プーリア、バジリカータ、カラブリア<E>「満開の桜とロゼワイン、いかがですか?」
第58回
昨日は桜満開で街もすごい賑わいでしたね。
桜自体はすでにしっかり咲いていたものの、このところあまりパッとしない天気が続いていた東京。
昨日は晴れ間が見え、私のいる吉祥寺にも沢山の花見客が訪れました。→井の頭公園は人が多すぎて、桜より人を見に行ったみたいだとお客様が言っておられましたが…(笑)
この花見の季節、よくワインの輸入業者や酒屋さんからロゼワインのプロモーションがあります。
桜の時期に桜色のロゼワインはいかがですか?といった具合です。→残念ながら私の勤務するお店は井の頭公園とは逆の出口にありますので、花見客で賑わうといったことはなく、ロゼワインに興味を示される方はほとんどいません。日本ではあまり盛り上がっていないロゼワインですが、実は海外ではとても流行っています。
さて、本日勉強するイタリアのプーリア州にはめずらしいロゼワインのみのDOCGが存在します。
Castel del Monte Bombino Neroです。プーリアにはこのカステル・デル・モンテという名前が並ぶDOCGが3つ存在しますが、カステル・デル・モンテとはプーリア州にある中世のお城の名前です。直訳すると「山(モンテ)のお城(カステル)」です。真上から見ると八角形に見える独特な形をした世界遺産のお城で、このお城の周辺で栽培されたブドウからこの3つのDOCGワインが造られています。
つづいてボンビーノ・ネーロがブドウ品種の名前(独特な響きで頭に残りませんか?なんかとあるゲームの神様を思い出しますが…)。この地区のみで栽培されているボンビーノ・ネーロですが、果皮が薄く果実部分が多いため、圧搾しなくても豊かな果汁が取れます。ただ、品質の高い赤ワインを造ろうと思うとこれはデメリットです。水っぽい赤ワインになってしまうわけですから。
そこでロゼというわけです。セニエ法(覚えていますか?)で造られるため、やや赤ワインに近いような風味をもつ色濃く鮮やかなロゼワインが造られます。ボディがあり、食中酒としてより存在感を感じさせてくれます。
もし見つけたら、是非お花見のお供として試してみてください。
それでは、早速そのプーリア州から始めます。
※表紙はカラブリア・トロペーアの海岸線
今日の成果は過去の努力の結果であり、未来はこれからの努力で決まる。 by 稲盛和夫
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プーリア、バジリカータ、カラブリア <E>
目次
P Puglia プーリア州
イタリア半島の南東に位置し、最も東にある州でもあります。東にはアドリア海、南にはイオニア海が広がっています。<1>→教本のイタリア地図には記載がありませんが、イオニア海はギリシャの西、イタリアの南にある海です。アドリア海・ティレニア海・イオニア海の位置関係は地図と一緒に把握しておいて下さい。
830Kmという長い海岸線をもち、南北に細長く延びています。<1>温暖な地中海性気候で、イタリアで最も山岳地帯が少なく、広大な平野が大部分を占めているため大農産地であり、毎年ワイン生産量上位を争っています。ひと昔前まではバルクワインの供給地でしたが、量から質への転換を進めています。<2>→足に例えるとふくらはぎから踵(かかと)の部分にあたります。次のバジリカータと共に、オレッキエッテという耳たぶの形をしたショートパスタが有名です(Orecchiette con cime di Rapa<1>)。
主要ブドウ品種
白ブドウ
・ボンビーノ・ビアンコ:南イタリア、特にプーリアで栽培されています。堅固な白ワインに。<1>
・ヴェルデーカ:プーリアで昔から栽培されています。フレッシュで軽めの白ワインに。
黒ブドウ
・プリミティーヴォ:カリフォルニアのジンファンデルと同じ品種。濃厚な果実味が特徴。
・ネグロ・アマーロ:色が濃く、タンニンが強い。ロゼにも向いています。
・ネーロ・ディ・トロイア:ウーヴァ・ディ・トロイアとも呼ばれます。濃く、アルコールもタンニンも強い赤ワインに。
・ボンビーノ・ネーロ:ロゼ向き
覚えておきたいDOC
・Castel del Monte→白はパンパヌート種、赤はネーロ・ディ・トロイア種
・Gioia del Colle→プリミティーヴォ
・Salice Salentino→サレント半島、ネグロ・アマーロ
・Primitivo di Manduria→濃厚な果実味と深み。世界的に人気があります。
DOCG
この州も長らくDOCGがありませんでしたが、2011年に4つ、うち3つがCastel del Monteから昇格しました。・Primitivo di Manduria Dolce Naturale(赤甘)<1>→半干しブドウ、乾燥ブドウから造られる甘口<1>。ブドウ品種はプリミティーヴォ。
・Castel del Monte Bombino Nero(ロゼ)<2>→ブドウ品種はボンビーノ・ネーロ主体。
・Castel del Monte Nero di Troia Riserva(赤)→ブドウ品種はネーロ・ディ・トロイア<1>(90%以上)。
・Castel del Monte Rosso Riserva(赤)→同じくブドウ品種はネーロ・ディ・トロイア<2>(65%以上)。
Q Basilicata バジリカータ州
イタリア南部に位置し、主にイオニア海に面しています。古くはルカーニア<1>と呼ばれた時代もあり、今でもこの名で呼ばれることも多い。州全体が山地と丘陵地であるためワイン生産量は少ない。海岸地域は地中海性気候で暖かいのですが、内陸部は大陸性気候で寒い。<1>→足に例えると踝(くるぶし)または土踏まずにあたる所です。8割が赤ワイン。
主要ブドウ品種
白ブドウ
・グレーコ<1>:イタリア南部の主要品種
黒ブドウ
・アリアニコ<1>:こちらもイタリア南部を代表するブドウ品種。濃く、タンニンも強い雄大なワインを生む。晩熟。
・プリミティーヴォ
DOCG
2010年、アリアーニコ種から作られる
・Aglianico del Vulture Superiore
が昇格し州唯一のDOCGとなりました。<3>
R Calabria カラブリア州
海辺のリゾート地を除いて、ほぼ山地と丘陵地です。海岸沿いは地中海性気候ですが、内陸部の山岳地帯は大陸性気候で冷涼です。 赤ワインが77%を占めます。現在DOCGはありません。→人の足に例えるとつま先の部分にあたります。
主要ブドウ品種
白ブドウ
・グレーコ・ビアンコ<1>:アーモンドのアロマ。甘口ワインにも。
黒ブドウ
・ガリオッポ<1>:カラブリアで最も栽培されている黒ブドウ。タンニンが強く堅強。
・ネレッロ・マスカレーゼ:シチリア・エトナの代表品種。
覚えておきたいDOC
・Ciro→白はグレーコ・ビアンコ、赤とロゼはこの地方の土着品種であるガリオッポ<2>から造られます。古代オリンピックにおいて、勝者にはクリミサのワインが贈られたとされますが、これはCiroの祖先にあたるとされています。<1>→チロはイタリアワインとしては日本でもけっこう有名です。
ここもこれくらいで。
ソムリエ試験 過去問
【過去問】
カリフォルニアの Zinfandel と同じ品種と言われているものを次の中から1つ選び、解答欄にマークしてください。
1. Negroamaro
2. Nero di Troia
3. Primitivo
4. Bombino Nero
【過去問】
カラブリア州の D.O.C. Ciro Rosso のワイン用主要ぶどう品種を 1 つ選んでください。
1. Aglianico
2. Primitivo
3. Nero di Troia
4. Gaglioppo
【過去問】
プーリア州のD.O.C.G.を1つ選んでください。
1. Aglianico del Taburno
2. Primitivo di Manduria Dolce Naturale
3. Aglianico del Vulture Superiore
4. Cesanese del Piglio
【過去問】
カラブリア州のD.O.C. Ciro Biancoの主要ぶどう品種を 1つ選んでください。
1. カタッラット・ビアンコ
2. トレッビアーノ・トスカーノ
3. マルヴァジア・ビアンカ
4. グレーコ・ビアンコ
【過去問】
イタリアのD.O.C. Primitivo di Manduriaを生産しているアドリア海に面した州を1つ選んでください。
1. Valle d’Aosta
2. Puglia
3. Lazio
4. Calabria
あまり出題がありませんが、サラッ見ておきましょう。