グラーヴの格付け<D>

第12回
今日1月17日は阪神・淡路大震災から30年目にあたります。震災当時、私すでに東京にいたので、(小さいころは山梨や長野にすんでおりました。)地震が発生したことにまったく気づきませんでしたし、テレビの中の出来事が信じられず、まるで違う世界の事のように感じていたのを思い出します。
この講座の開講者である松岡さんはその被災者の一人でもあります。私の言葉より、まずは松岡さんの当時のお話を聞いてください。
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震災当時私は兵庫県西宮市に祖母と伯父達と住んでいました。
朝6時前、ドーンというものすごい音と共に体が突き上げられ投げ出されたように思います。その一瞬、夢か幻かと思うほど歪んだ空間が目の前に広がり、その後、全てが暗闇へと吸い込まれていきました。
あの日、私は偶然夜通しドラクエをしながら朝まで起きていました。初めて経験するほどのカオスの中、二階の窓から外に逃げ出すと、なんとそこには道路があるではありませんか!自宅が倒壊し、二階が一階になっていたのです。しばらく呆然と立ち尽くしたように思いますが、はっきりと覚えていません。
そのうち近所の人々も命からがら外に出てきました。倒壊したのは私の家だけでなく、無事に残っている建物を探す方が早い感じで、一帯がまさに戦後の焼け野原のような光景でした(火事にならなかったのは不幸中の幸いでした)。
しばらくして一階で寝ていた祖母がまだ逃げ出していないことに気がつきました。なんとか助け出さなくてはなりません。しかし、助けを呼べるような状況ではなく、誰もが自分の家、家族のことで精一杯です。家を解体した経験も道具もない状態でしたが、同居の伯父さん達とともに倒壊した家屋から祖母を掘り起こし、引きずりだしたのは最初の地震が起きてから5時間が過ぎた頃でした。この日は特別寒い朝でした。
本当に必死でした。それでも、やればできるものです。
祖母はその後しばらくは比較的元気に暮らしましたが、やはり自分の家がなくなったこともあるのか、日に日に衰えていったように思えました。そして、地震から約二年後に亡くなりました。
インフラに関しては電気が二週間ほどで回復しましたが、水道とガスの復旧には数ヶ月を要しました。我が家は全壊で家がないためそれどころではないのですが、あたり一帯全ての水道とガスが完全に止まっているのです。なんでも当たり前にある生活では想像もつかない困難に度々遭遇しました。
この時、この場所には現代日本の姿が全くありませんでした。
その後数ヶ月間、自宅の瓦礫を片付け、地域の炊き出しを手伝いました。そして、給水車から水を汲んで近所のお年寄りの家々に運び続けたものです(私はこの地震のため退職しました)。
悲惨な状況ではありましたが、このときの地域の人々の連帯感、助け合いの心、そして何よりも前向きに頑張ろうという強い気持ちが復興につながったのだと思っています。人間の強さややさしさについてこれほどまでに真剣に考え、そして感じたことは後にも先にもこの時期だけかも知れません。
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経験した方にしかわからないことです。
2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震、そして2024年の能登半島地震。
被災者の方々は、今なお仮設住宅にいらっしゃる方をはじめ、不自由な暮らしを余儀なくされている方々がいらっしゃると聞き及んでいます。また、原発のことなども含め問題は山積みです。一日も早い復興と被災された皆さまのお幸せをお祈りいたします。
それでは、本日はグラーヴの格付けです。
明日ではなく、今日少しだけでも頑張りましょう。疲れているのは皆同じです!
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グラーヴの格付け <D>
目次
※<>の中の数字はCBTで出題された頻度です。ある程度参考にしてください。
F Gravesの格付け
・グラーヴの格付けは1953年に発表され、1959年に現在の16シャトーが承認されました。
・1987年にAOC GravesからAOC Pessac-Leognanが独立しました。<1>
・格付けシャトーのAOCは全てPessac-Leognanです。
・シャトーにより格付けされているワインのタイプ(ワインの色、赤・白・赤白)が違います。
→このタイプ分けを覚えなくてはなりません。コミューンは余裕のある人以外は覚えなくてもよいです。
この赤白タイプ別の格付けは、現場では役に立たない知識の一つですが(笑)、試験では好んで出題されるようです。Ch. Haut Brionをはじめとする赤のみが格付けされたシャトーも素晴らしい白ワインを造っています。
【赤のみが格付けされた7シャトー】<3>
Ch. de Fieuzal<1>
Ch. Smith Haut Lafitte(コミューン:Martilac)<3>
Ch. Haut Bailly<2>
Ch. La Tour Haut Brion(ラ・オーブリオンはTalence)→La Tour Haut Brionは2005年で生産終了、La Mission Haut Brionに併合されました。
Ch. La Mission Haut Brion(ラ・オーブリオンはTalence)
Ch. Pape Clement(Pessacは二つだけ)<4>
Ch. Haut Brion(Pessacは二つだけ)<1>
【白のみが格付けされた3シャトー】<2>
Ch. Couhins(Villenave-d’Ornon)
Ch. Couhins Lurton(Villenave-d’Ornon)
Ch. Laville Haut Brion(ラ・オーブリオンはTalence)→Laville Haut Brionは2009年よりLa Mission Haut Brionの白として販売されるようになりました。世界最高の白ワインの一つが名を失ったと松岡さんが嘆いておられました。
【赤白共に格付けされた6シャトー】<3>
Ch. Olivier<1>
Ch. Carbonnieux<1>
Ch. Malartic Lagraviere<1>
Domaine de Chevalier<1>
Ch. Bouscaut(Cadaujac ここのみ)
Ch. Latour Martilac(Martilac)
※上記コミューン記載なしはコミューンLeognanです。
→アカデミー・デュ・ヴァンの矢野先生のゴロ合わせで赤白共には「軽母乳のブスっ娘・オリビエがシュヴァリエになんたら…」って書いてあったような。
※シャトー名にHaut や Brion の文字があれば基本赤のみです。”マル”なんとかは白赤両方。
→Ch. La Mission Haut Brionの白がリリースされ始めましたが、格付け的には考える必要はありません。
ここも数を意識して、少ない白のみをきっちり押さえ、赤のみ・赤白を覚えていきましょう。コミューン名(村の名前)はひとまず無視して進みましょう。本当に余裕があるときに眺める程度で問題ありません。
さて、過去問です。
ソムリエ試験 過去問
【過去問】
グラーヴ地区で白・赤共に格付けに入っているシャトーを 1 つ選び、解答欄にマークしてください。
1. Ch. Olivier
2. Ch. de Fieuzal
3. Ch. Pape Clement
4. Ch. Smith-Haut-Lafitte
【過去問】
グラーブの格付で白のみが格付けされているシャトーを 1 つ選んでください。
1. Chateau Olivier
2. Chateau de Fieuzal
3. Chateau Carbonnieux
4. Chateau Couhins
【過去問】
グラーヴの格付けで赤ワインのみが格付けされているシャトーを 1 つ選んでくだ
さい。
1. Chateau Couhins
2. Chateau La Mission-Haut-Brion
3. Chateau Carbonnieux
4. Chateau Bouscaut
【過去問】
グラーヴの格付けで白のみが格付けされているシャトーを 1 つ選んでください。
1. Chateau Olivier
2. Chateau de Fieuzal
3. Chateau Carbonnieux
4. Chateau Couhins
【過去問】
グラーヴの格付けにおいて、赤ワインだけが認められているシャトーを1つ選んでください。
1. Chateau Carbonnieux
2. Chateau Olivier
3. Chateau de Fieuzal
4. Chateau Laville Haut-Brion
【過去問】
次の記述の中からボルドー地方 Graves 地区の特徴に該当するものを 1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。
1. ボルドー市の南東にあり、ミクロクリマに恵まれ収穫を遅らせるとボトリティス・シネレア菌が繁殖する地域である。
2. ドルドーニュ川の右岸にあり石灰岩の台地に石灰質、砂、粘土質等バリエーションにとんだ地質である。
3. ガロンヌ川とドルドーニュ川のふたつの川にはさまれたぶどう畑は、きわめて変化に富み辛口白ワインの一大名産地である。
4. ボルドー市のはずれから南に位置し、ぶどう畑は小石、砂利で形成されている。
【解説】
上記の1.~4.のそれぞれの記述がどこの産地を指しているか考えてみてください。
【過去問】
次のシャトーの中から Graves 地区に属するものを1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。
1. Chateau de Fieuzal
2. Chateau Gazin
3. Chateau Suduiraut
4. Chateau Haut-Batailley
【解説】
ちなみに2.はポムロールのワインです。3.はソーテルヌで出てきます。
【過去問】
グラーヴの格付けにおいて、赤だけが認定されているシャトーを1つ選んでください。
1. Chateau Latour Martillac
2. Chateau Haut-Brion
3. Domaine de Chevalier
4. Chateau Carbonnieux
【過去問】
次の中から Graves の格付けで赤ワインだけが認められているシャトー数に該当するものを1つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。
1. 3 シャトー
2. 4 シャトー
3. 6 シャトー
4. 7 シャトー
【過去問】
次の中から Graves の格付けで白ワインだけが認められているシャトー数に該当するものを 1 つ選び、解答用紙の解答欄にマークしてください。
1. 2 シャトー
2. 3 シャトー
3. 4 シャトー
4. 5 シャトー
【解説】
しかし、いくら試験とはいえ、こんなこと(いくつあるかなんて)を覚えても意味がないと個人的には思うのですが…。
本日もまさに試験のための勉強という感じで大変でした。一度ですべてを覚えることは不可能ですから何度か繰り返し確認することが大切です。まだまだボルドーが続きます。
何かございましたらこちらまで
info@majime2.com 牧野 重希
Comment
牧野様
稲木でございます。ことしも「ちょっとまじめ」でお世話になります。
年末のローヌ、シラー100%フォンサレート2007とても感動しました。
正直、年末の会で一番おいしかったです。
昨年、だいぶ勉強しましたので、それからは、ワインを飲みながら、品種やビンテージを気にするようになり、
そんな飲み方がとても楽しく感じられるようになりました。
ことしは、必ず合格することを決意しつつ、牧野さんの講座、拝読させていただきます。
よろしくお願いいたします。
稲木様
コメントありがとうございます。そして、まったく気づいてなくて申し訳ありません(笑)。
今年も一緒に頑張りましょう!最後まで応援いたします。
牧野