ワインの酸とアルコール 1

第113回
前回、軽くお伝えしましたが、今日からは2次試験対策のお話です。
ここからしばらくは2次試験対策メルマガでお伝えしてきた、テイスティングの基本について振り返っていきたいと思います。
メルマガをしっかりお読みいただいた方は、同じ内容ですから今は一次試験に集中しましょう。
合格された方は一休みしてから2次試験対策に舵をきってください。
近々、この”こーざ”の2次試験対策の中心となるマニュアルを紹介いたします。現在、昨年の出題も含め、よりブラッシュアップしている最中です。もう少しお待ちください。
また、テイスティングセミナーも、札幌・仙台・東京・名古屋・大阪で実施する予定です。こちらも現在調整を進めていますので、正式に決まり次第ご報告いたします。
2次試験もしっかりフォローしていきますので、ともに頑張りましょう。
1次試験受験中の方は、現在アドレナリンがMAXの状態ではないでしょうか。この集中力が維持できるのは今だけです。存分に利用してしっかり追い込んでください。ここまで来たんですから、絶対に合格を勝ち取りましょう。
試験に多少の変化球があるようですが、大丈夫。以前も言いましたが、この”こーざ”で学んだことを出し切れば必ず合格水準に届きます。最後まで応援しています。→試験の最新情報は最下部をご覧ください。
最後の追い込みです!合格を強くイメージしましょう。
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ワインの酸とアルコール 1
ワインを分析するときに基準となるものがいくつかあります。今回はその中の酸とアルコールのボリュームにしぼって考えてみたいと思います。
日本もフランスもアメリカも(北半球にある国は)一般的に北に行けば行くほど気温が下がり、反対に南に行くほど(赤道に近づくほど)気温が上昇することはイメージとしておわかりいただけると思います。→ワインは南半球でも造られていますが、話を簡単にするために今回は北半球を基準にします。
ブドウは農産物ですから、気候や気温に敏感です。太陽が燦々と降り注ぐ南仏やスペインのブドウと、比較的涼しく夏もそれほど気温の上がらないドイツのブドウが同じであることはありえません。
ここで、いきなりですがリンゴとマンゴーをイメージしてください。
どちらが涼しい地域の果物かというともちろんリンゴですね。リンゴは日本では青森県がダントツの生産量を誇っていますし、多くが東北地方で栽培されています。
一方、マンゴーはインドからインドシナ半島が原産であることからもわかるように南国感満載の甘い果物です。
では、なぜリンゴが北の涼しい地域のイメージで、マンゴーはその反対なのでしょうか?
それは酸と甘さの関係が、太陽の恵みとある程度比例していることに由来します。
比較的涼しい地域で栽培されるリンゴは、シャキっとした食感に程よい甘みとシュワっとした酸が特徴です。反対に暖かい地域で栽培されるマンゴーは太陽の光を存分に受けた甘く熟した味わいが持ち味です。さらに同じリンゴでも、太陽の恩恵を存分に受け良く熟したリンゴは甘くなりますし、あまり熟さなかったものは酸を強く感じます。
※ここまで何度か酸という言葉が出てきましたが、わかりにくい場合は酸味と置き換えてもらっても結構です。
単純に北の涼しいところではスッキリとした酸味が特徴のリンゴが、南の太陽がいっぱいの地域では甘いマンゴーが栽培されているということです。
このイメージをそのままワインに当てはめてみます。
それぞれの土壌風土に適したブドウ品種があるとはいえ、北の涼しい地域で栽培されたブドウはそれほど熟さず、酸が強くなります。反対に南の暖かい地域のブドウは良く熟して甘くなり、その分酸が穏やかになります。ブドウの酸はワインに残りますが、ブドウの甘み(糖分)は基本的に全てアルコールに変わります。太陽の恵みを存分に受けると糖度が上がり、糖度が上がるということはアルコール度数も上がるということになります。→Vins Doux NaturelsやVins de Liqueursはこの糖分を残してワインを基本的に甘口に仕上げます。もちろん覚えていますよね。
酸はワインにスッキリとした印象を、アルコールは力強さを与えます。ですから、北のワイン(例えば、ドイツやシャンパーニュ)は、スッキリとしたイメージですし、南のワイン、暖かい地域のワイン(ラングドックやスペインなど)は力強く感じるのです。
ということで、今後ワインをテイスティングする時は常に酸とアルコールのボリュームがどの程度であるのかを意識しましょう。
私はワインをテイスティングするときに何よりも酸の強弱を意識しています。酸とアルコールのバランスが、ブドウ品種や生産地域の性格を表していることが多いからです。
まだ、いまいち感じることができない方も多いと思います。全然大丈夫です(発信当時はです…笑、今でも全くわからない方は少し焦りましょう)。今後ワインをテイスティングするときに”酸”とは、”アルコール”とは何ぞやと問いかけてみてください。続けているうちに少しずつ感じるようになるはずです。そして、酸とアルコールのボリュームのバランスを感じるようになればテイスティング力が付いてきたと言えます。
簡単にまとめますと、涼しい北の産地のワインは酸が主体で、アルコールのボリュームが少ないためスッキリとした印象です。反対に温暖な南のワインはアルコールのボリュームを感じるため、骨太でしっかりとしている反面、酸が低くどっしりした感じになるのです。
そして、この酸とアルコールの強弱がわかってくるとテイスティングが面白くなってきます。
ところで、皆さんはワイン用のブドウを食べたことがありますか?ワインの味からするとそんなに甘くないと思っている方もいらっしゃると思いますが、シャンパーニュやロワール(今日の話からすると北の涼しい地域)のブドウですらものすごく甘いのです。ただ、食べて美味しいブドウかどうかは好みの分かれるところで、水分は少なく渋味が強かったりします。
地域差はありますが、十分な糖度がなければ美味しいワインにはなりません。例えば、年によってはボルドーのほぼ全てのシャトーで(格付けトップクラスも含め)補糖が行われることからも糖度はワイン造りにおいて非常に重要な要素なのです。
次回はフランスを例にして酸とアルコールの関係をもう少し掘り下げたいと思います。
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info★majime2.com 牧野 重希