボリュームを意識して判断します。

a 淡赤/「赤い果実」系→ほぼP、もしかしたらG
・香りも味わいも酸が奇麗で、それほど複雑な感じがしない。渋味もないわけではない。→ピノ・ノワール
・香りがやや単調で、イチゴキャンデーっぽさとバナナっぽさが前面に出ている。渋味を感じない。→ガメイ

b1 濃赤/「赤い果実」系 → G、N、Sa、Sy、T をさらに分類します。

渋味 全体的なボリューム
弱い→軽め→G
弱い→重め→Sa、T
強い→重め→N、Sy

・Sa、T:テンプラニーリョの方が丸く、サンジョヴェーゼの方が酸をより感じます。
・N、Sy:ネッビオーロは強くて渋く、フレッシュさに欠けます。シラーはより緑っぽく(オリーブ)、よりスパイシー。酸の質が違います。

b2 濃赤/「黒い果実」系 → 可能性ありN、Sy、Sa、Tは上記と同様に考える。

C2 濃紫/「黒い果実」系 → Sy、M、C酸味が一番強いのがシラー、丸く滑らかなのがメルロー、渋味が強く四角いものがカベルネ・ソーヴィニヨン。

あとは樽のニュアンスや熟したニュアンス、粘性を確認して生産国を選びます。

…なんて、すんなりいくわけがありません。色合いの濃淡にしても、赤い果実の香りのニュアンスにしても微妙なことが多く、渋味、酸、ボリューム感を上記のように明確に判断することは難しいものです。

最初はうまく感じられないものなので、あまり深く悩まずにどんどんこなしていきましょう。このワインはこちらのものよりもちょっと渋いかな?ってなところから始めてそれらの経験を重ねていってください。数ヵ月後には自分の基準がなんとか出来上がり、ブドウ品種を探し当てられるようになることを目指します。ヴィンテージや生産地、生産国などは後回し、もしくは勘でもいいくらいです。

テイスティングの話をもう少し続けます。

何かございましたらこちらまで
koza★majime2.com 松岡 正浩
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