オーストラリアについては例年4問ほど出題されており、2016年度はソムリエ呼称で4問、エキスパート呼称で3問の出題がありました。→2015年、2014年、2013年はそれぞれおおよそ5問くらい。
ソムリエ試験的に新世界のワインとしては非常に重要な位置を占めています。ただ、問題を見ると、それほどつっこんだ出題は見られず、広くポイントを押さえて理解しておけば得点源になりそうです。
ここはあせらず、ちょっと気合を入れていきましょう。
A オーストラリアのワインについて
ブドウ栽培地域は、国の南半分にあたる南緯31度から43度の間に帯状に分布し、東端のニュー・サウス・ウェールズ州から西端の西オーストラリア州まで3,000km超に渡ってワイン産地が点在しています。広大な土地ゆえに気候・土壌も多種多様です。
ワイン造りの歴史は200年と少しですが、90年代半ばから生産量が急速に伸び、さらに輸出(全販売量の6割)にも力を入れています。
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1880年 酒精強化ワインへの移行
1993年 GI制度導入(地理呼称制度)
2000年 スクリュー栓拡大の「引き金」:クレアヴァレーの生産者13社がスクリュー栓の採用を決めたことで、豪・NZなどに急速に広まるきっかけとなる。
90年代に入り、世界の潮流と市場拡大に合わせて、より果実の充実・成熟を目指すようになります。また94年にEUとの取り決めで、「ジェネリック名表示」を禁止したことで、「ブドウ品種表示」のワインが主流になっていきます。そして、90年代末には「シラーズ」が質・量ともに同国を代表するブドウ品種として世界に認識されるようになりました。
2000年から2005年にかけてワイナリーの再編成が行われます。そして、近年”力強く、濃厚で熟した果実味”の伝統的なオーストラリアスタイルから脱したナチュラル・ワイン”を手がける若い生産者も出てきています。
全ブドウの中で最も生産量の多いものはシラーズで、その次がシャルドネです。←栽培面積順と違います。黒ブドウの方が白ブドウよりも若干多く栽培されています。
ジェネリック、ヴァラエタル、ヴァラエタル・ブレンド
→生産量最大の南オーストラリア以外は白ブドウの方が生産量が多い。
B 南オーストラリア州
オーストラリア全生産量の46%を占める大産地です。
※下記の生産地の位置関係を地図で確認しておいてください。
シラーズの首都と言える高級ワイン産地。ドイツからの宗教移民。標高の低い山裾の産地で表土が厚く、降水量が少ないためコクのある赤、芳醇な白ワインが多い。
山の産地。リースリングの産地としてクレア・ヴァレーと双璧をなしています。シラーズも有名です。
山の産地で非常に冷涼。シャルドネ、ピノ・ノワール。近年高級スティルワインとスパークリングワインの生産において重要度が急速に高まっています。
オーストラリア最高のリースリングの産地として有名ですが、最高級のシラーズも有名。→生産比率は黒ブドウ65%:白ブドウ35%。山の産地で、全般的に穏やかな大陸性気候。日中は暑くなりますが、夜の冷えこみが厳しい。故にブドウに素晴らしい酸をもたらします。
ボルドーに似た海洋性気候のワイン産地。テラロッサで生産されるカベルネ・ソーヴィニヨン。クナワラと接するPadthawayも評価の高い有名な産地です。
石灰岩を母岩として生成した赤色土壌。風化に伴い石灰分が溶解し、残った鉄の酸化物によって赤色を呈する。
・McLaren Vale
海沿いの平坦地に広がるブドウ産地。シラーズ、カベルネ・ソーヴィニヨンの黒ブドウが大部分を占め、また、イタリア系移民が多いことからもイタリア・スペイン系品種が増えています。
南オーストラリア州の60%、この国全体でも30%を占める生産量を誇ります。灌漑が不可欠です。
オーストラリアで三番目に大きい島です。
ここまでで一度【過去問】を確認してみましょう。
ソムリエ試験 過去問
【過去問 2016】
1890 年にスコットランド人ジョン・リドックが最初のブドウを植えた、オーストラリアを代表するカベルネ・ソーヴィニヨンの産地を 1 つ選び、解答欄にマークしてください。
1. クナワラ
2. ヘンティー
3. アデレード・ヒルズ
3. クレア・ヴァレー
【解説】
スコットランド人ジョン・リドックを知らなくても、この選択肢の中から”オーストラリアを代表するカベルネ・ソーヴィニヨンの産地”と問われれば、ここしかありません。
【過去問 2016】
鉄分を含んだ赤い表土と、白い石灰岩質土壌から成る有名な土壌は何と呼ばれるか1つ選び、解答欄にマークしてください。
1. テラッサ
2. テラロッサ
3. テラコッタ
4. テラストーン
【解説】
さらに、どの産地で有名な土壌でしょうか?
【過去問 2016】
クレア・ヴァレーのワイン生産者 13 社が、白ワインにスクリュー栓(ステルヴァン)を採用すると一致して決めた年を 1 つ選び、解答欄にマークしてください。
1. 2000 年
2. 2005 年
3. 2010 年
4. 2015 年
【解説】
「オーストラリア発の生産技術の刷新で最も重要」と教本に書かれています。
【過去問 2016】
次のワイン産地の中からアデレードに最も近い産地を 1 つ選び、解答欄にマーク してください。
1. McLaren Vale
2. Hunter
3. Yarra Valley
4. Tumbarumba
【解説】
地図の問題。このような問われ方もあります。
【過去問】
ハンター・ヴァレーに本格的なブドウ園を開設し、「オーストラリアのワイン用ブドウ栽培の父」と形容される人物を 1 人選んでください。
1. アーサー・フィリップ
2. ヤン・ファン・リーベック
3. ジェームズ・バズビー
4. クラウス・ユング
【過去問】
オーストラリアに最初にワイン用ブドウ樹が持ち込まれた年号を 1 つ選んでください。
1. 1788 年
2. 1768 年
3. 1748 年
4. 1728 年
【過去問】
オーストラリアで栽培面積が最も大きいワイン用白ブドウ品種を 1 つ選んでください。
1. Sauvignon Blanc
2. Riesling
3. Chardonnay
4. Semillon
【過去問】
南オーストラリア州に位置し、Clare Valley に並ぶリースリングの伝統的な産地を1 つ選んでください。
1. King Valley
2. Heathcote
3. Goulburn Valley
4. Eden Valley
【過去問】
オーストラリアのワイン産地 Coonawarra が位置する州を 1 つ選んでください。
1. 南オーストラリア州
2. ビクトリア州
3. ニュー・サウス・ウェールズ州
4. 西オーストラリア州
【過去問】
オーストラリアのクナワラの特徴的な土壌を 1 つ選んでください。
1. ライムストーン
2. テラロッサ
3. サンドストーン
4. バルバロッサ
【過去問】
南オーストラリア州に位置するオーストラリアを代表する Riesling 産地を 1 つ選んでください。
1. Orange
2. Geographe
3. Mornington Peninsula
4. Clare Valley
【過去問】
オーストラリアで栽培面積が最も大きいワイン用ブドウ品種を 1 つ選んでください。
1. Cabernet Sauvignon
2. Grenache
3. Merlot
4. Shiraz
Eden Valley が位置する州を 1 つ選んでください。
1. South Australia
2. Victoria
3. New South Wales
4. Western Australia
オーストラリアにおいて、テラロッサ土壌で有名な G.I. を 1つ選んでください。
4. Coonawarra
オーストラリアの地理的呼称(G.I.)制度が導入された年を 1 つ選んでください。
4. 1997 年
オーストラリアに最初にワイン用ぶどう樹が持ち込まれた年を1つ選んでください。
4. 1834年
オーストラリアを代表するリースリングの産地である南オーストラリア州のワイン産地を1つ選んでください。
4. Coonawarra
「オーストラリアのワイン用ぶどう栽培の父」と形容され、重要な遺産を残した人物を1人選んでください。
4. ジョン・リドック
オーストラリアのクナワラの特徴的な土壌を1つ選んでください。
4. バルバロッサ
1788年オーストラリアに初めてぶどうがもたらされ、その後Hunter Valleyに本格的な畑が開かれた年として、正しいものを次の1~4の中から1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。
4. 1845 年
次の 1-4 のオーストラリアワインに関する記述の中から正しいものを1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。
4. オーストラリアは 7つの州から成るが、近年ノーザン・テリトリーやタスマニア州から多くのワインがつくられている。
よく読んで答えてくださいね。3.はメルボルンではなくシドニーです。
次のオーストラリアワインの生産地区の中から南オーストラリア州に位置するものを1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。
4. Coonawarra
次のオーストラリアにおけるぶどう造りに関する記述の( )に該当するものを下記の中から1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。
「オーストラリアのぶどう園は南緯31度から43度にあり、ぶどう造りの歴史は ( )と比較的浅いものの限りない可能性を秘めた国として知られている」
4. 約250 年
次の中から2006 年度に最も生産量が多かったオーストラリアのワイン用ぶどう品種を1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。
4. Cabernet Sauvignon
次の中からオーストラリアで複数のぶどうを原料にして使用比率の多い順に品種名をラベル表記するワインの名称に該当するものを1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。
4. ヴァラエタル・ワイン
問題文はヴァラエタル・ブレンド・ワインについて説明しています。
次のオーストラリアのワイン用ぶどう、歴史、気候、ワイン法に関する記述の中から誤っているものを1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。
4. オーストラリアのヴァラエタル・ワインで収穫年を表示する場合は、表示されている収穫年のものを 85 % 以上使用しなければならない。
次のオーストラリアのワイン産地の特徴に関する記述に該当する産地名を下記の中から1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。「この地方では、最高級のテーブルワインとスパークリングの生産において重要度が急速に高まっている。ただ、発展を妨げる要素として、水の確保並びに土地の代替利用に関する規制が挙げられる」
4. Hunter Valley
次のオーストラリアの生産地区の中から南オーストラリア州に属するものを1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。
4. Goulburn Valley
少し悩むかもしれませんね。上記の産地がどこの州に属しているかを確認しておきましょう。
次のオーストラリアワインのラベル表示に関する記述の中から正しいものを1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。
4. 複数のぶどう品種が使用されている場合でも、特定のぶどう品種が75%以上含まれる場合は、その品種だけを表示することが可能である。
次のオーストラリアワインに関する記述(2007年度)の中から正しいものを1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。
4. 全体のぶどう生産量は黒ぶどうが白ぶどうよりもわずかに多い。
次のオーストラリアのワイン用ぶどう、歴史、気候、ワイン法に関する記述の中から誤っているものを1つ選んでください。
4. オーストラリアのヴァラエタル・ワインで収穫年を表示する場合は、表示されている収穫年のものを85%以上使用しなければならない。
次の中から、オーストラリア連邦政府管轄下に設立された、オーストラリアワインに関する種々の規定を定めている機関の略称として適当なものを1つ選んでください。
4. WAVB
以前はAWBCと呼ばれていましたが、現在はWACに変更されました。
次のオーストラリアワインに関する記述の中から誤っているものを1つ選んでください。
4. 南オーストラリアのテラロッサ土壌は、ぶどう栽培に理想的であることが知られている。
2. 99%です。
次の中から南オーストラリア州でEden Valleyとならび、リースリングで知られるワイン産地を1つ選んでください。
4. Clare Valley
Eden Valleyを知らずとも、南オーストラリア州でリースリングと言えばここです。
次のオーストラリアの「ヴァラエタル・ブレンド・ワイン」に関する記述の中から正しいものを1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。
4. オーストラリア国内のシラー種だけをブレンドしたワインである。
次の中からオーストラリアのワイン用白ぶどう栽培面積が、多いものから少ないものの順序で正しく並んでいるものを1つ選んでください。
4. Semillon → Chardonnay → Riesling
私の手元の模範解答では2.が正解となっていますが、近年Sauvignon Blanc の生産量が増え、Semillon と順位が入れ変わっています。
オーストラリアで最も栽培面積の広いワイン用ぶどう品種を1つ選んでください。
4. Semillon