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トスカーナ、ウンブリア<C>「キアンティとビステッカ」

2024/04/02
 
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第55回

おはようございます。
本日のメインはトスカーナ州、イタリアの赤ワイン産地としてはピエモンテと並んで2強の一つと言って差し支えないでしょう。

Chianti ClassicoBurnello di Montalchinoといったイタリアでも代表的な赤ワインを産出する産地です。有名な銘柄・生産者を挙げればキリがない産地ですが、その一つとしてアンティノリが挙げられます。トスカーナの歴史ある大きなワイナリーには、貴族によって脈々と受け継がれてきた家族経営のワイナリーが多いのですが、アンティノリはその代表格です。

アンティノリのトップワイン、「Solaia(ソライア)」はスーパートスカーナの中でも際立つ存在です。
→スーパートスカーナ(アメリカではスーパータスカンと呼ばれていました)の説明を簡単に。フランスのAOCと違い、イタリアのDOCGはワインの格付け(ランク)というよりは、ワインの歴史や伝統が法律になったようなイメージです。当時、DOCGに従っていては良いワインを造れないと感じた生産者たちが、あえてIGTにまでクラスを落として自らの造りたいワインを造りました。しかもDOCGより高価な値段で販売したのです。DOCGより高品質で高価なそのワインはスーパーIGTと言われ、そのなかでも最も世界で評価されたトスカーナのワインがスーパートスカーナとして世界で有名になった時期がありました。

トスカーナのフィレンツェには、アンティノリが経営するアンティノリBarがあり、アンティノリのワインのほとんどをグラスで飲むことができます。もちろんソライアも。→グラスとはいえ高価です。当時で1杯6000円ぐらいだったでしょうか。今は円安ですからもっとするんでしょうね…。

私もアンティノリBarでワインを楽しんだ経験があります。ちょっと遅めのランチを取ったあとに同行者と共に寄ったのですが、皆おなか一杯とのことで、その日はそのBarで〆とし、ホテルに帰るという流れになりました。ソライアをいただき満足感を得ていた私ではありますが、この日もう一つ大事な目的がありました。

それは、ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナを食べるということです。→キアナ牛のTボーンを炭火焼きにしたトスカーナの名物料理です。

旅の疲れのせいか早い時間で解散となったその日ですが、ローマからイタリアに入り、トスカーナでは他にも回る場所があった旅行であったため、フィレンツェでの宿泊はその日で最後。この日を逃すとビステッカが食べれないと思った私は一人でトラットリアに向かったのでした。

ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナは基本1Kgからしか注文できません。→観光客向けに小さく提供する店もあるらしですが。
ホテルに近く評判の良いトラットリアに入り、「一人なので、半分のサイズにしてくれないか?」と聞いたものの、あっけなく無理だと言われ、目の前に1Kgの肉塊とそれだけでおなか一杯になりそうなジャガイモのソテーが並びました。

ワインはもちろん地元のワイン、Chianti Classicoのボトルを注文しました。シンプルに炭火で焼き上げたキアナ牛には最高の相性です。→サン・ジュスト・ア・レンテンナーノというトップ生産者の2014年を頼みました。2014は柔らかい年ですでに素晴らしく美味しく、現地で飲んだことも手伝って忘れられない味になりました。ちなみに、イタリアではその土地のワインを注文するのがベターです。おらが村の国民性なのでその方が優しくしてくれますよ(笑)

だがしかし…です。わかってはいたもののすさまじい量です。とても一人では食べきれず、お肉を残したことを店員さんに謝罪し、残りのワインは皆さんで飲んでほしいと伝え、チップを渡して帰ってきました。

我ながら強行的な行動に反省はしましたが、目的を達成した満足感を感じながらフィレンツェの夜道をホテルへ戻ったことを今でも覚えています。→けっこう酔っぱらっていましたが…

与太話にお付き合いいただきありがとうございます。それではトスカーナとウンブリアを始めます。

※表紙はイタリアの「緑の心臓」と呼ばれるウンブリア州の景色

他人と比較して、他人が自分より優れていたとしても、それは恥ではない。しかし、去年の自分より今年の自分が優れていないのは立派な恥だ。by ジョン・ラボック(英国の銀行家、政治家、生物学者)

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トスカーナ、ウンブリア <C>

目次

 

I Toscana トスカーナ州

概要
北はリグーリア州、南はラツィオ州と接し、西側にはティレニア海(地中海)の海岸線が約400㎞続きます。様々な農作物を一つの農園で栽培する伝統もあり、ブドウの畝やオリーブの果樹園が幾何学模様のように続き、その奥には森があるという私たちがイタリアを思うときのルネッサンス絵画のような風景が広がります。→州都はフィレンツェです。

ピエモンテに並ぶ高品質ワインの産地であり、1970年代に始まった「イタリアワイン・ルネッサンス」と呼ばれるイタリアワインの近代化を牽引したのはキャンティ・クラシコ地区の生産者でした。彼らの規則にとらわれない自由な発想から生み出されたワインは「スーパータスカン」<1>ともてはやされ、国際的な知名度を得ました。<1>
赤ワインが極めて多く87%です。

歴史
紀元前9世紀に中部イタリアを広範囲にわたって支配し、ブドウ栽培とワイン造りを伝えたエトルリア人の「エトルリア」がトスカーナの語源<1>とされます。14世紀から15世紀にかけて銀行業で富を成したメディチ家をリーダーとして、まれにみる文化的繁栄を生み出し、ルネッサンスの中心地となりました。その後、トスカーナ大公国となり、1716年にトスカーナ大公コジモ3世<1>により「カルミニャーノ」「キアンティ」「ポミーノ」「ヴァル・ダルノ・ディ・ソプラ」のワイン産地<1>の境界を定め、世界最初の原産地保護となりました。19世紀になってイタリア統一の機運が高まり、1870年頃、そのトスカーナのリーダーであったベッティーノ・リカーゾリ男爵<1>が今日のキアンティのベースとなる有名なFormulae(サンジョヴェーゼ 70%、カナイオーロ 20%、マルヴァジア・デル・キアンティ 10%
<2>を定めました。→比率もなんとなく頭に入れておきましょう。

気候風土
北と東にアペニン山脈が、西側は地中海に面しており、ほとんどが丘陵地帯で、山岳地帯が1/4、平野部はわずかに8%程度です。内陸部は夏暑く、冬非常に寒い大陸性気候、海岸部は温暖で雨の少ない地中海性気候です。

主要ブドウ品種
白ブドウ
・ヴェルナッチャ
:しっかりとした酸を持ちます。
トレッビアーノ
マルヴァジア・ビアンカ→主にキアンティ地方でヴィン・サントに使用<1>

黒ブドウ
・サンジョヴェーゼ:中部イタリアを代表する黒ブドウ。酸とタンニンがしっかりしています。いろいろな呼び名、多くのクローンがあります。
・カナイオーロ・ネーロ

覚えておきたいDOC
・Elba
・Rosso di Montalcino<1>→DOCG Brunello di Montalcinoの弟分のような感じです。
・Pomino→白:ピノ・グリージョ、シャルドネなど、赤:サンジョヴェーゼ、ピノ・ネーロ、メルロなどのブレンド。
・Vin Santo del Chianti / Chianti Classico / Montepulciano→トスカーナはヴィン・サント(陰干しブドウから長期酸化熟成させて造られます)が有名です。
Bolgheri<2>→以前はシンプルなロゼワインの産地でした。カベルネ・ソーヴィニヨン主体で造られるサッシカイアの大成功によって一気にボルドー品種の産地として発展、現在は単一ワイナリー唯一のDOC、ボルゲリ・サッシカイアが認められています。<1>

DOCG

・Brunello di Montalcino→トスカーナで最も古いDOCG<1>
・Vino Nobile di Montepulciano→プルニョーロ・ジェンティーレ(サンジョヴェーゼ)種70%以上<1>
・Chianti→ここのソットゾーナが問われます。ソットゾーナは7つ<1>で、Rufina<3がまずまず有名です。その他は概ね”Colli なんとか”です。
・Chianti Classico→フィレンツェとシエナの間の美しい丘陵地帯にブドウ畑が広がります<1>。ここのガレストロ土壌(泥灰土が薄く何層にも重なった土壌)<2>は有名です。2010年からGran Selezione(グラン・セレツィオーネ)という上位規格ができました。熟成30カ月以上<3>・アルコール13%以上です。また、近年の生産規則変更に伴い、UGA<1>(追加地理地区)と呼ばれる11地区名をラベルに表記することが認められました。(現時点ではグラン・セレッツィオーネのみ)
・Carmignano<1>
→サンジョヴェーゼ主体ですが、少量のカベルネは使用可<1>。コジモ三世。
・Vernaccia di San Gimignano(トスカーナ唯一の白)→ブドウはVernaccia。世界遺産「百の塔の町」サン・ジミニャーノ。<2>
・Morellino di Scansano<1>
→こちらもサンジョヴェーゼ(この地域ではモレッリーノと呼ばれる)。トスカーナ最南端のDOCG。<1>.
・Elba Aleatico Passito / Aleatico Passito dell’Elba(赤甘口パッシート)<1>
→Aleaticoがブドウです。トスカーナで唯一完全にサンジョヴェーゼ系でない赤ワインのDOCG。
・Montecucco Sangiovese
・Val di Cornia Rosso / Rosso della Val di Cornia→サンジョヴェーゼ+ボルドー品種<1>
・Suvereto→ボルドー品種主体(100%でもOK)可<1>。サンジョヴェーゼ主体でもOK。元々は↑Val di Corniaの一地区<1>

ブドウ品種の記載のないDOCGは全てサンジョヴェーゼ系主体です。太字のDOCGはそれとなく地図上で場所を確認しておきましょう。

J Umbria ウンブリア州

海のない州<1>で、イアリア半島のほぼ真ん中に位置します。平地はほとんど見られず、70%を占める緑の丘陵地は美しく、イタリアの「緑の心臓」<2>と褒めたたえられています。イタリアでも有名なトリュフの産地で、ピエモンテと同じく白トリュフも採れますが、黒トリュフが有名です(地方料理:Spaghetti con il Tartufo Nero<1>)。

主要ブドウ品種
白ブドウ
・グレケット→ギリシャ起源、フルーティーな白ワインに
・プロカニコ→トレッビアーノの一種

黒ブドウ
・サンジョヴェーゼ
・サグランティーノ

覚えておきたいDOC
Orvietoプロカニコ、グレケット種<1>から造られる主に辛口の白ワインです。昔は甘口貴腐ワインが名声を博し、教皇御用達<1>という時代がありました。ラツィオ州にもまたがっているDOCGです。<1>
Torgiano(赤・白・ロゼ・発)Torgiano Rosso RiservaとなればDOCGです。

DOCG

Torgiano Rosso Riserva<1>
→サンジョヴェーゼです。<1>最低熟成期間は36ヶ月<1>(内瓶内熟成6カ月)。

Montefalco Sagrantino<1>(赤・パッシート薄甘口)
→ブドウ品種はサグランティーノ<2>、タンニンの強い黒ブドウです。

さて、しっかり【過去問】で確認しましょう。

ソムリエ試験 過去問

【過去問】
トスカーナ州の白ワインの D.O.C.G.を次の中から1つ選び、解答欄にマークしてください。

1. Vino Nobile di Montepulciano
2. Vernaccia di San Gimignano
3. Vernaccia di Serrapetrona
4. Rosazzo

【過去問】
D.O.C.G.Chianti の特定地域(ソットゾーナ)を 1 つ選んでください。

1. Rufina
2. Sassella
3. Valpantena
4. Cartizze

【過去問】
フィレンツェとシエナの間に広がる丘陵地帯(8コムーネ)の D.O.C.G.を1つ選んでください。

1. Vino Nobile di Montepulciano
2. Carmignano
3. Brunello di Montalcino
4. Chianti Classico

【解説】
コムーネ…、試験中にこんな知らない単語が出てくるとビビります。実は私の受験時に出た問題で実際に「え?」となったのを覚えています。イタリアの自治体を表す語で、イメージ的には市・町・村です。
この出題のポイントはある程度DOCGの地理的情報が頭にあることに加えてフィレンツェとシエナの位置関係がわからなくては解答できません。私はこの地方 に行ったことがあるのでイメージがありますが、なかなかシエナまでは勉強できないものだと思います。←でも今、上記の地図でフィレンツェとシエナの場所を確認するんですよ。のちにCBT試験でも問われました。

【過去問】
トスカーナ州において、最も南に位置する D.O.C.G. を 1 つ選んでください。

1. Pomino
2. Morellino di Scansano
3. Chianti Classico
4. Carmignano

【過去問】
次の中から、主要品種がNebbiolo以外で造られる赤ワインD.O.P.( D.O.C.G.)を1つ選んでください。

1. Gattinara
2. Roero
3. Valtellina Superiore
4. Torgiano Rosso Riserva

【過去問】
次のD.O.C.G.ワインの中からToscana州以外のものを1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。

1. Morellino di Scansano
2. Vino Nobile di Montepulciano
3. Montefalco Sagrantino
4. Vernaccia di San Gimignano

【過去問】
次の 1-4 のイタリアワインの中から白、赤ともに生産が認められている D.O.C.G.銘柄を1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。

1. Vernaccia di San Gimignano
2. Bolgheri
3. Roero
4. Ramandolo

【過去問】
次の中から中部イタリア、トスカーナ地方の地方料理「Bistecca alla Fiorentina」に最も相性の良いワインを1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。

1. Albana di Romagna
2. Orvieto Classico Secco
3. Chianti Classico
4.  Frascati Secco

【過去問】
次の中からウンブリア州で生産されているD.O.C.G.ワインを1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。

1. Torgiano
2. Rosso Orvietano
3. Orvieto Classico
4. Montefalco Sagrantino

【過去問】
① 下記のトスカーナ州の地図A~Hの中からD.O.C.G.Brunello di Montalcinoに該当するものを1つ選んでください。
② 下記のトスカーナ州の地図A~Hの中からD.O.C.Bolgheriに該当するものを1つ選んでください。

【解説】
DOCまで地図上で問うのかと思ってしまいました。Bolgheriはちょっと特別ですけどね。はやり、ピエモンテとトスカーナの超有名どころは地理的位置関係も確認しておきましょう。

【過去問】
次のA~C のイタリアワインの品質特徴に、適合する州を下図の1~20中からそれぞれ1つ選び、その番号を解答用紙の解答欄にマークしてください。

A. イタリア北部にあって、山地、丘陵地(10%)、海岸まで平地(40%)で、イタリアで最も雨が多いところで、ぶどうは主に丘陵地で平地でも少量造られている。高品質志向の白ワインが多く造られ、特に白の甘口は有名である。
B. 山岳地帯のワインに属しているが平地が中心で、ワイン生産量が多く、1960 年以前にカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロなどが栽培されていた。Reciot やAmarone などのタイプのほか、フルーティなスプマンテなどがある。
C. 丘陵地が多くD.O.C.G.、ワイン生産量共に多い州です。Vin Santoも有名であり、近年カベルネ種やメルロ種から造られたワインも世界的に注目されている。

【解説】
復習です。
A. フリウーリ=ヴェネツィア・ジューリア州
B. ヴェネト州
C. トスカーナ州

 

ここもしんどいですね。あと少し、ひとまずGWまではしっかり頑張りましょう。お疲れ様でした。

何かございましたらこちらまで
info@majime2.com 牧野 重希






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