第129回 論述試験対策! 2013〜2011年度アドバイザー呼称の口頭試問を振り返る。

   

さて、趣味的に続けて参りました”フランス料理の香り”、やっと最終回です。ここから始まっています。

私はこれまでいろんなフランス料理の料理人に「フランス料理の定義とは」と聞いてきました。なかなか難しい問いかけのようで、全く答えられない人もいらっしゃいました。

そもそも、このような定義が必要なのかとおっしゃる方もいらっしゃいます。家庭で食すのであれば定義など必要ないと思いますが、飲食店のように広くお客様をお迎えしているのであれば、お店の考えを持って欲しいと思うわけです。
定義づけするということは他との違いを明確にすることでもあります。例えば、日本料理店に伺って、イメージする日本料理とあまりにもかけ離れた料理が出てくると困るわけですから。

定義という言葉をもう少しわかりやすく言い換えれば特徴ということもできると思います。

では、日本料理の定義(特徴)とは?
魚と野菜を主体とし、魚から取った出汁をベースにした日本の四季を感じられる料理。また、千利休以降の茶懐石の流れを組むコース料理。→間違っていたらごめんなさい。日本料理はまだまだ経験が少ないので。

日本料理と看板を掲げているお店は、様々な考え・解釈があるでしょうが、ある程度近い認識を持たれているのではないでしょうか。

「洋食」と呼ばれるカテゴリーがあります。ハンバーグやエビフライ、シチューにグラタン・ドリアなどを提供する子供が大好きなお店です。→あまり伺う機会がないのですが、私も大好きです。「洋食」と呼ばれますが、外国の料理ではなく、間違いなく日本で育まれた日本の料理です。牛肉を食べるようになった文明開化以降に”西洋”のイメージで作られた日本の料理といったところでしょうか。また、違った見方をすれば「ラーメン」も日本の料理の一つだと考えられます。ただ、これらのお店が”日本料理”の看板を掲げているならちょいと違うなという感じです。

さて、フランス料理とは?

フランス料理にも魚料理がありますが、圧倒的に肉の文化です。鰹・昆布の出汁の日本料理に対して、フォン・ド・ヴォー(フォン=出汁、ヴォー=仔牛)のフランス料理。出汁まで肉で取るわけです。

あるパリの星付きシェフは「フランス料理とはフォン・ブラン(肉から取った白い出汁)をベースとした料理」と答えました。

私が日本一(世界でも間違いなく指折り)のパティシエだと思う方からは「フランス料理って、本来”血の香り”が真ん中にあって料理が構成されていたんだよ。だから、俺は血の香りに通ずるニュアンスがないテーブルはフランス料理とは思わない」と聞きました。←今のところ私が聞いた中で、一番納得した解答です。

また、ある有名イタリアンのシェフから聞きました。
イタリア料理は素材を食べる料理、日本料理は水を感じる料理、中国料理は油を感じる料理、そして、フランス料理は哲学を食べる料理であると。

良いか悪いかは別にして、基本フランス料理は素材重視ではありません。イタリア料理は素材の味が必要だと言われるようですが、元来フランス料理は素材そのものの香り、個々の味わいをそれほど意識してこなかったんです

フランス料理は足し算の料理。

旨味に旨味を加えてバランスをとり、どこか高いところにある到達点をめざす。これを哲学というのかどうかはその人の考え方次第でしょうが、”加える”ことが大切なポイントなわけです。

そして、フランス料理の香り。

フランス料理が基本、肉料理であることは疑いようのない事実です。その肉を捌き、調理する過程で感じられる血のニュアンスを取り込み、いかに美味しい料理にまで昇華させることができるのか、ここから始まったように思います。さらに、香草やアルコール、バターを加えることが多かったのですが、それらによって複雑味が増したことで得られるふくよかさ、リッチさも大切な要素になりました。

そこからさらに求めると、先日のヴェッシー(豚の膀胱包み)に感じた、人間の動物としての本能に訴えかけるような香り、フェロモン系・淫靡な香りにまで達してくれると、私としては心から”あぁ、フランス料理だな”と感じるわけです。

足し算のフランス料理。肉をベースに、”加えて””重ねて”複雑味を増しながらどこかにある頂点を目指し、最高の美味しさを表現する料理。まさに足し算の力強さ、美学がここにあります。

一方で、引き算の日本料理。魚を基本とし、一見、そう高くはない手の届くところにありそうな完璧なポジションである到達点まで、素材の力を引き出しつつ出汁と合わせてギリギリまで近づける。魚や野菜から味が染み出るようであれば、出汁を薄くし、加えるものを控え、それぞれの存在を大切にしながら究極のバランスでもってその到達点を目指す。そして、その完璧とされる到達点を決して超えてはならない。
何ものも決して強く主張しないものの、素材それぞれが紙一重のレベルで完璧に共存し活かし合う。それが日本料理の真髄なのではとフランス料理サイドから見て感じてきたことです。

ただ、私がどのように思い願おうとも、時代とともにすべてが移ろいます。我々は変化の中に生きているんです。
さまざまな理由で世界が狭くなったことにより、各国の料理の垣根もわかりづらくなってきました。特にスペインのエル・ブリから北欧ブーム以降、素材重視の料理、乳脂肪分を極力使わない軽めの料理がフランス料理という看板を掲げたレストランにおいて提供されていることも現実です。

また先日もお伝えしましたが、多皿構成でコース料理のみを提供するレストランが増えています。ポーションが小さく品数が多いということは、香りが少なくなり、一つの香りを楽しむ時間が少なくなることでもあります。このあたりもフランス料理の香りを感じることが少なくなった要因の一つですし、個人的な好みで言えば、「フランス料理の香りが届かない」ということになるんです。私はもしかすると多少偏った嗜好なのでしょうが、私の思う”フランス料理の香り”も後世にも伝えていってほしいなと心から願っております。

長くなりました。この話はフランス料理店勤務時代にフロアーに立ちながら常々思っていたことです。お忙しいところ、とりとめのない話にお付き合いいただきありがとうございました。

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第129回 論述試験対策! 2013〜2011年度アドバイザー呼称の口頭試問を振り返る。

まずは、2013年度のワインアドバイザー呼称の口頭試問を振り返ります。

設問とそれに対する私の【解説】です。太字にしたところを答えればOKだと私は思っています。

・シャブリの土壌について説明してください。
→キンメリジャン土壌についての説明を求められたのだと思われます。
キンメリジャン土壌と呼ばれる、ジュラ紀(約1億9500万年前~約1億4550万年前)後半の貝殻の化石を多く含んだ石灰質土壌で、粘土質と小石と砂が混ざった石灰質が交互に層を形成している事が特徴です。
※表紙の写真がキンメリジャン土壌です。

ちなみにシャンパーニュの”白亜質”土壌はジュラ紀より一つ新しい時代の白亜紀(1億4550万年前から6550万年前)の土壌で地質時代的に見ると異なる土壌ということになります。

・シャブリの特徴について述べなさい。
→シャブリはブルゴーニュ地方北部の比較的冷涼な地域であり、シャルドネ種とキンメリジャン土壌の組み合わせから生き生きとした酸と際立ったミネラルが特徴の白ワインが生産されています。

・シャブリに合う料理をひとつあげなさい。
→シャブリのフレッシュな酸味を活かす(レモンを絞って食べるイメージ)、海のミネラルを感じる食材と合わせるなどが考えられます。
基本は魚介類を使った料理で、フレッシュハーブで風味付けした料理やレモンをあしらった料理、白ワインとバターのソースを使うこともよいと思います。例えば、
・マロラクティック醗酵させていない軽めでフレッシュなシャブリと「生牡蠣」
・プルミエ・クリュクラスのしっかりとしたシャブリに「牡蠣のグラタン」
・「白身魚のソテー/ムニエル 香草風味の白ワインとバターのソース」にシャブリ・グランクリュを。
など。

・マセラシオンカルボニックの効果について答えなさい。
タンニンの抽出が抑えられ、渋みや苦みが少なく、炭酸ガスにより酸化が防止される為フレッシュな果実味が特徴の比較的色調の濃いワインになります。さらにリンゴ酸が分解され、味わいがまろやかになります。以上の事より、新酒であっても飲みやすいワインが出来上がります。

・日本の棚栽培のメリットについて説明してください。
日本は高温多湿であるため、高い棚の上にブドウの蔓(つる)を這わせることにより湿度の高い土壌から離れ、風通しが良くなる事からブドウをカビ類から守ることができます。また面積あたりの収穫量が多くなります

・3月から5月のぶどうの生育サイクルと作業について説明してください。
こちらと教本を参照してみてください。

・マスカット・ベーリーAの品種の特徴を述べなさい。
新潟県の岩の原葡萄園の川上善兵衛氏ラブルスカ種の”ベーリー”にヴィニフェラ種の”マスカット・ハンブルグ”を交配して育成した品種。生食用としても広く栽培されており、イチゴのようなチャーミングな甘い香りにまろやかな酸味が特徴の赤ワインとなります。今年、国際ブドウ・ワイン機構(OIV)によりワイン用ブドウ品種として登録認定され国際品種となりました。

・日本酒の酒造好適米を2種類答えてください。
→(私は日本酒が大好きなのでいくらでも…)山田錦、雄町、五百万石、美山錦、八反錦、亀の尾、愛山などなど…

・世界の酒精強化ワインを3種挙げてください。
→こちらは問題ないでしょう。

さて、論述試験をしめる前にもう少し、対面面接形式になった2011年とその翌年2012年の口頭試問を見てみます。

2011年

1. シャルツホーフベルクの特定ワイン生産地域は?
2. 甲州種の皮の色は?
3. カリフォルニア州サンタ・バーバラでの主要黒品種は?
4. DOCaプリオラートは何地方か?
5. クリュ・ブルジョワについて、①どの地区の名称か、 ②その名称を説明しなさい。

6. DOCG アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラの①ぶどう品種、 ②ワインのタイプと特徴について説明してください。

2012年

1. ボージョレ・ヌーボーとはどのようなワインですか?
2. ボージョレ・ヌーボーの市場価格はどれくらいですか?
3. ボージョレ・ヌーボーの有名生産者を1つあげてください。
4. RMとはどのようなシャンパーニュですか?
5. シャンパーニュがお祝いのお酒と言われる理由は何ですか?
6. ブラン・ド・ブランとはどのようなシャンパーニュですか?
7. プレステージ・シャンパーニュの市場価格はどれくらいですか?
8. 木樽で熟成させたワインとそうでないワインの違いを説明してください。
9. 樽熟成のワインの方が高級ということですか?
10. 新樽100%とはどのような意味ですか?
11.一般的に言われる世界三大貴腐ワインをあげてください。

12. ワインの理想的な保存条件を3つあげてください。

なんとなくソムリエ協会が問いたいことが見えてきたと感じる方は合格間違いありません。まっ、難しいですよね。でも、こうやって意識しイメージすることが大切なんです。

さて、二次試験まであと数日となりましたが、ここから火事場のバカ力です。今一度、これまでの出題を眺めて、イメージしてペンを取りましょう。とにかく書てみてください。もう合っているとか間違っているとか言っている場合ではありません。書くことで見えてくることもあるんです。そして、この最後のあがきが試験中に思いっきり生きてきます。

2018年論述試験
2017年論述試験
2016年論述試験
2015年口頭試問
2014年口頭試問

二次試験本番でも、とにかく嘘でも何でもいいから書くことです(採点的には三次試験扱いですが)。私が言うのもなんですが、ソムリエなんて半分ハッタリ、ペアリングだって言ったもの勝ちなんですから。

何かございましたらこちらまで
koza★majime2.com 松岡 正浩

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