三次試験対策!2021年のソムリエ実技を振り返る
第152回
前回のエクセレンスの2次・3次試験の内容、ご覧になりましたか?
一般呼称とはすでに比較にならない試験へと変わりました。今年合格された方は、一つの目標として掲げてみられるのも良いのではないでしょうか。一朝一夕でなんとかなる試験ではありませんから、今から何を積み上げていくべきかという良い指標になるかもしれません。
ところで、話は変わりますが、以前公開した松岡氏の「フランス料理の香りシリーズ」を覚えておられますでしょうか。
→第1回はこちら、この時は4回程更新しました。(第2回、第3回、第4回)
間が空きましたが、ちょっと番外編でもう少しだけ続きのお話があるので、この落ち着いたタイミングで紹介したいと思います。
私はこれまでいろんなフランス料理の料理人に「フランス料理の定義とは」と聞いてきました。なかなか難しい問いかけのようで、全く答えられない人もいらっしゃいました。
そもそも、このような定義が必要なのかとおっしゃる方もいらっしゃいます。家庭で食すのであれば定義など必要ないと思いますが、飲食店のように広くお客様をお迎えしているのであれば、お店の考えを持って欲しいと思うわけです。
定義づけするということは他との違いを明確にすることでもあります。例えば、日本料理店に伺って、イメージする日本料理とあまりにもかけ離れた料理が出てくると困るわけですから。定義という言葉をもう少しわかりやすく言い換えれば特徴ということもできると思います。
では、日本料理の定義(特徴)とは?
魚と野菜を主体とし、魚から取った出汁をベースにした日本の四季を感じられる料理。また、千利休以降の茶懐石の流れを組むコース料理。また、新鮮な食材を、素材を活かすべくその場で調理する割烹料理。日本料理と看板を掲げているお店は、様々な考え・解釈があるでしょうが、ある程度近い認識を持たれているのではないでしょうか。
「洋食」と呼ばれるカテゴリーがあります。ハンバーグやエビフライ、シチューにグラタン・ドリアなどを提供する子供が大好きなお店です。→あまり伺う機会がないのですが、私も大好きです。「洋食」と呼ばれますが、外国の料理ではなく、間違いなく日本で育まれた日本の料理です。牛肉を食べるようになった文明開化以降に”西洋”のイメージで作られた日本の料理といったところでしょうか。また、違った見方をすれば「ラーメン」も日本の料理の一つだと考えられます。ただ、これらのお店が”日本料理”の看板を掲げているならちょいと違うなという感じです。
さて、フランス料理とは?
フランス料理にも魚料理がありますが、圧倒的に肉の文化です。鰹・昆布の出汁の日本料理に対して、フォン・ド・ヴォー(フォン=出汁、ヴォー=仔牛)のフランス料理。出汁まで肉で取るわけです。
あるパリの一つ星シェフは
「フランス料理とはフォン・ブランをベースとした料理」→フォン・ブラン=肉類から取った白い出汁
と答えました。私が日本一(世界でも間違いなく指折り)のパティシエだと思う方からは
「フランス料理って、本来”血の香り”が真ん中にあって料理が構成されていたんだよ。だから、俺は血の香りに通ずるニュアンスがないテーブルはフランス料理とは思わない」
と聞きました。また、”寿司は食べるけど、感化されたくないから日本料理を食べません”と宣言している旧知のフランス料理人が柏屋に来てくれました。そして、(彼にとって数年ぶりの)日本料理を食べながらこのように言いました。
「日本料理の季節感、繊細な旨味を感じられる日本人でよかったと思っています。ただ、日本料理にはフランス料理のベースとなる(肉類から抽出される)ゼラチン質の旨味、いわゆるグラってやつですが、その舌に形としてのっかる旨味が全くない。今日の日本料理は本当に素晴らしかったのですが、改めて僕はフランス料理が大好きだと認識しました」さらに、ある有名イタリアンのシェフから聞きました。
「イタリア料理は素材を食べる料理、日本料理は水を感じる料理、中国料理は油を感じる料理、そして、フランス料理は哲学を食べる料理」
であると。良いか悪いかは別にして、基本フランス料理は素材重視ではありません。イタリア料理は素材の味が必要だと言われるようですが、元来フランス料理は素材そのものの香り、個々の味わいをそれほど意識してこなかったんです。
フランス料理は足し算の料理。
旨味に旨味を加えてバランスをとり、どこか高いところにある到達点をめざす。これを哲学というのかどうかはその人の考え方次第でしょうが、”加える”ことが大切なポイントなわけです。
そして、フランス料理の香りとは?
続きます。
三次試験対策!2021年のソムリエ実技を振り返る
さて、2021度の三次試験、実技の受験報告です。今回は少ないですが見ていきましょう。
お題は再び定番の「シャトー・タサン」でした。
お世話になっております。
以前、2次試験の報告をさせていただきましたものです。3次の報告も出来たら良かったのですが、時間の余裕があまりとれず…。
今頃合格の報告となってしまいました。私は雅叙園での受験で、他の方からの報告と特に変わる事はないと思いますのでひとつだけ。
本番での立ち位置がコの字の先端で、備品を取る順番はこちら側3人の中で必然的に最後。
さて自分の番と思ったらトレーが2枚しかなかったようで私の分がありません。
試験官の方を振り返りましたが、ちょうどそのとき3人とも手元を見てました。隣の備品置き場の最後の方がいなくなったとき、あちらにトレーが一枚残っていたのでそちらまで取りに行き、内心は焦ってましたが何事もなかったように再開。
今思えば、実際は数秒程度のロスだったと思いますが、自分だけ周りからかなり遅れをとった感覚だったのでその後の工程は急ぎ気味で進めました。デキャンタージュの際、勢いが強すぎたせいで若干垂らしましたが、それくらいでしょうか。
→今までの報告でも「備品の割り当てが分かりずらかった」との報告があります。これに関しては試験官や教会から特段の説明はなく、それも含めて試験とのスタンスを感じます。逆に言えば、採点には大きく関係しないと割り切って、気にせず進めるしかありません。正直、緊張の中で予期せぬ出来事に面する受験生には同情しかありませんが、諸先輩の教訓を糧に「気にせず」自分のリズムに戻って実技を続けてもらいたいと思います。最終的には30秒以上余裕があったと思います。周りの方々は皆さん先に終了してました。
本来であれば「ボトルをテーブルに〜」の台詞でボトルの位置を直したかったのですが省略。
グラスとデキャンタに対してボトルの位置が不自然で美しくなかったですが…。→そこまで考えてられていることにもう合格を感じます。試験的には大した問題はないでしょう。2次の時にはグラスがクラックしていましたし、アクシデントが続きましたが、あちらも数をこなさなきゃならないので仕方ないのかと思います。
以上です。
長い間本当にお世話になりありがとうございました。
更新を続ける事は我々受験者より大変な事だと思います。
感謝しかありません。来年から新しい職場になるようですので、それもまた大変かと思いますが、お身体に気をつけて下さい。
今後のご活躍をお祈りしております。
【ソムリエ呼称三次試験】
東京…目黒雅叙園ホテル
事前に受験番号毎に集合時間が決まっており、各開始時間の受験生は6人×15グループ位に分けられ、控室から担当者に連れられて会場となる大広間の前で待機します。
先の受験生が退出を終えると一旦扉が閉じられ、次の受験生の試験の準備が行われます。
入室前の待機中に先導する方から1人ずつあなたはコの字型テーブルのどの位置、という説明を受けます。
入室後配置に付き、受験番号と氏名を述べるとマイクで大広間の全受験生に向け、
・備品はコの字型テーブルの後ろにある
・銘柄はシャトータサン2019
・デキャンターのリンスは不要
・質問は受け付けない
といった説明を聞かされ、「開始して下さい。」を合図に全テーブルの受験生が一斉にスタートしました。
アナウンスを聞き逃すと使用銘柄が分からず、デキャンタージュする銘柄の復唱確認をできない事となる点は注意が必要と感じました。僕が受験前に気になっていた点もお伝えさせて下さい。
ボルドーの為コルクが長いとYouTubeに上げている方がおり不安になりましたが、グランヴァンに見られる様な長めのコルクではなく一般的な4.5cmの物でした。ただDIAM系のコルクではないので抜栓に不慣れな方は折ってしまわない様スクリューの差し込みは的確に行う必要があると思います。
コの字のテーブルの後ろにある備品は長机の左右に3名分ずつ配置されており混雑しない配慮がありましたが、コの字型テーブルの試験官に近い位置の方は備品置き場に到着するのが遅れ、先の2名が取り終えるのを待つ場面も出てしまいます。試験官に近い位置の方の中には備品置き場となる長机の後ろ側に回って混雑を回避して備品を取っている姿も見受けられました。
→この辺は、受験者全員がストレスを感じるポイントですね。ある程度計算にいれておきましょう。
サービストレイは控室に入る前の待機中に2階から見下ろせる1階ラウンジで雅叙園のスタッフさんが使用している物と同じプラスチック製のノンスリップタイプでした。無愛想な試験官に当たってしまった、という報告を散見しましたが受験生にとっては一回きりの実技、試験官は何人も公平に審査をしなければならない長丁場の1日を過ごしている、と考えて「お疲れ様です」という気持ちで臨むと、心象も自身の実技も良い結果に繋がりそうだな、と感じました。
→とても良い考え方です。試験官との相性がないとは言いませんが、試験官に理想のお客様のような過度な期待を求めてはいけません。極端なことを言えば、試験官の態度は無視しても良いくらいだと思います。淡々と自分の実技をすればそれで合格です。実際の現場ではそれでは駄目ですが・・・。
ソムリエ二次試験対策講座(東京)でも大変お世話になり、ありがとうございました!
試験報告がおそくなりましたが、今日は実技試験、私の報告を簡単ではありますが、先にさせて頂きます。東京、雅叙園
私は13時集合でした。早めに着き、雰囲気を味わいたいと思い12時過ぎには雅叙園に着きました。もうすでに、着替えを済ませた受験生が沢山で、荷物を預けるクロークは行列してました。
私は仕事着替にコートを羽織り、タブリエ着けるだけの服装なので、リュックで行き、クロークには預けず、試験会場まで持ち込みました。(ワインスクールの試験担当経験がある先生に持ち込み確認してます)
13時過ぎ、受験番号で決められてる控え室に案内され、オリエンテーション。(事前に控え室のメールがソムリエ協会から届きました)
アルファベットのグループ毎に(6人、受験番号順)係員に案内され、試験会場前で並び、前の受験者が終わり準備が出来るまで、10分くらい待機しました。
私の係員は50代女性の方で、皆が緊張してる様子だったのを見て、『何があっても笑顔でやりきって!大丈夫よ』と、お声をかけてくれました。扉があき、終わった受験者がワインの入った袋を持ちすっきりした様子で出てきました!私は2番目に並んでいたので、中の様子を見れました!”こーざ”の報告聞いてた通りの会場でイメージ通り。
また扉が開き、係員に続いて私はリュックを持ち会場に入りました。荷物は白いクロスが敷いてある作業台の下へ入れました。立ち位置も青いテープに、と指示がありました。会場全体にアナウンスで、グラスは2つ(ホスト用ティスティング用)、ナフキン3枚、小皿3枚、ライト、デキャンタ等々。リンスはなし、2019シャトータサン‼️ よし、若いワインでラッキーと。
順番に受験番号と名前を言い、直ぐに始まりました。私はA08○○。いつも80○○としか練習してなかったので、焦りましたが前の受験者に習い受験票を見ながら言いました!
その後の実技の流れは、練習通りに落ち着いて出来たと思います。ただ、抜染後にナフキン使用を忘れてしまい、ナフキン1枚残ってしまいました。
前日にワインスクールで実技の練習した時に2ヶ月ぶりのデキャンタージュだったので、ワイン溢したり色々やらかしたのでそれが良かったのか、試験官前にあまり緊張しなかったです。ティスティングした時も、タサン美味しい!と思い、ワインは大変素晴らしい状態です!の伝え方は特にバッチリと伝わったのではないかと思いました。私を審査する試験官は50代男性で、終始笑顔で頷いてくれたことも運がよく、よい流れで最後までやりきることが出来ました‼️
制限時間7分でしたが、だいぶ時間があまり終わるまで試験官を見つめじっと待ちました。
終了のアナウンスのあと、デキャンタのワインをボトルに移し(ホスト用グラスのワインも)、紙袋に入れ各自持ち帰りました!
ナフキン1枚使用忘れはしましたが、無事に終わりほっとしています。→たいした減点にはならないでしょう。
結果は12月8日夕方ですが、不合格だとしても、また来年チャレンジするし、まだまだ楽しく勉強し続けていきます!
だらだらと自分の事ばかり書きましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。
”こーざ”のお陰でここまでこれました!これからも、変わらず講座でも勉強させて頂きますので、よろしくお願い致します!
これから冬将軍がやってきますね、先生も体調など崩されませんように!まったく危なげない実技でした。もし不合格だとしたら論述だけと考えて間違いありません。
無事に三次試験終了いたしました。私は二次試験に引き続き、駅から歩いて1分のグランヴィア岡山でした。
受験者は、二次試験の際には20名(数名程二次試験には来ていませんでした。)だったのが、三次試験は11名に減っており、やはり合格率は概ね7割程度なのかなあと思いました。試験ですが、このたびのオリエンテーションの説明に【試験終了の合図とともに、パニエからワインを取り出し立ててください】とありました。結果忘れており、いつも通りデキャンタージュ後、小皿に置いてしまいました汗
→些細なことだと思います。先生なら『減点されても些細な減点です。気にしないで大丈夫です。』と言っていただける事を信じてます汗
→(笑) まったくその通りです。試験ですが、荷物はクロークに預けず、基本会場に持ち込み。クロークは臨時でワンフロア上に用意されておりました。
試験室には3人で入場。入ってすぐ左サイドに1Kテーブルが2つ用意されており、荷物はそちらへ。テーブルは試験官のテーブルに対して、コの字ではなく極めて緩やかな扇状に並べられており、横幅140センチ、奥行き60センチ程度でアンダーが敷いてあり、場所は広く使えます。が、自身の肩口程度の場所でもデキャンタージュ出来るように練習していたので練習に近い配置で置きました。
80センチ程度通れる間をあけた後ろの3Kテーブルにそれぞれ、必要なものが準備されていました。
デキャンタは綺麗なものとし、リンスは不要と言うのは、デキャンタを使い回すからか!とこの時にわかりました。私は2組目でしたが、すでに赤ワインのタンニンで赤々としておりました。デキャンタは口は5センチ程度で涙型のよくある廉価なものです。
→時間的な問題もあるのだと思います。そしてトレーはシルバーで小さめ。40センチ無い位でしょうか。デキャンタまで乗せるとカツカツなので、デキャンタは練習通り最後に右手に持つのがベスト。
トレーには滑り止めに白の円のアンダーが敷いてあり、滑ることはありません。
トレー→INAO規格のテイスティンググラスと小ぶりのボルドーグラス→小皿はパン皿6インチのパン皿→隣にベリー皿に入ったプラの漏斗→木製のラックに3段で入ったシャトータサン2018の順に並んでおります。そしてグラスの前に3センチ直径長さは12センチ程度のライトがおかれています。
所定の位置についたら受験番号と氏名を言って、一通り説明を受けてからスタート。練習の際はスタートの合図後に受験番号と名前を言ってから実技を始めていたのでかなり時間が短縮できました。
勿論2018年なので、若いワインですので、香りと味わいを開かせるためにデキャンタージュさせていただいてもよろしいですかと、了承を得て抜栓へ。金属製のキャップシールで尚かつクルクル回らないので非常にキャップシールも剥がしやすかったです。ボルドータイプの瓶口の段差も1ミリ程度で、直角に近い形で段差になっていたので易しい作りです。
練習では粗悪なショートコルクを打栓機で都度打ち、そして購入したプラのキャップシールを都度ドライヤーで圧着させてから繰り返し練習していたのでやりやすさに感動しました。3ステップで綺麗に剥がせると嬉しいものですね!
→落ち着いてとりくんでいる様子がうかがえます。この時点で合格でしょう。紙ナプキンで瓶口を拭い、コルクも様式的に2段で抜いて、紙ナプキンでコルクを包んでからソムリエナイフから抜き、香りを嗅いでから、『コルクは健全でございます。』
品質確認のため味見の了承得て試験官頷く。少量テイスティンググラスに入れ、リトーで後ろを覆い、色調そして香り、最後は味わいと進み『ワインは大変素晴らしい状態です』試験官頷く。ライトを点灯して肩口にライトを当ててデキャンタージュ。『若いので最後まで移し替え、澱はございませんでした。最後の一滴までお楽しみいただけます。』と添えました。
味見をお願いして、試験官頷く。お注ぎいたしますの発声とともに試験官頷いた後、グラスへサーブ。3つ並べた小皿の左端にデキャンタ中央皿にコルク右端にボトルを立てます。
最後に『それではごゆっくりお楽しみください。』と、一言を添えた後、トレーを持ち、パニエ→テイスティンググラス→ライト→そして最後に、『コルクはお下げしてもよろしいですか。』と了承得てからコルク皿を下げ、所定の位置に使った道具を戻し、『終了いたしました。』の発声とともに終了です。
体感時間は、4分かかって無い位でしょうか。かなり早く終わって少し待機する位時間が余りました。全員が終了した時点で試験官が『終了でよろしいですか?』と聞いてきたので、3人とも、はい、と返事をし、即時終了。
最後にボルドーグラスとデキャンタのワインを漏斗で瓶に戻し、栓をして、用意されているワイン用の紙袋に入れて終了となりました。滞りなく終了できたと思います。
あとは12月8日の発表まで静観して待ちます。とりあえず、ご報告までにメール差し上げました。長文で大変見づらい稚拙な内容ではありますが、お目通しお願いいたします。
実務経験が豊富でらっしゃるのでしょうか。全く危なげない様子です。素晴らしい実技でした。
こんばんは。実技は大きなミスはなかったと思います。
神戸会場シャトータサン2019は注ぎ切りました。
(6人中右2人は澱のある設定でだいぶ残してました、私は少し溢しましたが笑)論述問1.3と1つ答えよを複数回答していたのでだめかなと思ってましたが、本日無事3次試験通過でき遅咲きのソムリエをスタートをきることができました。
おめでとうございます。ご報告ありがとうございます。こちらのご報告で特に感じていただきたいのは、注ぎ切っても大丈夫だということです。若いワインでしたら自信を持って澱はなかったと注ぎ切ってしまいましょう。
何かございましたらこちらまで
info@majime2.com 牧野 重希