ローヌ渓谷 北部ローヌ<B>「文字通り、~焼けた丘~です」
第32回
今日からローヌ渓谷(コート・デュ・ローヌ)地方です。
この地域にはボルドーやブルゴーニュにも劣らない高級ワインが存在します。Cote Rotie、Hermitage、Chateauneuf du Papeの一部のワインです。Cote Rotieはフランス最古のブドウ畑と言われ、紀元前1世紀ころから評価の高かったヴィエンヌのワインの中でも特別な位置を占めていたそうです。
このCote Rotieはローヌ川沿いの急斜面に畑が連なります。Coteは丘、Rotieは焼く。「焼けた丘」という名前の通り、南東向きの日当たりの良い斜面です。
ギガル社に代表されるこのAOC Cote Rotieは他のローヌのAOCに比べて高めの価格設定ではありますが、Cote Rotieという名前だけでワインを選んでも当たりはずれが比較的少ないAOCであるように感じます。→反対にAOC名だけでブルゴーニュワインを選ぶと大変な目にあいます。
Cote Rotieはこの急斜面でワイン造りを行う人たちの魂のワインです。
畑には「ガレ」と呼ばれる大きな石がゴロゴロしており、この石が太陽の熱を蓄えるので、夜間保温の役割を果たします。また、比較的標高が低く、この地方特有の強い北風ミストラルが吹くため、ブドウの樹は低く剪定さています。このミストラルが雨の水気を吹き飛ばします。腐敗を防ぎ、収穫前の雨すら乾燥させてくれるのです。
※表紙もローヌ川を見下ろすコート・ロティの畑
明日ではなく、今日少しだけでも頑張りましょう。今日やらない人は明日もやらないんですから。
疲れているのはよくわかるんですよ。
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ローヌ渓谷 北部ローヌ <B>
目次
スイスアルプスを発し、レマン湖を経てフランスに入り500㎞を流れ地中海へと注ぎ出るローヌ川流域、ブルゴーニュ・ボージョレ地区の南、北はヴィエンヌから南はニームまで南北250㎞に連なるワイン産地です。
【ポイント】
・赤ワイン:75%、ロゼワイン:16%、白ワイン:9%
・北と南の主要AOCと一部ブドウ品種は要暗記です。
→特に北部ローヌは地図を見ながら理解しましょう。また、ローヌ川の右岸か左岸かを問われます。
・Septentrionalの赤ワインの白ブドウの混醸について
・Chateauneuf du Pape について
・Vin Doux Naturelについて
A ローヌ渓谷 概要
地理・気候
北部ローヌ(Septentrional →言わなくなったみたいですね)
穏やかな半大陸性気候<2>で夏暑く、冬は寒い。急峻な斜面の渓谷に畑が並びます。土壌は北部右岸(コート・ロティ)が花崗岩質中心<1>、左岸(エルミタージュ)は石灰質や粘土質など多様。→ここも右岸の花崗岩質土壌が圧倒的に有名です。
南部ローヌ(Meridional →上に同じ)
地中海性気候<2>で夏は暑く乾燥し、春と秋に雨が降ります。なだらかな平地や丘陵地が中心です。
ローヌ渓谷を北から南に吹き抜けるミストラル<3>と呼ばれる冷たく乾燥した北風がブドウ栽培に大きく影響しています。
→雨でぬれた畑を乾燥させ、冷たい強風の為、暖かい地域にも関わらずブドウが小さく凝縮し素晴らしいワインが生まれます。
B 北部ローヌ
◆主要ブドウ品種
白ブドウ
・ヴィオニエ
・ルーサンヌ
・マルサンヌ
黒ブドウ
・シラー<1>(=セリーヌ/Serine)
◆北部ローヌのAOCについて
地図を見て北から主要AOCがどの順で、さらにローヌ川のどちらにあるかをしっかり確認してください。縦長の構図で比較的わかりやすいからか、どのAOCもまんべんなく地図問題の出題があります。<3>→タイピング問題に備えて、産地のカナも満遍なくしっかり押さえておきましょう。
北より順に
・Cote Rotie:シラー主体<2>一番北です。<2>
混植混醸であれば20%までヴィオニエ<5>を加えてもよい。
・Condrieu:ヴィオニエ100%<1>
・Chateau Grillet:ヴィオニエ100%
→Condrieuの中の一区画であり、ローヌ地方で最小の、一軒の生産者のみの珍しいAOC。2011年以降はシャトー・ラトゥールのピノー家の所有<1>。
・Saint-Joseph:赤:シラー主体、白:ルーサンヌ・マルサンヌ<2>
赤ワインは10%までルーサンヌ・マルサンヌを加えてもよい<1>。
ちょいと左岸に移って
・Crozes-Hermitage
・Hermitage
どちらも赤:シラー主体、白:ルーサンヌ・マルサンヌ
赤ワインは15%までルーサンヌ・マルサンヌを加えてもよい<2>。さらに、HermitageはVin de pailleの生産が認められています<3>。
→Hermitageの方が上級ワインです。また、Crozes-Hermitage は北部で最も広いAOC<2>になります。
・Cornas:シラー100%<4>
・Saint-Peray:ルーサンヌ・マルサンヌ<3>右岸で最も南にあります。<1>
mousseux(発泡あり)→mousseuxだけど瓶内二次発酵
以下の、なんとか de Dieは発泡も含めて全部白ワイン。さらに、この地方の発泡のAOCは全部白ワインです。
・Clairette de Die(アンセストラル方式<3>:発酵中のワインを瓶に詰めて、その後発生する二酸化炭素をそのまま溶け込ませる<1>)
・Coteaux de Die:白
・Cremant de Die:発泡白
・Chatillon-en-Dios→赤・ロゼ:ガメイなど、白:アリゴテ、シャルドネなど<1>。
ローヌ北部最北の産地はCote Rotieで右岸<1>です。ちなみに北部ではHermitage、Crozes-Hermitageのみが左岸<4>になります。
※繰り返しますが、右岸/左岸は上流(この地方の場合は北、地図の上)から見てどちらにあるかを指します。
ここは北からAOCをしっかり押さえれば十分です。
ソムリエ試験 過去問
【過去問】
コート・デュ・ローヌ地方で最も栽培面積の小さいA.O.C.を次の中から1つ選び、 解答欄にマークしてください。
1. Cote-Rotie
2. Chateau-Grillet
3. Hermitage
4. Cornas
【解説】
単独所有されるくらいですから、小さいですよね。
【過去問】
セプタントリオナルのA.O.C.で白、赤共に生産が認められているものを1つ選び、 解答欄にマークしてください。
1. Cote-Rotie
2. Hermitage
3. Chateauneuf-du-Pape
4. Saint-Peray
【過去問】
次の地図中 1 ~ 7 の中から(A)、(B)の A.O.C. を 1 つ選んでください。
(A)Côte-Rôtie
(B)Hermitage
【過去問】
コート・デュ・ローヌ地方で赤ワインのみが認められている A.O.C. を 1 つ選ん
でください。
1. Cornas
2. Saint-Peray
3. Hermitage
4. Saint-Joseph
【過去問】
次のコート・デュ・ローヌ地方のA.O.C.の中から混醸が認められているものを1つ選んでください。
1. Cote-Rotie
2. Condrieu
3. Chateau-Grillet
4. Cornas
【過去問】
次のコート・デュ・ローヌ地方のA.O.C.の中から北部地区に属しローヌ川左岸に位置しているものを1つ選んでください。
1. Cote-Rotie
2. Saint-Joseph
3. Hermitage
4. Cornas
【過去問】
次の1~4 の中からViognier種を使用できないワインを1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。
1. Chateau Grillet
2. Cote Rotie
3. Condrieu
4. Chateauneuf du Pape Blanc
【解説】
Chateauneuf du Pape Blancについてはまだ触れていませんが、1.~3.のAOCがヴィオニエ種を使用できることを自信をもって答えてください。
【過去問】
次の中からCotes du Rhone地方のA.O.C.の中からスパークリングワインが生産されているものを1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。
1. Condrieu
2. Lirac
3. Saint-Joseph
4. Saint-Peray
【過去問】
コート・デュ・ローヌ地方で栽培面積が最少のA.O.C.を1つ選んでください。
1. Chateau Rayas
2. Chateau Meillant
3. Chateau-Grillet
4. Chateau d’Ampuis
【解説】
何ともいえない中途半端な問題です。上記の中でコート・デュ・ローヌ地方のAOCは一つだけです。2.は全く重要ではありませんがこの機会に確認しておきましょう。1.と4.はAOCですらありません。
次回は南部に進みます。
何かございましたらこちらまで
info@majime2.com 牧野 重希