二次のテイスティングはなんとかなる1〜テイスティング対策お勧めの本

第2回
例年とは違う?クリスマス営業を終え、それでもホッと一息、ひと段落という飲食業界の方が多いのではないでしょうか。これから年末、いやお正月もずっと忙しいという方、頑張りましょう!年末年始営業、私も経験がありますが、それはそれでいつもと違う空気感が好きでした。
一方で、明日、明後日あたりからお休みで、今年のお正月は大ぴらに帰省もできず初詣も…という方もたくさんいらっしゃると思います。そして、ちょっと時間をもてあましそうな方にお伝えしたいことがあります。
今年、受験を決意したんですから、お正月休みを利用してワインの本を読みましょう。ワインテイスティングに関する本を四冊紹介します。と、その前に、この時期だからこそ紹介したい拙著がございます。
フランスで発行されている日本人向け情報誌FR JAPONに2012年から2014年まで連載させていただいた「初心者のためのフランスワイン講座」全30回です。
特にパリに留学に来た20代から40代の女性に向けて、日本に帰ってからもフランスワインを嗜んでほしいという趣向で、ワインの基本とフランスワインについて書きました。
舞台がパリですが、これだけでフランスワインの基本の基本は身に着くはずです。
これから膨大なワインの世界に挑むわけですが、一次試験対策のほとんどがけっこう辛い暗記作業です。これは資格を取る為には誰もが通る道のりで回避することはできません。ただ、事前に予備知識があるのとないのでは記憶の定着が全く違います。この時期はまだそれほどガツガツ頑張る必要はありません。ですから、ちょっとした時間にでもサラッと読んでみてください。
また、テイスティング対策以外のワインの本も読んでみましょう。今このタイミングで幅広くワインに関する知識を吸収することで、一次試験直前に”夏バテ”せず乗り切ることができ、また特にソムリエ呼称の方は論述試験対策の時に”あの時、ワイン本を読んでおいて良かった〜”としみじみ感じるはずです。
※表紙の方、ご存知ですか?
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二次のテイスティングはなんとかなる1〜テイスティング対策お勧めの本
最初に、ソムリエ試験のテイスティング対策として非常にわかりやすい本がこちら二冊です。
2007年世界最優秀ソムリエコンクール日本代表の佐藤陽一氏が書かれた「ワインテイスティング」との同2010年日本代表の谷宣英さんの著作「ワインテイスティングバイブル
」です。
どちらもワインテイスティングに関して非常に細かいところまでやさしく解説されています。私も読み返してみましたが、改めて勉強になることがたくさんありました。さらに、写真が綺麗で、書物では表現が難しいワインの微妙な色合いもよくわかり感心してしまいます。
どちらの本がわかりやすいかは人それぞれ感じ方が違うでしょうからここではふれません。ただ、この時期ですから二冊とも購入して通読されることをお勧めします。
特に独学の方はテイスティングを”言葉”で理解しなくてはなりません。二人のプロフェッショナルが書いたテイスティングの本それぞれから理解しやすいところ、感じる部分を少しでも多く拾うことができれば本の価格など安いものです。
これらの本だけでワインのテイスティングを理解することは難しいのですが、テイスティング時の座右の書としても手元に置いておく価値があると思います。
また、初めてワインのテイスティングを学ぼうという方は、今すぐに本の内容全てを理解することは困難ですから、最初はイメージを掴む程度で十分です。書物で文字でワインのテイスティングを学ぶんです。すんなり理解できるわけはありません。とらえづらい表現や実際に香りや味わいを経験していないものがたくさん出てくると思います。たとえば、カシスやスイカズラの香りがわからなくても今はかまいません。カシスってどんな香りかな?スイカズラってどうなんだろう?と心の片隅に留めておくことで、今後どこかで出会う確率が高まります。意識していることで確実に目や耳に入りやすくなるからです。
飲食業の方はわからないものが食材であれば調理場が暇な時間にでも在庫があるか聞いてみましょう。私はソムリエ試験受験以来、いろんなものの香りや味わいに興味を持ち、手に取ってもよい場合はさまざまなところで香りを感じることを楽しんでいます。
まだ始めたばかりですから、わからないところはスルーしてどんどん先へ進むことも試験対策をうまく進める為のポイントです。←私はわからないところでつまづいて、そこで止まってしまうことがよくありました。わからなくてもいいんです。また戻ってくればよいだけですから。どんどん進みましょう!これはソムリエ試験対策に限らず、とても大切なことだと私は考えております。
これらの本を読めばわかると思いますが、ワインのテイスティングに特別な能力は全く必要ありません。特にソムリエ試験に合格する程度の利き分けなら誰でもそれなりの努力で成し得るものです。
三冊目はこちら。
ソムリエ協会副会長(ですよね?)の石田博さんの著作「10種のぶどうでわかるワイン」です。
石田さんはソムリエ協会の中心人物です。その彼がこのブドウ品種10種が大切です!と言っているのです。必ず読まなくてはなりません。特にベリー系の香りに対する記述は必読です←ブルーベリーやカシス、ブラックベリーやブラックチェリーの序列。赤ワインの距離感を表します。ここを大まかにでも理解できるかどうかが二次のテイスティング攻略のポイントの一つです。
また、読み物としても非常に面白く、ソムリエ視点からのワインという意味でもとってもためになります。
最後はこちらです。
ソムリエ試験受験当時、大きな影響を受けた私にとってのテイスティングのバイブルです。
「ワインを聴く―テースティングの奥義を極める」伊藤 真人 著
私のソムリエ試験受験当時は現在のようにかゆい所に手が届くような書籍やネット情報がありませんでした。そのような中、繰り返し読んだのがこの本です。
1990年代の本なので、古いデータや情報も見受けられますが、イラストを使いイメージを表現するなど、テイスティングについての根本的な考え方が綴られています。
最初に紹介した二冊のように的確に試験対策としてのテイスティング方法を述べているわけではありませんが、ワインのテイスティングを感覚的にとらえる、個々のワインのイメージを持つ為にはわかりやすいと思います。この時期だからこそ一読の価値がある良書です。
この時期はまだあせる必要はないので、今日紹介した以外でも気になる本があれば読まれることをお勧めします。このような一見回り道に見えることが実は一番身になるんです。