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ポルトガル南部とマディラ<B>「ポルト、ドウロ川の景観」

2024/03/24
 
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第50回

ポルトガル後半戦です。前回に引き続きポルトガルの風景をお楽しみいただいてから講座に進みたいと思います。

ポルト市内から前回紹介したアズレージョのあるピニョン駅までは電車では二時間ほど。その間の車窓から繰り広げられるブドウ畑と川面に映る景色が次の写真です。本当に美しいですね。このドウロ川流域の景観は世界遺産に認定されているそうです。
do ss

↑赤く紅葉しているのはブドウ畑。

ポルト市内にはもう一つの世界遺産があります。

ヨーロッパの多くの都市は新市街地と旧市街地にわかれているのですが、歴史的な背景や日本と違って石造りの建物が多いことなど、理由はいろいろとあるようです。そのポルトの旧市街地が世界遺産に認定されています。
old polto.jpg

そして、旧市街地からドウロ川を挟んだ対岸に位置するのがPortoを熟成させることで知られるヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアです。
川岸にPorto蔵が並んでいて、大手シッパーが看板を掲げる蔵では観光者向けに製造過程の見学や試飲ができるそうです。
gaga.jpg

ここで、Portoが生まれています。

※上の写真は松岡さんがポルトガルで撮影した写真です。
※表紙の写真:世界遺産、ポルトガル領アソーレス諸島・ピコ島「あまりにも強い潮風からブドウの樹を守るため、溶岩石で作られた”
クライス”と呼ばれる石垣の中で栽培されるブドウ」

やったことは、例え失敗しても20年後には笑い話にできる。しかし、やらなかったことは、20年後には後悔するだけだ。 by マーク・トウェイン

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ポルトガル南部とマディラ <B>

目次

 

D 南部の主要DOP

◆Setubal<1>
モスカテルなんとか(マスカット系)を67%以上使用すること。18ヶ月以上オークで熟成させるリッチなマスカットの酒精強化ワイン。
このSetubalが属するエリアPeninsula de Setuba(ペニンスラデ・セトゥーバル)地方lは2009年までTerras do Sadoと呼ばれていました。<2>

◆Palmela<1>
上記のSetubalと同じくPeninsula de Setuba(ペニンスラデ・セトゥーバル)地方のDOCで1999年に昇格。Setubalと栽培地が重なる。

◆Alentejo
2000年前から伝統的に土器のアンフォラによる醸造<1>が行われておりました。現在、規定を満たしたワインはVinho de Talhaを名乗ることができます。初めてサブリージョン<1>が認められました(現在8地域<1>)。この辺り一帯は世界有数のコルクの産地<1>です。

※最南のエリアAlgarve(アルガルヴェ)地方は、ポルトガルにおけるイスラム勢力の終焉の地と言われています。<2>

E 諸島の主要DOP

◆Madeira→別項でまとめます。

アソーレス<1>諸島
リスボンと同じ緯度、リスボンから西へ1500㎞の大西洋上に浮かぶ9つの島からなります<1>。16世紀初頭、新世界航路の中継地だった頃にヴェルデーリョなどのブドウが持ち込まれました。

Pico
アソーレス諸島の中で二番目に大きな火山島。地表が溶岩で覆われていたため、ここに入植した修道士たちは溶岩台地を開墾し、あまりにも強い潮風からブドウの樹を守るため、黒い溶岩石で作られた「Currais(クライス)」<1>と呼ばれる石垣でブドウ園を囲みました。←表紙の写真。<1>

白ワインのみが認められていますが、かつてロシアや英国の宮廷で愛された中甘口タイプの酒精強化ワイン<3>「Lajido(ラジド)<2>が有名です。

F Madeira

◆Madeira→2023年の教本で結構改修されました。
首都リスボンから南西に1000kmはなれた大西洋上に浮かぶ、エンリケ航海王によって開発された楽園<1>、海の影響を強く受ける温暖で湿度の高い亜熱帯のマデイラ島で生産される酒精強化ワイン<1>です。加熱熟成させる工程においてマディラ独特の風味が作り出されます。この辺り一帯は世界有数のコルクの産地<1>です。

ブドウ品種とタイプ分け
→ブドウ品種によってマデイラのタイプがわかれます。

黒ブドウ2種
・ティンタ・ネグラ<2>
収穫量の80%を占めるマデイラの一般的なブドウです。主に3年熟成タイプに使用、多品種とのブレンドに用いられることも。マデイラで黒ブドウといえばこの品種。
バスタルドという黒ブドウもありますが、現在はほとんど見ることが無い。

白ブドウ5種<1>
セルシアル<4> 冷涼な気候を好む。酸味のある辛口タイプに。
・ヴェルデーリョ<2> 涼しい北部地域で栽培される。豊かな中辛口タイプ。
・ボアル<3> 暖かい南部地域で栽培される。芳醇な中甘口。
・マルヴァジア<4> 海岸沿いの暑い地域で栽培される。濃縮感のあるリッチな甘口。
・テランテス<2> 果皮が薄く繊細なブドウで生産量が非常に少なく、しばしば幻のと言われる。性格はヴェルデーリョとボアルの間(中辛口~中甘口)。
→テランテス以外はおおよそ冷涼=辛口~温暖=甘口の順に並んでいます。ここはなんとなく甘口、辛口がわかる程度でよいと思います。

ブドウ品種によって性格が違う為、酒精強化されるタイミングもそれぞれです。甘口は発酵が始まってすぐのまだ糖分が残っている時にアルコールが添加されます。そして、辛口になるにつれて添加のタイミングが遅くなるというわけです。

カンテイロ<4>とエストゥファ<2>の違いを確認しておいてください。カンテイロは主に単一収穫年のタイプや熟成年数表記のタイプで、エストゥファは3年熟成等のスタンダードなもので採用されています。

さらに
・添加されるアルコール(グレープスピリッツ)は96度<1>、アルコール度数は17~22度に決められています。

・カンテイロは収穫翌年から詰め可能で、3年間は商品化できません。エストゥファは冷却後にCuba<1>と呼ばれる大きな木樽で熟成され、収穫翌年の11月から詰可能。いずれの場合も3年以上の熟成義務があります。

・品種名表示は85%以上使用。<1>→交配品種、ラブルスカ種の使用禁止。

・Reservaは5年、Special Reserva(またはOld Reserva)は10年、Exrtra Reservaは15年。20年・30年も存在する。

フラスケイラ(Frasqueira)→単一品種、単一収穫年表記のヴィンテージワインで、最低20年の樽熟成<4>、品種名表示は100%が必要。

・Colheita(コリェイタ)→樽詰め後に、継続して5年以上の樽熟成を行ったワイン。ポルトのコリェイタと混同しないように。

G ポルトガルワインの概要

◆ブドウ品種
250種以上の固有品種<2>があり(1ha当たりの固有品種では世界最多)、基本的には様々なブドウをブレンドする伝統があります。

白ワイン
① フェルナォン・ピレス(=マリア・ゴメス)<1>
② ロウレイロ
③ アリント(=ペデルナァ)
ランク外の主要白ブドウ品種:アルヴァリーニョ、エンクルザード、マルヴァジア・フィナ(=ボアル)

赤ワイン
①アラゴネス(=ティンタ・ロリスまたはテンプラニーリョ)<5>
②トウリガ・フランカ

③トウリガ・ナショナル
ランク外の主要黒ブドウ品種:バガ、シラー、ティンタ・バロッカ
→全ブドウ品種の中でアラゴネスが栽培面積最大<2>。ワインの比率では白33.8%、ロゼ6.6%、赤59.6%となります。

◆ワイン法
1756年 世界で初めて原産地呼称管理法が制定<1>

・ワイン法のよる分類
 Vinho(地理的表示等のルールにしばられないさまざまな地域のブドウのブレンドが可)<1>
 Vinho Regional(I.G.P.:地理的表示保護)<1>
 Denominacao de Origem Controlada(D.O.P.:原産地呼称保護)<1>

◆歴史
1096年 ポルトゥカーレ伯領とコインブラ伯領が統合したことにより、ポルトガルの国家としての原型が生まれました。

1143年 カスティーリャ王国との戦いのあと、ローマ教皇の裁定によってサモラ条約が結ばれ、カスティーリャ王国の宗主下でポルトガル王国が誕生しました。

15世紀 エンリケ航海王子を中心として海外進出が本格化、アメリカ大陸の植民地化が進みます。その後、ヴァスコ・ダ・ガマによるインド航路の発見<3>はポルトガルに莫大な富をもたらしました。さらに日本に到達し、南蛮貿易に発展、織田信長が飲んだと言われる「珍陀酒」は赤ワイン、ヴィーニョ・ティントであったという説があります。

17世紀 イギリスとフランスの戦争で、ポルトガルワインは一層イギリスに輸出されるようになり、ポルトのワインがイギリスのワインと呼ばれるようになります。

1703年 イギリスとの通商条約であるメシュエン条約が締結、ポルトガルワインの関税を引き下げたことによるより輸出が拡大。<1>

1932年 独裁体制が始まり、鎖国に近い状態となりワイン産業が他国に対して後れを取っていきます。ただ、この孤立していた時期に多くの固有品種が発達しました。

1986年 EECに加盟、高い経済成長の元、ワイン産業が復興、急速に品質が向上しました。<1>→教本ではEU(1993年)になってますが、この時はまだEEC(欧州経済共同体)。

お疲れ様です。今、勉強したことをすぐに確認することで記憶の定着につながります!

ソムリエ試験 過去問

【過去問】
スペインの Tempranillo と同じ黒ぶどう品種を次の中から1つ選び、解答欄にマークしてください。

1. Touriga Nacional
2. Touriga Franca
3. Trincadeira
4. Tinta Roriz

【過去問】
マデイラワインの中で、甘口で濃縮感のあるリッチな味わいに造られるタイプ名を次の中から1つ選び、解答欄にマークしてください。

1. Sercial
2. Verdelho
3. Boal
4. Malvasia

【過去問】
マデイラワインに使用され、海岸線沿いの暑い地域で栽培されることが多いワイン用白ぶどう品種を 1 つ選んでください。

1. Sercial
2. Verdelho
3. Viosinho
4. Malvasia

【過去問】
ポルトガルのD.O.P. Portoが世界で初めて原産地管理法を導入した年を1つ選んでください。

1. 1756年
2. 1856年
3. 1934年
4. 1956年

【過去問】
次のマデイラワインに関する記述に該当する白ぶどう品種を1つ選んでください。

「比較的冷涼な気候の地域で栽培され、酸味を生かして辛口タイプで芳香のあるワインに造られる」

1. ボアル
2. ヴェルデーリョ
3. マルヴァジア
4. セルシアル

【過去問】
16 世紀半ばから 17 世紀初期の南蛮貿易で、織田信長公に献上されたポルトガルの赤ワインの名称を 1 つ選び、解答欄にマークしてください。

1. 珍紅酒
2. 珍葡酒
3. 珍蛇酒
4. 葡萄牙

【解説】
2016年の問題。試験終了後、ネット上でも話題になりました。その後、CBT方式になってからも出題されております。

【過去問】
マデイラで品種表示をする場合、最低何%当該品種の使用が義務付けられている か 1 つ選び、解答欄にマークしてください。

1. 最低 75%
2. 最低 100%
3. 最低 95%
4. 最低 85%

【過去問】
マデイラワインに使用され、海岸線沿いの暑い地域で栽培されることが多いワイン用白ブドウ品種を 1 つ選んでください。

1. Sercial
2. Verdelho
3. Viosinho
4. Malvasia

【過去問】
次の 1-4 の中から Vintage Madeira の樽熟成年数として正しいものを1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。

1. 10 年
2. 15 年
3. 20 年
4. 25 年

【過去問】
次のマデイラの熟成に関する記述について正しい場合は1を、誤っている場合は2を選んでください。

「太陽熱を利用した天然の加熱熟成法はエストゥファと呼ばれ、タンク内部または外周に通した管のなかに湯を循環させてタンク内のワインを人工的に加熱熟成させる方法はカンテイロと呼ばれる」

1. 正    2. 誤

 

いや~、ポルトガルもキツイ!でも、CBT方式以降ポイントとなる国です。焦らずに頑張りましょう。
次回、しっかり確認です。

何かございましたらこちらまで
info@majime2.com 牧野 重希





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